全部をケアすると、プレイは弱くなる。「備える価値」を決める3つの質問
相手の強い返しをすべてケアすると、こちらの一番強い動きまで消えます。
ポケカを始めたばかりの頃は、一度された動きが強く記憶に残ります。
「前の試合でベンチを呼ばれて負けたから、今回は何も出さないでおこう」
「動けないポケモンを前に出されたら困るから、入れ替え手段は最後まで残そう」
「手札を入れ替えられるかもしれないから、使えるカードは全部使っておこう」
負けた形を繰り返さないように備えること自体は、とても大事です。
ただ、警戒するほど安全になるとは限りません。カードを残す、盤面を小さくする、遠回りの攻撃を選ぶ。どのケアにも、こちらが支払う費用があります。
自分は、相手の返しを警戒するか迷った時、次の3つを順番に見るようにしています。
その返しは現実的か。通った時の影響はどれほど大きいか。避けるために何を失うか。
ケアとは、起こりうる未来をすべて消すことではありません。
限られた手札と盤面の中で、どのリスクを減らし、どのリスクは受け入れるかを選ぶことだと思っています。
多くのケアには「値段」がある
相手の手札は見えないので、次の番に何をされるかを完全には当てられません。
ベンチを呼ばれるかもしれない。
手札を入れ替えられるかもしれない。
今のアタッカーを一撃で倒されるかもしれない。
考え始めれば、可能性はいくつも出てきます。
しかし、その全部へ同時に備えようとすると、次のアタッカーを用意できない、必要なカードを温存しすぎて今の攻撃が弱くなる、といった別の問題が起こります。
まだ起きていない失敗を避けるために、今できる強い動きを手放しているなら、その慎重さも負ける原因になり得ます。
だから「相手が持っていたら嫌だ」で止めず、警戒に使う1枚や1ターンが本当に見合うかまで考えます。
質問1 その返しは現実的か
最初に見るのは、相手がその動きを実際に行いやすい状況かどうかです。
相手の場には必要なポケモンやエネルギーがそろっているか。
必要になりそうなカードは、すでに何枚も使われていないか。
1枚あれば成立するのか、複数の種類を同時にそろえる必要があるのか。
手札の中身を当てる必要はありません。見えている情報から、「かなり起こりやすい」「いくつか条件が必要」「成立したら驚く」くらいに分ければ十分です。
ここで気をつけたいのは、「相手が前の番に使わなかったから、持っていない」と決めつけないことです。
使えなかったのかもしれませんし、別の目的で残したのかもしれません。公開情報は判断材料になりますが、見えていない手札を確定させるものではありません。
質問2 通ったら、どれくらい困るか
次に、その返しを受けた後の盤面を考えます。
同じ「相手の強い動き」でも、重さは同じではありません。
その場で対戦が終わる。
次の攻撃ができず、流れが大きく傾く。
手札は減るが、場の特性や準備したアタッカーから動き直せる。
1ターン遅れるだけで、まだ立て直せる。
見た目が派手な返しでも、受けた後にこちらの攻撃が続くなら、必ずしも最優先で消す必要はありません。
反対に、一見するとよくある1枚でも、それを使われた瞬間に負けるなら優先度は上がります。
自分は「されたら嫌か」ではなく、「された後も自分の番が残るか」で重さを考えると整理しやすいと思っています。
質問3 避けるために何を失うか
最後に、ケアする側の費用を確認します。
入れ替え手段を残すことで、この番のきぜつを逃さないか。
倒されるのを恐れてポケモンを出さないことで、次のアタッカーまで止まらないか。
相手への干渉を優先することで、自分の攻撃に必要なカードが不足しないか。
同じ返しを防げるとしても、攻撃を続けたまま防げるなら安いケアです。サイドを取る機会や次の攻撃まで失うなら、高いケアです。
ここでは、まだ起きるか分からない相手の動きと、ケアした瞬間に確実に失うものを同じように扱わないことが重要です。
不確かな1枚を恐れて、確実にできる攻撃を自分から捨てる。その交換が本当に必要かを、一度だけ確かめます。
具体例1 入れ替え手段を「あとで困るから」と残す
中盤を想像してください。
バトル場のポケモンをベンチと入れ替えれば、準備済みのアタッカーで相手をきぜつさせられます。この番に入れ替えられるのは、手札のその1枚だけです。
ただ、相手の次の番に動きにくいポケモンを呼ばれるのが怖くて、その1枚を残したくなりました。
ここで入れ替え手段を温存すると、今のきぜつを逃し、相手へもう1回動く機会を渡します。これは確実に支払う費用です。
一方、心配している返しには、相手が呼び出す手段を持ち、こちらが別の入れ替え手段へ触れず、さらにその遅れが致命傷になる、という条件があります。
その条件がいくつも必要で、受けても動き直せるなら、自分は今の攻撃を優先する方がよい場面が多いと思っています。
もちろん、相手が呼び出す手段を手札に加えたことが見えていて、こちらには本当にその1枚しか戻る方法がないなら話は変わります。
同じカードを残す判断でも、単に「あとで使うかもしれない」ではなく、返しの現実性と受けた時の重さまで見ることで結論は変わります。
具体例2 同じ結果なら、返しに強い方を選ぶ
次は中盤です。
相手のバトルポケモンは、こちらの2匹のアタッカーのどちらでもきぜつさせられます。取れるサイドも同じです。
ただし、1匹目は相手の耐久力が高い次のアタッカーを倒せる唯一のポケモンです。2匹目は今の相手なら倒せますが、その次のアタッカーには届きません。
そして相手のベンチには、その次のアタッカーがすでに準備されています。こちらが今出したポケモンは、返しにきぜつする可能性が高い盤面です。
1匹目で攻撃すると、今の相手は倒せても、返しに唯一の対抗手段を失います。2匹目なら、同じようにサイドを取りながら、1匹目を次の攻撃役として残せます。
この場面では、2匹目を選ぶことが安いケアになります。
相手の返しは盤面に見えているので現実的です。そこで攻撃が止まれば影響も大きい。一方、どちらを選んでも今のきぜつと取るサイドは変わらないため、備える費用はほとんどありません。
もちろん、2匹目を使うと後の局面で必要な役目を失う、倒された時に取られるサイドが増える、といった差があるなら再検討が必要です。
「安全そうだから弱い攻撃を選ぶ」のではありません。今の結果が同じなら、その後に残る盤面までよい方を選ぶ、という考え方です。
3つの質問でも、答えが割れる場面はある
現実性、影響、費用は、正確な数字にできるものではありません。
相手のデッキに慣れていれば「起こりやすい」と感じ、初めての対面なら判断できないこともあります。こちらに余裕がある時と、細い逆転を狙うしかない時でも、受け入れられるリスクは変わります。
また、避けても攻撃や盤面がまったく弱くならないなら、迷わずケアしてよいと思います。
反対に、すでに不利で、最大限に動いてもようやく勝てる状況では、安全な遠回りを選ぶ余裕がありません。相手が持っていない可能性へ賭けることも、競技では必要な判断です。
この3つは正解を自動で出す公式ではなく、何となく怖いという感覚を、比較できる形にするための質問です。
次の対戦では、怖い返しを1つだけ言葉にする
次の対戦で相手の返しが気になったら、全部を考えようとせず、いちばん怖いものを1つだけ言葉にしてみてください。
相手は何をそろえると、その返しができるか
通ったら即負けか、まだ動き直せるか
防ぐために、この番の何を手放すか
3つを比べて、それでも備える価値が高ければケアする。費用の方が大きければ、そのリスクは受け入れて今の動きを通す。
練習中は、選ばなかった方も対戦後に確認すると、自分が相手の返しを重く見すぎる場面、軽く見すぎる場面が分かってきます。
まとめ
相手の動きを警戒することは、勝率を安定させるために欠かせません。
ただし、警戒できるものをすべて警戒する必要はありません。
その返しは、本当に起こりやすいか。
通った時に、対戦はどこまで傾くか。
避けるために、こちらは何を失うか。
この3つを比べると、「持っていたら嫌だから」という理由だけで、自分の動きを弱くする場面は減らせます。
安全なプレイとは、負ける可能性をゼロにするプレイではありません。
受け入れるリスクを選び、優先度の高いものに見合う費用を払うプレイです。
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