ハッピーライティングマラソン #5 「あなたは子供のころ、どんな本を読んで、何を感じましたか?」
ショートショートの魔法
小学生の頃、私は星新一の小説に夢中だった。
学校の図書館で初めて手に取った『ボッコちゃん』。
薄い文庫本のページをめくるたびに、日常とはまったく違う世界が広がっていた。未来の話、ロボットの話、不思議な薬の話──。
星新一が描くファンタジーの世界は、当時の私にとって現実逃避の場所であり、同時に想像力を無限に広げてくれる魔法の扉だった。
特に印象に残っているのは、たった数ページで完結するショートショートの構成力だ。
最後の一文で「えっ!」と驚かされる展開は、子供心にとても新鮮で、「次はどんな話だろう」とワクワクしながらページをめくっていた記憶がある。
大人になって見失ったもの
年を重ねるにつれて、いつの間にか星新一から遠ざかっていた。
最近の読書といえばビジネス書や実用書ばかり。
効率性や実益を求める読書が中心になり、「ただ楽しむ」ための読書をしなくなっていた。
最近はもっぱらAudibleでビジネス書を聴くことが多い。
移動時間に、自己啓発本やマーケティングの本を次々と消化していく。
確かに知識は増えるし、仕事にも役立つ。
でも、どこか機械的で、あの頃感じていたワクワク感はなかった。
偶然の再会が教えてくれたこと
そんなある日、Audibleのおすすめリストに星新一の作品が表示された。
「懐かしいな」
軽い気持ちで再生ボタンを押した。
ナレーターの声とともに蘇る、あの独特な世界観。
皮肉な結末。
そして何より、理屈抜きに「面白い!」と思える純粋な気持ち。
久しぶりに感じたワクワク感は、まさに子供の頃のそれだった。
効率とか実益とか、そんなことはどうでもよくて、ただその世界に浸っていたい気持ち。
忘れていた感覚だった。
「役に立たない」読書の価値
この体験を通して気づいたのは、すべての読書が「役に立つ」必要はないということだ。
ビジネス書から得られる知識も確かに大切だ。
でも、星新一のショートショートが与えてくれる想像力や、純粋な楽しさ、そして心の豊かさ。
子供の頃に感じたあのワクワク感は、創造性の源泉だったのだと今になって思う。
効率重視の大人の読書も悪くないけれど、たまには理屈抜きに「面白い!」と思える本に出会うことの大切さを、星新一が再び教えてくれた。
実用書ばかりではなく、たまには小説もいいな、ファンタジーもいいな、という体験だった。
#ハッピーライティグマラソン #本田健
