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もしも大きな地震が起きたら——あなたは愛するペットと、どこへ避難しますか?


このたびの熊本県での地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

日本は、地震や豪雨といった自然災害を避けることのできない国です。

だからこそ、「もしも」を考えることは、不安になるためではなく、大切な家族を守るための準備だと思っています。

今日は、ペットと暮らす私たちが、災害時に知っておきたい「避難の選択肢」について考えてみたいと思います。



地震で亡くなった人より、「災害関連死」が多かった熊本地震


2016年の熊本地震では、多くの尊い命が失われました。

実は、地震による直接的な被害だけでなく、その後の避難生活による体調悪化や心身への負担などで亡くなられた「災害関連死」が、直接死を大きく上回りました。
熊本県のまとめでは直接の地震被害による死者は50人で、災害関連死は2025年4月時点で225人と、直接死の4倍を超えています。

避難生活は、それほど過酷なものなのです。

その背景には、慣れない集団生活へのストレス、十分な睡眠が取れない環境、持病の悪化、そして車中泊によるエコノミークラス症候群など、さまざまな要因がありました。



「ペットがいるから避難所へ行けない」


ペットと暮らしている方の中には、

「避難所では一緒に過ごせないかもしれない。」

10年前の熊本地震のときも、そうした不安から車中泊や自宅避難を選ばれた方が少なくありませんでした。

もちろん、車中泊そのものが悪いわけではありません。

余震が続く中では、安全を考えて車を選ぶことが適切な場合もあるでしょう。

しかし、長期間に及ぶ場合には、健康への影響も考えなければなりません。

だからこそ大切なのは、「避難所か、車か」という二者択一ではなく、自分たちにはどんな選択肢があるのかを、平時から知っておくことです。


「同行避難」と「同伴避難」は違います


意外と知られていませんが、「ペットと避難する」といっても、実は二つの考え方があります。

同行避難とは、飼い主がペットを連れて安全な場所まで避難することです。

一方で、同伴避難とは、避難所で飼い主自身がペットの世話をしながら避難生活を送る状態を指します。ただし、「人とペットが同じ部屋で過ごせる」という意味ではありません。飼養スペースは避難所によって異なります。

環境省は「同行避難」を基本としていますが、避難所での受け入れ方法は自治体や施設によって異なります。

屋外の専用スペースになる場合もあれば、建物内でも人とは別の場所で過ごす場合もあります。

だからこそ、お住まいの自治体ではどのような対応になっているのか、一度確認しておくことをおすすめします。


避難所だけが選択肢ではありません


災害時には、状況に応じてさまざまな避難方法があります。

例えば、

  • 自宅で安全が確保できるなら「在宅避難」

  • 親族や友人宅への避難

  • ペットホテルや一時預かり先

  • 自治体や動物支援団体が設けるペット受け入れ施設

  • ペットと一緒に泊まれるホテル

  • 必要に応じた車中泊

どれが正解というわけではありません。

大切なのは、「わが家ならどうするか」を家族で話し合い、複数の選択肢を持っておくことです。


今日からできる備え


災害は、いつ起きるかわかりません。

だからこそ、今できることがあります。

  • 自治体の防災計画や避難所の受け入れ状況を確認する

  • 預け先として頼れる家族や友人を考えておく

  • フードや薬を少し多めに備蓄しておく

  • ワクチン接種記録や写真をすぐ持ち出せるようにしておく

  • マイクロチップや迷子札など、身元確認の準備をしておく

  • クレートやキャリーバッグに普段から慣れさせておく

「備え」は特別なことではありません。

愛する家族を守るための日常の延長です。


最後に


災害は防ぐことができません。

でも、そのときどこへ避難するのか、誰に助けを求めるのか、この子をどう守るのかは、今考えておくことができます。

ペットは、自分で避難先を選ぶことはできません。

だからこそ、私たち飼い主の準備が、その命を守ることにつながります。

「もしも」は、病気だけではありません。

さまざまな場面を想定して備えることは、飼い主自身の安心にも、そして何より、大切な家族であるペットの安心にもつながります。


私はペット後見のご相談を受ける中で、「何かあったら家族が何とかしてくれると思っていました」というお話を伺うことが少なくありません。

けれど災害のときは、ご家族もまた被災者です。誰もが自分や家族を守ることに精一杯になる状況では、「きっと何とかなる」という思い込みが通用しないこともあります。

だから私は、ペット後見は「亡くなった後」のためだけではなく、「生きている今、突然のもしもに備えるため」の仕組みでもあると考えています。

遠くの出来事のように感じられる今日この日にこそ、「もしもの日」のことを考えてみませんか。

愛するペットを守るために、今できる備えはきっとあります。


今日からできる備えは、防災グッズだけではありません。

「もしも、私が動けなくなったら」——

その視点でこの子の暮らしを見直すことも、立派な防災です。

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