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「シニア to シニア」という、しあわせのかたち 〜もう一度、犬や猫と暮らしたいあなたへ〜


「また、犬と暮らしたい」
「もう一度、猫を迎えたい」

そう思いながらも、なかなか一歩を踏み出せない方がいます。

理由は、とても自然です。

子犬や子猫を、今から一から育てる体力があるだろうか。
もし自分に病気や入院、万が一のことがあったら、この子はどうなるのだろう。

動物と暮らした経験がある人ほど、その不安は現実的です。

かわいいから迎える。
寂しいから迎える。
それだけでは済まないことを、よく知っているからです。

そのような迷いを感じる方にこそ、知っていただきたい選択肢があります。

それが、
「シニア to シニア」
という考え方です。

飼い主を亡くした、あるいは事情があって飼えなくなった高齢の犬や猫を、これからもう一度動物と暮らしたいシニア世代が迎える。

若い子ではなく、歳を重ねた子を迎える。

これは、人にとっても、動物にとっても、とても理にかなった出会いだと感じています。

一から「育てる」必要がない


シニアの犬や猫は、すでに人と暮らした経験があります。

トイレのこと。
家の中での過ごし方。
人との距離感。

もちろん、その子によって性格も事情も違います。
けれど、やんちゃ盛りの子を一から育てるのとは、暮らしのペースが違います。

子犬や子猫のエネルギーは、かわいい。
でも、なかなか手強い。

夜中に走り回る。
家具をかじる。
何でも口に入れる。
目を離せない。

若い頃なら笑って済ませられたことも、歳を重ねると、正直しんどいことがあります。

その点、シニアの子は、落ち着いた時間を好むことが多いです。

お互いに、無理をしすぎない。
急がない。
同じ部屋で、静かに過ごす。

そんな暮らしが合う方も多いのではないでしょうか。

暮らしのペースが合う


歳を重ねた人と、歳を重ねた動物。

この組み合わせには、独特の穏やかさがあります。

若い犬のように、何時間も遊び続ける必要はない。
若い猫のように、家中を飛び回るスピードについていく必要もない。

もちろん、シニアの子にも散歩や遊び、刺激は必要です。
でも、その時間は、勢いよりも、質です。

ゆっくり歩く。
日なたで一緒に過ごす。
ごはんを食べる姿を見守る。
寝息を聞く。

それだけで、生活にリズムが生まれます。

動物と暮らすことは、単に「世話が増える」ということではありません。

朝起きる理由ができる。
ごはんの時間を気にする。
声をかける相手がいる。
家に帰る理由がある。

これは、ひとり暮らしのシニアにとって、想像以上に大きな支えになります。

犬の場合、散歩が健康を守ることもある


犬と暮らす場合は、毎日の散歩があります。

面倒に感じる日もあるかもしれません。
けれど、この「散歩に出る理由」が、飼い主さん自身の健康を守ることがあります。

東京都健康長寿医療センターの調査では、犬を飼う高齢者は、飼っていない高齢者に比べて、認知症の発症リスクが低いという報告があります。

鍵になるのは、日々の運動と、人とのふれあいです。

犬の散歩に出れば、自然と歩きます。
近所の人と挨拶をすることもあります。
季節の変化にも気づきます。

歳を重ねた犬との散歩は、激しい運動ではありません。

ゆっくり歩く。
途中で立ち止まる。
匂いを嗅ぐのを待つ。
一緒に空を見上げる。

それは、飼い主さんにとっても、ちょうどいい運動になるのです。

※なお、この研究で認知症リスクの差が報告されているのは犬の飼育についてです。猫との暮らしには、また別の心の支えや安心感があります。

動物にとっても、安心できる暮らしになる


「シニア to シニア」は、迎える人だけのための仕組みではありません。

迎えられる動物にとっても、大きな意味があります。

飼い主を亡くした高齢の犬や猫は、新しい家族が見つかりにくいことがあります。

若い子の方が選ばれやすい。
病気がある子は敬遠されやすい。
年齢が高いだけで、候補から外されてしまう。

けれど、その子にとっては、残された時間こそ大切です。

もう一度、安心できる場所で暮らしたい。
もう一度、名前を呼ばれたい。
もう一度、家族として扱われたい。

その願いは、年齢に関係ありません。

仕事を引退した世代は、家にいる時間が長い方も多いです。
それは、飼い主を失った動物にとって、とても大きな安心になります。

長い留守番が少ない。
そばに人がいる。
体調の変化にも気づいてもらいやすい。

若い共働き世帯や、小さなお子さんのいる家庭では難しいことが、シニア世代の暮らしだからこそできる場合もあります。

人と動物が、お互いに足りないものを補い合う。

それが、「シニア to シニア」のしあわせのかたちです。

ただし、きれいごとだけでは終われない


高齢の子を迎えたからといって、
「自分に何かあったら、この子はどうなるのか」
という不安が消えるわけではありません。

むしろ、向き合うべき問いです。

飼い主さんが先か。
動物が先か。
それは誰にも分かりません。

だからこそ、迎える前に考えておきたいのです。

自分が入院したら、誰が預かるのか。
施設に入ることになったら、どこに託すのか。
万が一亡くなったら、その子は誰に引き継がれるのか。
そのためのお金は、どう準備しておくのか。

ここを曖昧にしたまま迎えるのは、やはり危険です。

でも、逆に言えば、ここさえ整えておけば、「シニア to シニア」は安心して選べる選択肢になります。

迎えることをあきらめる理由ではなく、
迎える前に整えておく理由。

私は、そう考えています。

「もしも」を整えれば、迎える喜びに変わる


歳を重ねたから、もう動物とは暮らせない。

そう決めてしまうのは、少し早いかもしれません。

もちろん、誰にでもすすめられるわけではありません。
体力、住まい、家族関係、経済状況、サポート体制。
考えるべきことはあります。

けれど、準備をすれば、選べる未来があります。

もう一度、犬と散歩する。
もう一度、猫の寝息を聞く。
もう一度、「ただいま」と言う相手がいる暮らしを持つ。

そして、飼い主を失った子に、もう一度「家族」を届ける。

それは、人にとっても、動物にとっても、しあわせな選択になり得ます。

大切なのは、勢いで迎えることではありません。

「もしも」の備えを整えたうえで、迎えること。

その準備ができたとき、不安は少しずつ、喜びに変わっていきます。


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