ちょっと原付でバリ島1周してくる。
2025年8月1日、全てのSNSをアンインストールして、旅に出た。
人間関係でトラブルがあったわけではない。
自分自身とトラブルがありそうだったから。
なんだかんだ2023年を除いて、2022年から毎夏バリ島で過ごしている。
バリ島でやることといえば、仕事・筋トレ・サーフィン・友達とシーシャくらい。
「せっかくバリ島に来ているんだからもっと遊びなよ」と言われるのもわかるが、シンプルにバリ島で生活をするのが好きだから、それ以上の野望はない。
そんな感じで、2025年のバリ島滞在も終えるはずだったが…
バイクでバリイチ(バリ島1周)してきた!!

宿を出発する前に「最高!」
海が見えたら「最高!」
マンションくらい高い木々に囲まれた山道に入ったら「最高!」
終始何回この言葉を吐いたかわからないくらい、素晴らしい時間だった。
生涯通して忘れられない経験をした。
1人でも多くの人にバリイチを経験してほしく、この記事には私の旅の記録をまとめた。
「バリ島一周、ちょっと行ってみようかな…」と思っているあなたの背中を、少しでも押せたら嬉しい。

▼私について
飯田さんと申します。
海外ノマドとして自由に旅を続けながら、アニメーションやWebコンテンツを制作するクリエイターをしています。
2021年10月にジョージア国に移住し、2025年1月までを拠点に32カ国を放浪。2024年10月にはロサンゼルスからニューヨークまでのアメリカ横断を達成。学生時代には新聞配達で生計を立てたこともあり。
バリ島は2025年6月で6回目の訪問。
1日目(チャングー→ギリマヌク→ロビナ)

滞在しているチャングーを出発し、真上に位置するロビナを目指す。
西へ、島の形に沿って進む。
道中の移動、本来はイヤホンをつけて音楽やPodcastなどを聴いたりするけど、それもやめた。
「この時間にオーディブルを聞いたら学びになるな」と考えてしまう自分がいる。しかし、この旅はそういった合理性とは距離を置かないと。

流れる景色、海の音、バイクの蒸す音。
特別なにか感じるかと言われたらそうでもない。
気が向いたら独り言。時たまバイクのスピードを上げてみたり。
この繰り返し。思ったほど退屈ではない。
海が見えるたびにテンションが上がる。
子供の頃から海やプールが大好きだった。
親に水泳習いたいって駄々こねたっけな。好きな子に太ってることを馬鹿にされた腹いせで泳ぎまくって痩せたなと、まるで人生最後の日かのように過去の思い出に浸っていると、バリ人の友達に教えてもらったお店へ到着。
時刻が9:30。開店時間は11:00。せっかちな性格が仇となり早く着きすぎたため、諦めることに。
この記事を読んでくださっている人で立ち寄る機会があれば行ってみてほしい。
そんなわけで、12:00に到着する予定だったバリ島の最西端ギリマヌクに10:30には到着。飛ばしすぎ…。
ギリマヌクはかつてオランダ領東インド時代には「バリ本島への玄関口」として栄え、港には蒸気船が行き交ったという。
現在は隣のジャワ島へ行き来する船が運行しており、フェリーに乗ってジャカルタへ行く旅も頭によぎった。

日曜日ということもあって街は閑散としている。
飲食店はチェーン店以外は営業していなさそうだったので、ギリマヌクを後にし、東のロビナを目指す。
田舎道→街→田舎道の繰り返し。対向車もほとんど来ないため時速80kmでかっ飛ばす。頭の中でチャットモンチーの『風吹けば恋』を歌い続ける。
この記事を書いているときに温泉があったことを知り、リサーチ不足を後悔。
道中コンビニで休憩していると、地元のバリ人に声かけられた。
「これからロビナの方を目指す」と伝えると、「あの見えている山があるだろ。あの辺は絶景だから絶対にいけ!インスタグラムで写真を見てみろ」と言われた。
こういうのを素直に聞き入れて行ったたらいいのに、ときめなかったので、当初の目的地を目指す。
13:30、遅めの昼食。
ここもバリ出身の友人が教えてくれた海鮮メインのお店。
なおインドネシア語で焼き魚を『Ikan bakar(イカンバカール)』と呼ぶ。
受付の横に魚が入ったケースが置いてある。見るからに今朝の取れたて。
この中から食べたい魚を選んで重さで料金が変わるのだと。
口に入れなくてもわかる。これはうまい。

注文してから食事が来るまで45分ほど待った。
いつもならこの時間、道中の写真をインスタグラムに投稿したり、Xで繰り広げられているレスを見ていた。
SNSがない今、ぼーっと周りの客を見たり、Kindleであえて最近亡くなった知人の本を読んだりして時間を潰した。
この時間が、妙に心地よかった。
食事が目の前に出てくると思わず声が上がる。
匂い、ビジュアル、量、すべて今自分が求めているものがマッチしすぎて天国かと思った。

味もバッチリ。ここで魚を食べるためだけに来る価値あり。
お店から5分ほどバイクを走らせると、1日目の目的地ロビオビーチに到着。時刻は14:00。
ここロビナは、1990年代にイルカウォッチングがブームになるまで、ほとんど知られていなかったが、今では世界中から観光客が訪れる場所になった。

ロビナビーチをひととおり散策したあと、宿に戻って軽く仮眠をとった。
夕方になっても特にすることがなく、抱えていた仕事を片づけるためにカフェへ向かうことにした。目の前に田園と山並みが広がる、開放感あふれるカフェで、暗くなるまでパソコンに向かって作業を続けた。

夜になってもこれといった予定はなく、周囲の欧米人たちはパブで盛り上がっていたが、自分はそこに加わらずカレースープとビールを注文。
正面のテーブルに一人で座る欧米人と「Cheers!」とグラスを合わせたあと、それぞれ黙々と食事を済ませた。翌朝も早起きの予定だったので、22時にはベッドに入り、初日の夜は静かに幕を閉じた。
幸せだ。

2日目(ロビナ→キンタマーニ→ウブド)

5:30、イルカツアーの呼び声で目覚める。ロビナビーチは野生のイルカで有名だ。朝6:00から100,000ルピア(約1,000円)で船に乗り、イルカを探しに行ける。小樽なら1万円は下らないだろう。こんな貴重な体験を逃す手はない…と思いつつも、申し込まなかった。にもかかわらず起こされる。勘弁してくれ。
結局二度寝もできず、「朝日が見られるかも」と思い立ち散歩に出る。ビーチまでは徒歩3分、最高のロケーションだ。それまでに3回も「Dolphin?」と声をかけられた。眠たい目をこすりながら、なんとも言えない気分になる。

宿のWi-Fiは遅すぎて仕事どころではなく、ホテルの無料朝食を終えた8:00にはチェックアウト。
1日目に宿泊したホテルはここ。朝食あり、プールあり、個室あり、ウェルカムドリンクありで個室だったが、窓がないのがちょっと残念。Wi-Fiは部屋からだとZoomができないほど遅い。またシャワーは共用。1泊2,000円ほど。
今日の目的地はキンタマーニだが、その前にバリ島最北端へ寄り道をする。
賑やかな街を抜けて1時間。島の最北端とされる小さな漁村が現れる。
標識もおしゃれな展望台もなく、停泊する船影だけが目印。「ここが最北端だよ」とわかるオブジェがあるわけでもなく何隻か船が停泊されているだけ。想像していた雰囲気とはあまりにギャップを感じぜらるを得なかった。

途中のスーパーで買ったコーヒーをここでゆっくり飲もうと思ったものの、腰を落ち着けられる場所もなく、帰りの田舎道をゆっくり走りながら一口一口を味わう。
この田舎道はまた綺麗。対向車もほとんど来ない緑深い山道の景色に、PCゲーム「AIR」の『夏影』が流れる。

やがて山道を登り始め、ふと振り返ると眼下に雲海に包まれた集落が見え、その光景はドラクエ終盤に出てくる強敵の住む町を思わせた。
同じ島とは思えない多様な表情に心を奪われた。

進んでいくにつれてタンクトップ1枚なので冷えてきた。
小腹も空いてきたところで、地元のワルン(食堂)を発見。気温は24℃ほど。そんな環境下で山のマイナスイオンを感じながら口に運ぶ熱々のバクソーは格別。旅してるわ。

そのまま山を下り始めた。時刻は11:30。
14:00のキンタマーニの宿のチェックインからはまだまだ早い。
湖へ向かう手前に見つけた見晴らしのいいカフェへ立ち寄り、澄んだ空気、360度に広がる山並み、青空の絶景を堪能。こんな日がずっと続けばいいのにと。

仕事もひと段落し、時刻は13:00。時間を持て余し気味だったので、宿への帰路とは少し遠回りし、Songanと呼ばれる小さな集落の外れをぐるりと一周してみた。
ビー玉を転がしたら時速150km出そうな勾配を駆け下ると、ジュラシックワールドに出てきそうな道が目の前に現れた。
閑散とした道を抜けると、屋根裏の猫や洗濯物を干す人影が見え、「こんな場所で日常を営む人が本当にいるんだな」と驚かされた。

14:00ちょうどにキンタマーニの宿へチェックイン。
ここに一泊し、明日は1時間バイクを走らせてウブドでケチャダンスを見て1泊し、その次の日にチャングーへ戻り、旅は終わる。
バリ島一周といっても、空港から南側のジンバランやヌサドゥアといった南部の観光地へは行かないプランだった。
なんかモヤモヤする。
「まだ元気なのに、移動せずここにいるのか?」
「このままウブドまで進めば、明日は空港から南へ行けるよな」
「今からウブド行けばまだケチャダンスも見れるぞ…」
今日ウブドに泊まり、翌日はガルーダ・ウィスヌ・クンチャナ寺院→最南端→高さ40mの石灰岩の断崖→ヌサドゥアに1泊という流れ、文句なし!!
旅の予定がすべて書き換わった。
とはいえ、キンタマーニで予約した宿を選んだ理由は、目の前に温泉があるからだ。
ウブドへ向かう前に、1時間温泉で過ごした。誰もいない。不気味なほど静か。最高。

「一緒に出ようね」なんて言う相手もいなければ、24色のクレパス買って
恋人の似顔絵を描く男ではない。湯船で1人ぼーっと旅の疲れを流す。
次の宿を予約した。ケチな僕は、前日の宿代を無駄にした分、できるだけ安い宿を探した。ただし立地は妥協しない。夜にウブド王宮でケチャダンスを見たいからだ。ケチャダンスの終演後に渋滞に巻き込まれることを懸念し、王宮近くで1,000円の宿を確保。
ただせっかくなら日帰りでウブドに行って、夜はキンタマーニに戻れば良いのでは?
そう頭によぎったが、その選択をしなくて大正解だった。
ウブドへ近づくにつれて道がガッタガタ。渋滞もひどい。
キンタマーニから1時間、渋滞に巻き込まれつつも17:00頃にウブド到着。
道中以上にウブド市内は週末の原宿のように観光客であふれていた。市内はとてもゆっくりできる場所ではない。

19:30のケチャダンスに備え、王宮前のダフ屋から正規料金100,000ルピアでチケットを購入。
「18:45に来ないと良い席がなくなるよ」と言われ、その時間に行くと椅子席はすべて満席。仕方なくレジャーシートの床席へ座り、ダンスに見惚れつつも尻の痛さと格闘した。
行くなら絶対に椅子席がおすすめだ。なお、入り口でビールを売っているが、トイレが近くなるので買わない方が良い。
演者が登場するゲート前に欧米人が割り込んできたり、注意されている光景も目撃し、ケチャダンスとは別のカオスさも楽しめた。年頃の子供には集中力が保ちづらいパフォーマンスかもしれない…笑
とはいえ、ダンスは圧巻だった。一糸乱れぬ目と指の動きが美しい。気がついたら90分経ってた。バリがさらに好きになった。

終わった後ふわふわした気持ちで、中毒者が続出していると記事に書かれていたピザ屋へ。美味しいけど個人的には病みつきになる味ではなかった。それでもこじんまりとして雰囲気は良き。
余談だが、チュッ!!チュッ!!と、隣のスペイン人カップルが店内全体に広がる音でキスをしていたのが印象的で、大きな音で舌を鳴らす地元のヤンキーを思い出した。
夜遊びすることなく明日に備えて22:00に就寝した。
と、あんまり霊感とかはない人間ですが、ウブドの宿がちょっと変な雰囲気があって早く出たかった。
3日目(ウブド→セセタン→ジンバラン/ヌサドゥア)

キンタマーニの美しい湖を眺めながら、優雅に朝コーヒーを飲み、本を読んでから出発しようと思っていた。しかしなぜか今ウブドにいる。

目が覚めたのは朝6時。ウブドでは特にやることはなく、人がたくさんいることがわかったので朝イチだけ顔を出し、南下しデンパサールのコメダ珈琲を目指す。
ずっと初めての道をバイクで走ってきたが、ついに見慣れた土地へこのバイクと一緒に訪れることにワクワクした。
ウブドからデンパサールまではおよそ1時間の道のり。道中には、かつてバリ島で命を落とした三浦 襄が眠るお墓へ行くも、門が開いておらず、目の前だけを通過した。
【三浦 襄(みうら じょう)とは】
第二次世界大戦時に日本の占領下にあったバリ島でインドネシア解放の大義を信じ民政部顧問として働いたが、日本の敗戦により解放の約束を果たせず、その責任を取り自決した。
バイクを走らせること10分ほどでコメダ珈琲に到着。
バリ島のコメダ珈琲のモーニングには、なんとおにぎりがあるのだ。
パンしか出ない日本のコメダとはまた違った特典にちょっと得した気分になる。そこで軽く仕事を片付けた。

お腹が空いた頃合いを見計らって、私の大好きなローカル食堂へ移動。
『Gohan-ku』というバリ島料理と日本料理がミックスされた食事を提供するお店で、1食25,000rp(230円ほど)でお腹いっぱいになる。味は絶品で、さらに卵、チキン、白米を一気に摂取できるので、エネルギー補給には最強だ。

ランチを済ませたあと、バリ島南部のジンバランへ向かう。
今日は、世界で4番目に大きいガルーダ・ウィスヌ・クンチャナ像を間近で見て、さらにバリ島 最南端のメラスティビーチへ行くのが目的だ。

メラスティビーチは本当に美しかった。ビーチクラブの入り口で18,000ルピア(約150円)を支払えばプールも利用できるし、絶壁の横に続く小さな入り江で泳ぐこともできる。こんなに安くて贅沢なスポットはそうそうない。
ただ、一人で来る場所ではなかった。デートや家族連れ向きで、男一人では少し肩身が狭い。写真だけ撮って、早々にその場を後にした。


その後、ジンバラン最南端へ続く絶壁沿いの道を目指したが、残念ながら立ち入り禁止。仕方なく、海岸線を北上しながらヌサドゥアの宿へチェックインした。
チェックイン後は、ジンバランのモールまでバイクを走らせ、無料で観られるケチャダンスパフォーマンスを楽しんでから、日本食レストランでゆっくり夕食。
▼毎日17:30と19:00から無料でケチャダンスが見られるモール
▼1杯20,000rp(180円ほど)でラーメンが食べられる日本食屋
部屋に戻ってからは明日の早朝に備え、本を読みながら寝落ちした。
明日で終わってしまう。
あと5周したい。1周くらいなら1泊2日で行ける。
4日目(ヌサドゥア→デンパサール→チャングー)

朝6時に目を覚ました。本当は5時半に起きるつもりが、目覚ましを2つセットしたせいで「一つだけ鳴ればいいか…」と二度寝してしまった。サンライズは6時半頃だと聞いていたので、焦りながら急いで支度をし、コーヒーを一気に流し込んでビーチへ向かった。
ビーチに着くと朝日の光がすでにまぶしく、なんとかサンライズを拝むことができた。



波も相まって息を呑むほど綺麗。
ひとしきり自然の神秘に浸ったあとは宿へ戻り、今日やるべき仕事を片付ける。
今日は旅の最終日。大きな予定はなく、このままジンバラン、スミニャック、チャングーを経由して戻るだけ。夜には友達とのバドミントンがあり、それが終わったらバイクを返却しなくてはいけない。
帰り道は何十回も走ったことがある道だからこそ、少しでも長く旅が続いてほしい気持ちから、いつも通らない小道を選んでみた。
「今年は何かしたくて毎日二人はソワソワしてる この身も心も焦してる~♪」なんて鼻歌を歌いながら無事にチャングーまで戻ることができた。

そして夜、バイクを返却。ウブドで駐車する際に前方を少し擦ってしまったものの、スタッフは「大丈夫」と言って追加料金なしで受け取ってくれた。借りてからまだ3日と少ししか経っていないのに、不思議と愛着が湧いていて、返却の瞬間は少し目がうるんでしまった。
これにて、バリ島1周旅は終了。次の冒険へ。
最後に
自分で考えたルートを、自分の足で走る旅。これこそが私の求める旅だ。
飛行機やバスの旅も楽しいけれど、地図を開いて「次はここへ行こう」と自分で決める旅はまったく違う充実感がある。
アメリカ横断のときも同じ気持ちを味わった。今回のバリ島一周を終えて感じたのは、達成感とともに、バリへの愛情がより深まったこと。かつて「もうバリはしばらく来ないかも」と思った自分が嘘のようだ。
また来年、その先もバイクを借りてもう一度一周したい。今度はもっとディープな場所を巡り、まだ見ぬ景色を楽しみたい。
バリ島で得たこの学びを胸に、これからもバイク旅を続けていきたいと思う。本当に、バリ島一周の旅は最高の体験だった。
もっと生きて、いろんな景色を五感で味わいたいと意欲を、言い換えれば生きる力を手に入れた。
世界を楽しもう。
人生を楽しもう。
