愛と幻想のファシズムイズム
「これはいいですよぉ〜!ブワァ〜ハッハッハッ!」
こないだ44歳になったばかりの角刈りというよりは頭頂部がもうすぐベスト10みたいな禿げ方をしてきた三島由紀夫に扮する相方は公園で大道具の中に入り高笑いをしていた。
コントの大道具でトイレを作りたいと懇願され、なんとか試行錯誤を重ねて、お互い協力して、それっぽいものが産まれてしまった。
産まれたはいいが、
こんなもの車以外でどうやって運ぶんだ?と絶望と虚無を繰り返していると、積載量的に完全にアウトなのに「私が原付で運びます!」と黒目だけ10代になった顔つきでクソバカなこと言ってきたが、まだ捕まって欲しくないから、結局、私が分解して運ぶ羽目になった。何もしてないのにこのネタをやる度にローマの拷問みたいな罰ゲームが始まった。
しかし、ホームセンターで購入した自分の身長ほどある大型のプラスチックダンボールを組み合わせて畳んだものと同化して埼京線に何度も揺られ続けていると、だんだんと何も感じなくなっていった。
人目は一瞬集まるがその場に溶け込んで静かに影を消す。妖精芸人フェアリーシモさんから「ステルス」と呼ばれてるだけあって、この適応能力は自負している。私は、微妙な知り合いが前から歩いてきても電柱と同化してやり過ごせる。
さらに、降りる時、プラスチックダンボールがデカ過ぎてどうあがいても扉に「コツン」と当たって引っかかってしまうのだが、その度に、私はターミネーター2のT1000がサラコナーの病院に襲撃にきたシーンで、身体は液体金属で自由自在に鉄の檻を潜れるが、手に持っている拳銃は液体金属ではないので、鉄の檻と拳銃が「コツン」と当たってしまうアレを思い出せるくらい余裕すら出てしまった。慣れと液体金属が一番厄介だ。
目的地に到達して、組み立ててるだけで、もう帰りたくなる。
「ガキのくせにと頬を打たれ少年たちの眼が歳をとる〜♪」
iTunesで曲をシャッフルをしながら作業していると、中島みゆきの【ファイト!】が流れる。
これはあるあるだと思うのだけど、中島みゆきが流れたら何もさせてもらえない。
片手間で作業などできるような歌声と歌詞ではないのだ。魂がこもりすぎてる。全然ファイト!できない。
この、「少年たちの眼が歳をとる」という歌詞がずーっと突き刺さってしまった…。
うーん…。あ!アレだ!
ウシジマくんが債務者の借金の取り立てで、家族子供がいる前で金目のものランドセルまでを差し押さえして、父親が土下座して謝ってしまってるときに、「テメェのガキの前で土下座すンじゃねェッ‼︎‼︎」とブチ切れられてるのを見ていた子供の眼が20歳くらい歳をとっていたように描かれていたアレだ!
中島みゆきもヤバいが、ウシジマくんもヤバい。
こういう台詞がないキャラの眼や表情が生々しく、細かいディティールと、ウシジマくんの徹底したキャラにドンドン引き込まれてしまう。
「泣くな!泣いても何も解決しねぇ!」
もベルセルクの
「祈るな!祈れば手が塞がる!」
に通ずるものがある。
イカン!
やつが来る前に組み立てねば。
衣装に着替えながら誰かと話すという2つのことを同時に出来ないから、結果人と話したいが勝ち、上半身裸のまま出番前まで常に誰かと楽屋で話し続けているやつが来る前に。
本番は上出来。
でないと困る。
もう大道具に気を取られて手応えもよくわかってはいない。
帰り道。
さっきまで海で波に乗ってきた巨大なサーフボードの感じを出しながら行きより混んでる埼京線に揺られる。
家に帰り自分の時間が出来たら缶ビール片手にスマホを見る。
2005年のNBAファイルだけ日本語の実況と解説のYouTubeがあがっている。
私の人生のピークだったミニバス時代の2005年。
田臥勇太がNBAデビューした年。
VHSを擦り切れるまで観た。
私は今の五角形全てが整ってる選手だらけの新しい世代のNBAより、一芸に秀でた選手や与えられた仕事をこなす職人気質の選手が多いあの頃のNBAを保守的に観続けてしまう。
つまり、精神世界は子供時代にい続けようとしている。ある意味で逃避行動。
誰か見ているのだろうか。
誰かまだ近年のラン&ガンの速いペースと違ったディフェンスのやり合いの渋い展開に痺れてないだろうか。
誰か第五戦のロバートオーリーの3Pに打ちひしがれていないだろうか。
誰か塚本清彦さん奥野俊一さん倉石平さんの解説が脳内に再生されてないだろうか。
楽しくなってきたけどなかなか疲れているな。
消費税上がり続けちゃってるけど、国から何かの手当出ないかな。
まぁいいや。
優柔不断になれるほど選択肢がない。
悩める贅沢病は二重人格なのにどちらも人見知りなことだけで充分だ。
それに、ダイヤモンドよりも固い義理の塊こと腐れ縁のロングホーン尾崎から、
「今日、この人誕生日らしいよ」みたいなLINEが頻繁に送られてくる。
誰かの誕生日のLINEの通知ですら目を瞑っていたのに、おせっかいマントル芸人が。
良かれと思っておれに社交性を求めやがって。
積もり積もってご祝儀貧乏にさせる気なのか桃鉄の最初の貧乏神に見えてきた。訴えようかな。まぁいい。
ハマチのじぇーむすさんの誕生日のお祝いをした帰りの電車でストロングゼロを飲んでいたストロングな見知らぬギャルに吐瀉物を吐かれたことは、強烈だったが、この夏の思い出として、いつか大切な思い出になると信じて奥のフォルダーに入れておく。
明日は久々にオフ。
ポリゴン現象みたいな衣装の相方と会わなくて済む。
スケジュール帳を開くと「鮫、歯」と書かれている。鮫洲、歯医者と書きたかったとすぐ気付く。
最近、知覚過敏が酷くて歯医者に通っているし、免許センターにも用があったのだった。
鮫洲に歯医者あんのかな。
なんか歯がギザギザになりそうだ。
告知!









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