「白百合」
雨風日差しからわたしを守ってくれる、白い空間。決して広いとは言えないけれど、それでもわたしの心を満たしてくれる。日中でも暗い部屋、揺れる灯火、点在する光。いまはこの場所から、騒がしい世界を眺めている。生きることが赦される部屋、死が手招きする夜更けの香り。時折、散歩に出かける程度の、穏やかな生活。ほとんど他人が干渉しない生活。まるで自分だけが存在しているような錯覚。憂い。この日常がいつまで続くかはわからないけれど、もう少しだけこの場所で、言葉を紡ぎたいと思えるようになった。光を遮断すれば、心のなかが穏やかになる。未来はまったく想像できないけれど、いまこの瞬間に流れる時間を、ただ静かに味わっていたい。
「わたしの家は、たくさんの白百合を彷彿とさせる」
了
