相棒はAIになった 〜仕入担当、チェックリストをAIに預けてみた〜
第1回:なぜチェックリストをAIに預けたのか
「不動産決済の舞台裏」シリーズでは、契約から鍵渡しまでの30日間を、人力のチェックだけで乗り切る現場をそのまま記録してきました。重説を疑い、精算書のトリックを見抜き、決済当日に伏線を回収する。読み返すと、正直かなり神経を使う仕事です。
今回から始まるこのシリーズでは、その"神経を使う部分"を、AIという新しい相棒にどこまで預けられるかを書いていきます。派手な自動化の話ではなく、地味な現場の話です。でも、その地味さの中にこそ、実務のリアルがあると思っています。
そもそも、なぜチェックリストが必要だったのか
前シリーズでも触れましたが、私が使っている売契・重説の22項目チェックリストは、ある日突然できあがったものではありません。
過去の修正指摘、うっかりミス、先輩から「ここも見ておいた方がいい」と言われた一言。そういう小さな失敗と学びが、1件1件積み重なって、気づけば22項目まで育っていました。まるで、長年使い込んだ料理のレシピノートのようなものです。最初は数行のメモだったのに、失敗するたびに「ここは弱火で」「ここは分量を間違えやすい」と書き足していったら、いつの間にか分厚いノートになっていた。あの感覚に近いです。
問題は、このノートが分厚くなればなるほど、人力でめくって確認する負荷も上がっていくことでした。
「記憶力」から「型」への移行、その先にあったもの
前シリーズの最終回で、「プロはなぜチェックリスト化するのか」という話をしました。属人化した確認は担当者が変わると精度が落ちるが、型にすれば誰でも一定の品質を保てる、という話です。
ただ、型を作ったところで、それを毎回漏れなく実行するのはやはり人間です。22項目を一つずつ目視で確認する作業は、集中力がある日とない日で、正直ムラが出ます。疲れている夕方に、朝と同じ精度でチェックできているかというと、嘘はつけません。
ここで最初に思ったのが、「型はできた。あとはこの型を、疲れ知らずに毎回同じ精度で回してくれる相棒がいたら」ということでした。これが、AIにチェックリストを預けてみようと思った、一番の動機です。
最初は半信半疑だった
正直に言うと、最初は「本当に使えるのか」という懐疑心の方が強かったです。新しく入ってきたアルバイトに、いきなり重要な検品作業を任せるようなものです。マニュアルを渡しただけで、本当に大丈夫なのか、と。
試しに、過去に実際あった案件のドラフト(もちろん内容は伏せた形で)をチェックリストと一緒に読み込ませてみたところ、22項目のうち、こちらが見落としかけていた箇所を、AIの方が先に拾ってきたことがありました。具体的な内容はここでは伏せますが、「宅地建物取引主任者」という旧表記が一部に残っていた、というような、地味だけれど見落としがちな箇所です。
「あ、これは思っていたより頼りになるかもしれない」と感じた瞬間でした。新人だと思っていたら、実は経験者だった、という展開に近い驚きです。
今回のまとめ
22項目のチェックリストは、過去の失敗の積み重ねから育った"レシピノート"のようなもの
型を作っても、毎回漏れなく実行するのは人間である以上、集中力のムラが出る
AIに預けてみたところ、見落としかけていた箇所を先に拾ってくることがあった
次回は、精算書確認の現場を書きます。「いつもの確認、お願い」という一言で、実際に何が起きているのかを掘り下げていきます。
このnoteは、不動産実務におけるAI活用の一般的な考え方を紹介するものであり、特定のツールの性能を保証するものではありません。
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