現場にこそ最高の頭脳を。Googleが教えてくれるAI時代の逆転戦略──1999年、社員番号18番として採用された脳外科医ジム・リースから学ぶ現場論
これは四半世紀前の単なるGoogle初期のエピソードではありません。
AIが社会のインフラになるこれからの時代に「どこに最高の頭脳を置くか」という「問い」を経営者に突きつける現場論です。
この最高の事例を、AI印税時代を迎えるすべての著者に捧げたいと思います。
※AIはファクトチェックと技術的な整合性などを確認するために使っています。中身は天然ものです。
池松潤/Jun Ikematsu
コミュニケーションデザイン/事業計画/エクイティストーリー/エンタープライズ営業コンテンツ/マーケティング/コンテンツなど。慶応義塾大学卒/博報堂を経て、スタートアップCEOの壁打ち相手、婦人公論.jp 動画YouTube・新規事業開発担当。AI領域も開発している。ときどき婦人公論.jpにコラムも。 ⇒https://lit.link/junikematsu
1999年、Googleが立ち上がったころ、この本を紹介されて、強く心に刻んだ話しがあります。
当時、サーバー運用はエンジニアの中で最も地味で、昇進とも縁遠い仕事でした。給与は低く地位は低めの仕事だったのです。エンジニアの世界ならできれば避けたい地味な下働きの領域だったのです。
その「格下の現場」に、Googleは異例の人材を据えました
ハーバードとイェールで医学博士号を取り、スタンフォードの研究室にいた脳外科医ジム・リースです
手術室からサーバールームへ
当時の業界常識からすれば、あり得ない人事。
リースに課された使命は、ただの運用ではありませんでした。
急拡大する検索に合わせて、300台のサーバを1万台へ拡張しながら、世界中からの検索を1秒も止めないこと
臨床で鍛えた能力を武器に、こんな仕組みを構築したのです。
1:分散システムの冗長設計
検索データを小さな断片に分割して、それぞれを複数サーバーに重複保存するレプリケーションを設計
監視ソフトが異常を検知すると、リクエストを瞬時に別サーバーへ迂回させる自動フェイルオーバーを発動させる
※自動フェイルオーバーとは、稼働中のサーバーに障害が発生したら、自動的に別のサーバーに切り替えて、サービスの中断を最小限に抑える機能
これで数十台が同時に故障しても、ユーザーは気づかないまま検索を見ることができるようになった
2:統合監視
世界中のサーバー群を一元的に診断できるダッシュボードを構築
医師がモニターで患者のバイタルをチェックするように、リアルタイムで温度・電力・応答速度を測定。異常を即座に可視化。
3:高速復旧プロトコル
障害が発生してから復旧までを短縮
サーバーをステートレス化(情報を保持しない構造)、故障したサーバーをすぐ切り離して、別のサーバーが引き継げるようにした。
こうしてGoogleは、「故障しても止まらない」検索基盤を手に入れたのでした。
単にサーバーを並べる量的拡張ではなく、壊れることを前提に「止まらない」質的拡張を実現したのです。今では当たり前になった検索だけど、裏側ではこんな大変革が起きていた。凄いことです。
私が胸を打たれたのは、この着眼点もあるけど、この人事について。
(格下と思われていた)現場に最も優秀な人を置く。
組織が成長すると、多くの場合、華やかな「研究職」や「プロダクト開発」にスター人材を集めたくなりがちです。
しかし、Googleはあえて「つまらない」と見なされていた運用部門を中枢にした。
AIが社会の基盤になりつつある今、私たちも同じ「問い」に直面しているのではないでしょうか
例えば、LLMモデルの性能や、華やかな応用事例に目を奪われがちだからこそ、AIへの教師データの整備や運用ルールといった「地味な現場」に、最高の頭脳を投入できるかが、成長の分水嶺になっていると感じます。
AIへの辞書化や、構造データの整備は、表から見れば泥臭く退屈な作業。しかしここにこそ、著者からの信頼と収益モデルが潜んでいる。それは間違いない。
AI印税の分配など、新しい未来の現場はココにある。
だからこそ、この現場を「最後にまわす仕事」ではなく、最初に守るべき戦略領域なんだと書き残しておきたい。
ジム・リースが証明したのは
最新技術を動かすのは、コードでもモデルでもなく、 「格下」と呼ばれた現場に「光を当てる人間の判断」です
鳥の目で未来を描きながら、虫の目でケーブル一本の異常を診る。
鳥の目と虫の目の往復こそ、AI時代を生き抜く知恵であり最強の戦略。
これこそが人間にしかできない、生きた知恵だと思う。
あなたの仕事にも当てはまる事があるのではないでしょうか?
池松潤
https://lit.link/junikematsu
追伸
社員番号18番・Googleの初期エンジニア・ジム・リースのエピソード
・在籍期間
1999年~2005年
・最終役職
最高オペレーションエンジニア
・興味深い経歴
Google入社前は医師で、「木曜日の午前中だけ前頭葉切除手術を行っていた」らしい
・エピソード
データセンターで200ポンド(約90kg)金属製のラックが倒れてきて頭をぶつけて気を失ったらしい
現在はGoogleを離れ、ハーバード大学医学部の諮問委員会メンバーなどを務めているみたいです。もし会う機会があったらインタビューしたい。
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