第3話│じゃばら物語 合併協議と、実質撤退に向けた猶予の2年間
じゃばら事業の赤字は積み重なり、村内ではお荷物産業として扱われるようになっていた。
売れる見込みはなく、村営農園の果実を畑に落とす状況が続き、改善の兆しはまったく見えなかった。
いわゆる平成の大合併の流れもあり、1990年代後半から全国的に市町村合併の協議が進んでいた。
北山村でも、合併に向けた協議が議会と村執行部の間で行われた。
そこで問題となったのが、じゃばら事業の赤字だった。
赤字事業を抱えたまま合併に進めば条件が不利になるという意見が議会の多数を占め、木をすべて切り、事業から撤退すべきだという声が強かった。
しかし農家の収入と加工場の雇用がある以上、即時撤退は地域に大きな影響を及ぼす。
村長は議会に対し、事業見直しのための2年間の猶予を求め、「最後のあがきをしたい」と訴えた。
議会はこれを認めたが、村長自身、このあがきで事業が好転するとは考えていなかった。実質的には、事業撤退へ向けた時間稼ぎだった。
当時、池上は地域振興課に所属し、担当は北山川観光筏下りと村ホームページの制作管理だった。
じゃばら事業とは直接関わっておらず、のちに自分が深く関わることになるとは想像もしていなかった。
