いきいきと、データ消去
実家から、古いパソコンを処分しておいて。
と言われた。
両親が使っていたパソコン。
OSも古く、いつウィルスにやられてもおかしくない。
それどころか、もう何年も起動していないらしい。
さあ。とりあえず、電源入れるところから始めますか。
電源ケーブルや、ディスプレイケーブル。
その他必要な配線をして、いざスイッチオン。
お。動いた。
なお、もちろん、LANにはつないでいないので、
ご安心を。
IDやパスワードの入力もなく、
デスクトップ画面が表示される。
当時の様子を物語る雑多なままのデスクトップ。
なるほど。こんなことをしていたのね。
なんて、当時を垣間見ることができる。
けど。ファイルは開かない。
余計なことはしないに、こしたことはない。
ということで、ファイルやショートカットを、
とりあえず、ごみ箱に入れて、ごみ箱も空にしておく。
そして、別パソコンでダウンロードしてきた、
データ消去ソフトをコピーして持ってくる。
いよいよ本番。
データ消去ソフトを起動して、
「削除」ボタンを押下。
はじめは静かに、そして次第に、
クーリングファンがうなりを上げて、
削除が実行されていく。
削除の進行を示すバーが、
だんだんとパーセントを積み重ねていく。
と、急に画面が暗くなる。
おいおい。スクリーンセーバー入っていたのかよ。
削除の途中であるが、スクリーンセーバーを解除する。
CPUに負荷をかけるものは、
解除しておくに間違いない。
やがて、次々とデータが消されていっているのであろう。
でもそれも、こちらは進捗バーでしか、
認識することができない。
ふと。さみしい気持ちがわいてくる。
このパソコンがやってきた当時を思い出したのだ。
パソコンというのは、可能性を秘めている。
両親も、その可能性にあこがれて、このパソコンを
手にしたのだろう。
インターネットに接続すれば、
世界中の人達とつながる土俵に立てる。
考えただけでも、興奮するものがある。
しかし、現実は、そうもうまくいかないもの。
次第にマインスイーパーや、
インターネット閲覧のみを、
する以外に、起動されない物体になってしまった。
それでも両親は、酒の席になると、まだうれしそうに、
自営業のホームページを立ち上げてみたい。
なんて話を、語っていた。
過去の思い出話。
そんな両親も、今はもう、この世にはいない。
今回、その荷物整理の際に出てきたパソコンなのである。
あの日、あの時、もう少しパソコンについて、
なにか、できることがあったのかもしれない。
でも当時、遠距離だったこともあり、
思いを聞くことしかできない自分だった。
さあ。進捗が100%になったら、
電源を落として、ダンボール箱に詰めて、
業者さんに引き渡そう。
ありがとう。
いい未来を見せてくれて。
ありがとう。
私のできない分まで、両親をサポートしてくれて。
感謝するよ。
