本のおもざし―私の好きな本の装丁―(1)ECMの真実
【約700字/2分で読めます】
新コーナーです。この連載では、私の好きな本の装丁(カバー、表紙、帯など)を紹介します。
記念すべき1回目はこちらです。

『ECMの真実』
発行年:2001年
著者:稲岡邦彌
発行元:河出書房新社
装幀:大江旅人
'69年にドイツで設立されたジャズのレーベル、ECMレコードについて書いた本です。

表紙のタイポグラフィは、日本語をゴシック体、欧文をサンセリフ体で小さめに置き、その他のビジュアル要素は、表紙側が青系統、裏表紙側が赤系統のカラーパターンを配置しています。

無駄のないシンプルなデザインが、静けさを特徴とする ECM にピッタリです。
カバーの紙は上質紙で、表面につや消し加工がされており、手触りがなめらかになっています。



カバーを外した表紙の方は、銀紙が使われており、カバーよりもさらに小さめの文字は青紫で、カバーのイメージとも合っています。
規格ギリギリに置かれた文字は、洗練された印象です。

見返し(表紙と本文をつなぐ紙)は、青紫の色上質紙、それに続く本扉は、赤紫の色上質紙です。

文字は銀色で、こちらも小さめですが、配置のしかたが攻めてますね。
全体を通して、格子状の設計、サンセリフ体といった、「スイススタイル」の影響を強く感じます。
スイススタイルは、'50年代にスイスで確立したデザインの様式で、他国に先駆けてユニバーサルな志向が提唱された(どの国籍の人でも違和感なく使える)ものでした。
そもそも、ECMレコードもドイツのレーベルではありますが、ヨーロッパだけでなく、アメリカのミュージシャンも多く参加しており、音源自体が特定の国の色に依存しないところがあります。
そういう点から言っても、本の内容に合った装丁ですよね。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。