「人の不機嫌に振り回されたくない。」共感しすぎて疲れる人のための心の守り方
感情をコントロールしようとするのをやめるとラクになる。
〜1分でできる身体のスイッチ 〜
はじめに
「職場のあの人が機嫌が悪いと、その場にいるだけで、なんだか緊張して疲れる…」
「チームのリーダーが、一人の人を集中攻撃するように、ダメ出ししていて、自分が責められているわけじゃないのに、見てると辛くなる。」
「相手の愚痴や悩みを聞いているうちに、自分の心までドーンと重くなってしまう…」
看護や介護、カウンセリング、教職など、人と接するお仕事をされている方や、根が優しく頑張り屋さんな方ほど、「人の感情に共感しすぎて、家に帰るとぐったり動けなくなる」という経験があるのではないでしょうか。
「もっと強い心を持たなきゃ」 「いちいち人の不機嫌に振り回されないように、感情をうまくコントロールできるようになりたい」
そう思って、本を読んだりポジティブに考えようと努力したりしてきたかもしれません。
でも、先に結論をお伝えすると、あなたが苦しいのは意志や心が弱いからでも、感情コントロールが下手なからでもありません。
そもそも、世の中で言われている感情コントロールの方法が、「本当に私たちが対処すべき反応」に届いていないことが多いんです。
「怒り」の手前にあるもの。
私たちが苦しんでいるものの正体とは?
実は、私たちが日常で感じる感情には「一次感情」と「二次感情」という構造があります。
①一次感情(primary emotions)
出来事に対して、瞬間的に湧き上がる自然な感情。
驚き・恐れ・悲しみ・喜び・興味・嫌悪などが代表的です。
②二次感情(secondary emotions)
一次感情や状況をどう評価・解釈したかによって生じる、より複雑な感情。たとえば、本当は悲しかった。本当は寂しかった。本当は不安だった。本当は分かってほしかった。本当は大切にされたかった。本当は怖かった。本当は限界だった。そうした一次感情が、すぐには言葉にならず、表面に怒りという形で出てくることがあります。
私が以前勤めていた職場に、機嫌の浮き沈みが激しい先輩がいたことがあります。
私は、その先輩に色々教えてもらうことも多かったので、頼りにしている反面、不機嫌な態度を取られることが続くと、怯える気持ちもありまし。
心の奥で「理由が分からなくて怖い」「冷たくされて悲しい」という一次感情が生まれていました。
しかし、その本音を感じる間もなく、「私が何か気に障ること言ったかな…」という自責(二次感情)を膨らませていたのです。
そして残念なことに、巷の感情コントロール術の多くは、表面に現れた「二次感情(怒りやイライラ)」を頭(思考)で抑え込もうとするアプローチです。
奥底にある本当の気持ち(一次感情)を無視したまま、表面の怒りだけをコントロールしようとしても、心の中で葛藤が起き、かえって脳や心がぐったり疲弊してしまいます。
感情の「分類」すらやめていい。
言葉になる前の感覚を味わう
怒りのコントロールのノウハウとして、怒りは二次感情で、その奥にある一次感情に気づくことが大切だと言われているので、感情をコントロールしたい!と様々な方法を試みた方の中には、きっと、この二次感情から一次感情を紐解くことを試されてことがある方もいらっしゃると思います。
ですが、ここで私から、提案したいのは、
「これは一次感情かな?二次感情かな?」と頭で分析(カテゴライズ)することすら、やめてもいいということです。
なぜなら、「これは何の感情だろう?」と頭で分類しようとしている時点で、あなたの意識は身体(感じること)から離れ、再び「思考(頭)」の世界に戻ってしまうからです。
私たちの心と神経系が本当に解放されるのは、感情に名前(言葉)をつける前段階の「身体の純粋な感覚(情動)」をそのまま感じ切ること。
これが、実は、人の不機嫌に振り回されずに、自分の心を守る方法として、とっても優れているんです。
これは私の個人的な考えではなく、現代の身体心理学(ソマティック心理学)の世界でも証明されている事実なんです。
身体感覚を用いたトラウマ療法の第一人者であるピーター・リヴァイン博士(Peter Levine)も、こう提唱しています。
感情を頭(言葉や思考)でコントロールしたり分析しようとするのではなく、言葉になる前の『身体の体感(感覚)』に静かに意識を向け、ただ安全に味わい切ること。 それによってのみ、身体に溜まった自律神経の過緊張やストレスは根本から解放される。
まとめ
「人の不機嫌に振り回されたくない。」共感しすぎて疲れる人が心の守るためにすることは、
感情に「怒り」「悲しみ」「不安」というラベル(名前)を貼ることでも「こ「れは一次?二次?」と分析することでもないんです。
「あ、いま胸のあたりがキュッと締まっているな」 「喉の奥がぐーっと詰まる感じがするな」
ただそれだけ。 言葉(思考)になる前の「身体の感覚」に静かに意識を向け、良いも悪いもジャッジすることなく、分析することもなく。
「いま、私の中でこの感覚が起きているんだな」と味わってあげる。
神経系は、思考(分析)によって整うのではなく、「身体の体感を安全に感じ切る」ことで初めて滞っていたエネルギーが解放され、安心感を取り戻す仕組みになっています。
自分の外側ではなく、自分の内側。身体の感覚に意識を向けていくことで、自分自身への信頼が高まり、外側の影響を受けても折れない自分になっていくことができます。
人の感情に飲まれないための「1分スイッチ」
「また人の機嫌に振り回されてしまった…」と自分を責める必要は一切ありません。 今日からは、思考で感情を分析したり、コントロールしようとするのを手放してみませんか?
相手の不機嫌や重い空気に飲み込まれそうになったら、頭の中で「怒り」や「反省」がぐるぐる回ったら、それもコントロールすることを一旦手放して、ただ自分の身体に意識を向けます。
⏱️【1分スイッチ(身体の体感アプローチ)】
「いま、自分の身体のどこに力が入っているかな?」と観察してみる (肩が上がっているな、息を止めているな、お腹がぎゅっと縮んでいるな、など)
その場所にそっと自分の手を当てて、じんわりとした温もりを感じてみる
「あ、私はいま、身体をぎゅっと縮めて自分を守ろうとしていたんだな」と、身体の反応をただそのまま味わい、認めてあげる
頭で「イライラしちゃダメだ」「気にしないようにしよう」と無理に抑え込むのではなく、言葉になる前の身体の体感(情動)に気づき、優しく寄り添ってあげること。
そうすると、「いま自分は安全なんだ」と脳と神経系が思い出し、思考の暴走や感情の波がすーっと引いていきます。
感情をうまく言葉にできなくてもいい。分類できなくてもいい。 頭で自分をコントロールしようとするのをやめて、まずは優しく「身体の声(体感)」を感じてあげること。
それだけで、人の不機嫌に振り回されない、しなやかで温かいあなたの軸が戻ってきますよ。
