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山口周「人生の経営戦略」

「大昔は、紙の文書にハンコを押して回していたのだけれど……」と2年目職員が1年目職員に説明しているのを見て、頼もしさに嬉しくなりながらも、大昔はって、とおかしさがこみ上げて、こっそり笑ってしまいました。2年目職員を昨年度指導していたのが、採用後8年目の職員だったので、まだ電子決裁がなかった頃をよく知っていて、そんな言い回しで説明していたのかもしれません。
単にやり方を教えるだけじゃなくて、その背景的なことも伝えたりしているのもすごいな、と思います。そして、それも、その8年目の職員がやっていたことなのでしょう。
他の係員もお互いにいろいろ教え合ったり、分からないことを訊いたりしているのを見て、心から嬉しく思います。そうあって欲しいと思うので、私自身も自分の目の前のことでいっぱいな時もできるだけ、何かを訊かれたら、すぐに対応しようと心がけています。もちろん調べ方や考え方を示した方が良い時はそういう示し方で。
メンバーが入れ替わって、今はすごく大変で私もいっぱいいっぱいだけれど、こうやって少しずつ色んなことを身につけていければ、この状況を抜け出せるかな、と想像しています。そして、年度末を迎える頃には、このチームでできる最高のパフォーマンスを実現できていたら素敵です。

こんな風に気持ちを立て直すことはできたのですが、実は先々週くらいまでは、ボロボロな気持ちになっていました。尊敬する友人たちが集まる会に誘われたにも関わらず、お断りのお返事をしてしまったくらいで。

でも、今からでも参加できるかな、と考え始めるくらいに、元気になりました。
この本のおかげです。

こんな話をするのもとても恥ずかしいのですが、実はこの春、昇格できるのではないか、と思ったのですが、できませんでした。先輩や同僚からは、そんな風に言ってくれる人もいたから、そろそろかな、と考えていました。同じ時期に係長級になった職員は昇格した人もいて、ああ、私の評価はそうではなかったんだ、と感じ、落ち込みました。お世辞だと気付かないくらい、周りが見えてなかったんだと。
それどころか、人と較べるほどさもしいことはありませんが、なぜあの人が、と思うこともあったりして。
自分としては、これまで何度も、自分を含めたチームの貢献により、価値を創造できた、と思える実績がありました。もちろん私だけの力ではないですが、自分がいなければ今の形にはなっていなかっただろう、と思います。そして昨年は、係長の職域を超えたことも任されて、正直とても大変でしたが、貢献できたと思えることもありました。

内示を見て、自分でも驚くくらい、落ち込みました。多分無理して頑張り過ぎたから、見返りが欲しかったのです。とはいえすぐに、いや、本気で次の人生を考えよう、と思うようになりました。
すぐに退職を考えているわけではありませんが、そもそも、再任用職員にはなりたくないと思っていたので、次の仕事を考えなければいけなかったわけです。昨年中から、そろそろ本腰入れて考えようとしていたのですが、自分だけで結論は出せず、プロの力を借りたりしようかな、と思っていました。

そんな中で、この本を読み、自分の幸せは仕事で成功することだっただろうか、ということに思い至ったのです。

本の中で、ハーバード・ビジネス・スクールでイノベーションに関して類稀な業績を残した経営学者クレイトン・クリステンセンの著書が紹介されています。将来を嘱望されながら社会に羽ばたいていった同級生たちが、しばしば人生を「はなはだしく踏み外している」ことを述べています。
この話から、山口氏は、多くの人は「エリートなのになぜ?」という問いをたてがちだが、むしろ彼らは「エリートだからこそ」人生を踏み外したと考えるべき、と語っています。

なぜならエリートは全般に「他者から与えられたモノサシを鵜呑みにする」傾向が強いからです。課されたテストに意味や目的を問うこともなく、ただ一番を目指して一心不乱に取り組める、そのような性格特性が、彼らの成績を押し上げ、エリートたらしめるのです。
《中略》最も重要な「私の人生で最も重要な指標は何か?」「何を一番にしたら私は幸福になれるのか」という問いについては考えたことがなかったのでしょう。

本書

私にも、似たようなことで、心当たりがあります。学生の頃はテストの成績で一喜一憂していました。真面目にこつこつと勉強する自分をすごいと思っていたけれど、単に、やりたいことがなかっただけなのではないか、とも思います。自分が何を一番にしたら幸福になれるのか、ということは、今でもよく分かりません。そのことに愕然とした時期もあります。
そして、今は別に仕事に成功することじゃない、組織目標に従いながらも、自分の価値観で仕事をする、などと言いつつも、結局は評価にこだわっていたんだ、ということに気付かされたわけです。

一度染みついた他者のモノサシを気にする性格は、簡単には治らないかもしれないけれど、自分のモノサシについて、しっかりと考えたいと思いました。

そんな中で、職場の何気ない会話に気付いて、こういうチームを作れていることを、とても誇りに思ったわけです。以前から、年度末をみんなで元気に迎えられること、が私の裏目標でした。生活の3分の1かそれ以上を占める仕事が、それぞれの日常にストレスだけでなく生きるモチベーションや楽しみ、そして人間としての成長を与えることができたとしたら、こんなにすごいことはないと思います。

そして、それは、私にとっても同じでなければならない、とも改めて思いました。苦しくなるくらい仕事をしたいのか、という話です。そもそも、これだけ頑張ったんだから、それに見合う評価があってもよいはず、という思いが、落ち込みにつながったのだろうな、とも思いました。

この本は、経営学の様々な考え方を、自分自身の人生を考えていくためのスキームとして用いるものです。もちろん企業や組織とは異なり、人生の長さや身体的な機能の変化という制約が前提となります。ですが、その中で、経営学の手法をどのように当てはめて、どう投資、時間をどう使っていけば、より大きなリターンが得られるか、という話になります。

先ほどのクレイトン・クリステンセンだけでなく、様々な書籍が紹介されていて、巻末にも簡単な概要とともに、経営学独習ブックガイドとしてまとめられています。いくつか読みたいものも出てきました。

自分がどんなことに幸せを感じるか、価値を感じるか、ということにも、しっかりと注目して、これからのことを考えていきたいと思います。

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