「偏差値41の夜、僕は風呂場で泣いていた」
中学受験は、小学4年から6年まで続いた。
小4の時点で、
塾だけじゃなかった。
習字、公文、水泳。
放課後は予定で埋まっていて、遊ぶという選択肢はほぼなかった。
友達と遊んだ記憶は、ほとんどない。
小5、小6になると、
習い事の中心は受験塾になった。
量が減っただけで、
自由が増えたわけじゃない。
「受験生なんだから」
その一言で、
遊びも、寄り道も、全部却下だった。
一度だけ、
本当に一度だけ、
自分の意思を口に出したことがある。
「クラブのサッカーチームに入りたい」
初めて、
自分から“やりたい”と言ったことだった。
でも返ってきたのは、
「サッカーなんて何の意味もない」
それで終わりだった。
ああ、
自分のやりたいことは、この家では価値がないんだ
と、その時はっきり分かった。
話が変わるが塾では、数ヶ月に一度「公開模試」があった。
全国の系列塾の生徒全員が受けるテストで、
偏差値が出て、
受かりそうな学校がはっきり示される。
小学生には、残酷すぎる数字だった。
忘れられない春の日がある。
小4の時だ。
公開模試の結果を受け取って、家に帰った。
偏差値は 41。
正直、低すぎたと思う。
でもその時の僕は、
「まあ仕方ないか」くらいの気持ちだった。
結果を親に渡して、
何も言われなかったから、
そのまま風呂に入った。
湯船に浸かっていると、
リビングから家族の声が聞こえてきた。
両親と兄、三人の声だった。
「あいつバカすぎだろ!!笑」
「もう終わりだな!笑」
小4の自分を、
家族全員で笑っていた。
衝撃だった。
でも同時に、
それを「受け入れちゃいけない」気がして、
頭が真っ白になった。
涙が止まらなくなって、
風呂から出られなかった。
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