約2,000人を対象に、頭の中でイメージを思い浮かべる能力の個人差(アファンタジア等)を調査した大規模研究
先日、アファンタジアやハイパーファンタジアに関する研究論文が、査読付き学術誌『Cortex』に掲載されました。以下です。
Multimodal Mental Imagery Profiles and the Prevalence of Aphantasia and Hyperphantasia in the General Population
(一般集団における身体・感覚イメージ能力とアファンタジア等の出現率)
2026-05-05
Boris New, Julien Barra, Alan Chauvin, Nicole Huson, Hélène Lœvenbruck
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0010945226001280
この論文の内容を、AI(Gemini)にまとめてもらいました。以下に共有します。前半はAIが執筆、後半の7章(無像之像による個人的な感想)以降は私が執筆しました。
この記事を読む際のご注意(免責事項)
本記事の論文要約パートは、生成AIを活用して作成しています。AIの性質上、事実と異なる情報や誤訳が含まれる可能性があります。万が一内容に誤りがあった場合、元の論文の著者および出版社に一切の責任はありません。重要な判断や専門的な内容については、必ず一次情報(元の論文)をご参照ください。また、本記事は学術的な研究結果を紹介するものであり、医学的な診断、治療、または専門的なアドバイスに代わるものではありません。
約2,000人を対象に、頭の中でイメージを思い浮かべる能力の個人差(アファンタジア等)を調査した大規模研究
出典(AI生ログ):Gemini のログ(PDF版|画像版)
この研究は、従来の「頭の中でイメージを描けない状態(アファンタジア)」が視覚だけに偏って議論されてきた背景に対して、「人間のあらゆる五感や感覚(マルチモーダル)において、イメージを描ける人と描けない人の割合(出現率)はどうなっているのか」を約2,000人の大規模データから明らかにした画期的な論文です。
専門的な統計結果を網羅し、一般の方にも分かりやすく、その数値が意味する解釈を含めて詳しく説明します。
1. 研究の背景と実施方法:何をどう調べたのか?
これまでのアファンタジア研究は、「目をつぶってもリンゴの絵が浮かばない」といった視覚の困難として捉えられがちでした。しかし、人間は音、匂い、触覚なども頭の中で再現できます。
1-1. 対象者
イギリスの18〜30歳の男女1,952人(サンプルの偏りを防ぐため、「読書に関する調査」と偽って募集し、自覚症状のない一般層を広く集めた)。
1-2. 調べた感覚(8つの感覚+感情)
視覚(見る)
聴覚(音を聴く)
触覚(触る 皮膚感覚)
運動感覚(体を動かす感覚)
味覚(味わう)
嗅覚(匂いを嗅ぐ)
内臓感覚(喉の痛みや空腹感など)
音声・言語イメージ(頭の中の話し声・内言)
(追加調査) 感情イメージ(喜びや恐怖などの感情を自発的に呼び起こす)
これらを、心理学で実績のある質問紙(QMI:各感覚ごとに5つの質問、5点〜35点で評価)を用いて数値化しました。
1-3. アファンタジアの基準
10点以下(「イメージを思い浮かべようとしても何も浮かばない、あるいは非常にぼんやりしている」状態)。
1-4. ハイパーファンタジア(超鮮明にイメージできる状態)の基準
35点満点(「現実と全く同じくらい鮮明に再現できる」状態)。
2. 統計結果の網羅的な解説と数値データの詳細
論文内で示された主要な統計データを網羅的に整理します。
2-1. 全体における「イメージの多様性」の割合
アファンタジア:13.9%
少なくとも1つの感覚でイメージが欠如している人ハイパーファンタジア:21.1%
少なくとも1つの感覚で超鮮明にイメージできる人一般的なイメージ力を持つ人:66.2%
どちらの極端な傾向もない人混合型:わずか 1.64%
ある感覚ではアファンタジアだが、別の感覚ではハイパーファンタジアの人
2-2. 感覚ごとのアファンタジア・ハイパーファンタジアの発生率(出現率)
各感覚によって、イメージの「描きやすさ(描きにくさ)」には明確な階層(ヒエラルキー)があることが統計的に証明されました。

追加調査(感情イメージ):
感情を思い浮かべられない「感情アファンタジア」は 2.56%、逆に超鮮明に感情を呼び起こせる「感情ハイパーファンタジア」は 4.15% でした。
2-3. 単一の感覚か、それとも連動しているか?
アファンタジアであると判定された人のうち、59.2% が「2つ以上の複数の感覚」でイメージを描けないと回答しました。
視覚アファンタジア(4.15%)の人に限定すると、「視覚だけがダメで、他の感覚は正常」という単一のケースはわずか 22.7% に過ぎませんでした。つまり、約8割の視覚アファンタジアは、他の感覚のイメージ力も低下していました。
ハイパーファンタジア(21.1%)の人も同様に、49.5% が複数の感覚で満点を記録していました。
2-4. 感覚同士の相関関係(連動性)
統計的な相関分析(ピアソンの相関係数 r)を行うと、すべての感覚イメージの間でプラスの相関(連動性)が見られました。特に強かったのは以下の組み合わせです。
味覚と嗅覚: r = 0.71(非常に強い連動)
味覚と触覚: r = 0.69
触覚と運動感覚: r = 0.69
逆に、最も相関が低かった(連動しにくかった)のは「音声・言語イメージ」と「内臓感覚」の組み合わせ(r = 0.39)でした。
2-5. 驚きの性別差
従来の視覚限定の研究では「男女差はない」とされていましたが、マルチモーダルで検証した結果、明確な男女差が浮き彫りになりました。
アファンタジア全体における男女比は、女性 59.2%:男性 40.0% と、有意に女性の方が多かったのです。
特に差が激しかったのは、内臓感覚アファンタジア(女性 72.1%)、聴覚(女性 68.8%)、運動感覚(女性 65.9%)、音声・言語(女性 65.8%)でした。
なお、過去の研究通り、「視覚アファンタジア」においては男女差は全く認められませんでした(女性 55.6%:男性 44.4% で統計的差はなし)。また、ハイパーファンタジア(イメージが超鮮明なグループ)についても男女差はありませんでした。
2-4. 精神医学・発達障害との関連性
神経学的・精神医学的疾患(うつ病や不安障害など)の罹患率:
一般的なイメージ力の人:5.57%
アファンタジアの人:11.84% (約2倍)
完全なアファンタジア(5点)の人:14.59% (約3倍弱)
ハイパーファンタジアの人:4.13%(一般層と大差なし)
発達障害(自閉症スペクトラム障害 ASD など、Study 2での調査)の割合:
一般的なイメージ力の人:22.9%
アファンタジアの人:39.0%
完全なアファンタジアの人:44.0% (約2倍)
ハイパーファンタジアの人:22.9%(一般層と完全に一致)
3. これらの統計結果が示唆する意味・科学的解釈
これらの膨大な数値から、認知科学および医学的にどのようなことが言えるのか、詳しく解説します。
3-1. 解釈A:アファンタジアは「感覚の欠陥」ではなく「脳の制御システムの個人差」である
統計結果から、アファンタジアの約6割が複数の感覚にまたがって発生していることが分かりました。もし「目」や「耳」といった特定の感覚器、あるいは脳の視覚野だけの問題であれば、視覚だけがダメで聴覚は天才的、といったことが起きるはずです。しかし実際には、連動して全体のイメージ力が低下していました。 ここから示唆されるのは、アファンタジアの本質が「脳のトップダウン処理(前頭葉などの認知制御ネットワークから、各感覚領域へ指示を出してイメージを呼び出すコネクション)の特性」にあるという点です。また、脳内ではイメージ自体は作られているものの、それを「意識の表面にアクセスさせる機能」が異なっている可能性も指摘されています。
3-2. 解釈B:化学感覚(匂い・味)は弱く、聴覚は強固であるという脳の優先順位
データは、嗅覚アファンタジアが 7.79% と最も多く、聴覚アファンタジアが 2.46% と最も少ないことを示しました。逆にハイパーファンタジアでは聴覚が最多(8.91%)で嗅覚が最少(2.92%)です。 これは現代の人間社会において、私たちが日常的にいかに「音や言葉(内言)」を脳内で酷使し、逆に「匂いや味」を意識的に脳内で再現する機会が少ないか(あるいは脳の注意ネットワークとの結びつきが弱いか)を反映しています。生存やコミュニケーションに直結する聴覚イメージは脳に深く組み込まれており、失われにくいと考えられます。
3-3. 解釈C:特定の感覚同士が脳内で「同じインフラ」を共有している証明
味覚と嗅覚(r=0.71)、触覚と運動(r=0.69)の強い相関は、私たちが日常的に経験する認知の仕組みを物質的に裏付けています。風味を思い浮かべるときは必ず匂いと味がセットであり、触感を思い浮かべるときは手をどう動かすかという運動シミュレーションがセットで脳内で行われているため、イメージの鮮明度も完全に連動するのです。 一方で、「音声・言語イメージ(頭の中の独り言)」の相関が全体的に低かったことは、この機能だけが一般的な感覚イメージとは異なり、脳の言語処理という非常に特殊な独立したシステム(内言ネットワーク)を使っていることを意味します。
3-4. 解釈D:視覚アファンタジアに男女差がなく、他にある理由
女性の方が内臓感覚や聴覚、運動感覚で「イメージが湧かない」と答える割合が統計的に有意に高かったという発見は、本論文における非常に新しい知見です。 これは単なる「女性の方が自己評価が厳しい(謙虚である)」という回答の癖(応答バイアス)では説明がつきません。なぜなら、もしそうした姿勢が原因であれば、視覚やハイパーファンタジアのデータでも男女差が出るはずだからです(実際には出なかった)。したがって、特定の感覚イメージの生成や、それを意識に引き上げるプロセスにおいて、男女の脳の特性や日常的な認知の使い道に未解明の生物学的・心理学的差異があることを強く示唆しています。
3-5. 解釈E:アファンタジアと発達障害・精神疾患の深い結びつき
統計は、アファンタジアの人ほど発達障害(ASDなど)や精神疾患を抱えている確率が目に見えて高いことを示しました。 自閉症スペクトラム(ASD)の特性の一つに「弱い中央統合(Weak Central Coherence:全体を見ず、局所的なディテールに集中する認知スタイル)」があります。脳内でイメージを構築するには、記憶の断片を一つのコヒーレント(一貫性のある)な全体像として組み立てる必要がありますが、局所集中型の脳のスタイルだと、これが難しくなり、結果としてアファンタジアになりやすいのではないか、と解釈できます。
また、ハイパーファンタジア(イメージが超鮮明な人)は「幻覚を見やすいのではないか」と長年疑われてきましたが、今回の統計では一般的な人と精神疾患の割合に差がありませんでした。つまり、「イメージが鮮明すぎることは病気のリスクにはならないが、イメージが全く湧かない状態(アファンタジア)は、脳の何らかの脆弱性や認知の困難さと地続きである可能性がある」という重要な非対称性を意味しています。
3-6. 解釈F:感情アファンタジアと身体感覚の密接な関係
追加調査で「感情イメージ」と「内臓感覚イメージ」の間に非常に強い相関(r=0.73)が見られたことは、現代の認知科学における「情動の身体化理論(感情とは、脳が体の状態、例えば心拍数や喉の渇き、痛みを解釈したものであるという説)」を強力にサポートしています。 悲しいから涙が出るのではなく、涙が出て心拍が変わるから悲しいのだという説(ジェームズ・ランゲ説やダマシオのソマティック・マーカー仮説)のように、頭の中で「恐怖」や「喜び」を再現できない人は、同時に「お腹が空いた感覚」や「喉が痛い感覚」といった自分の体内のシミュレーションも苦手であることが分かりました。これは島皮質(インスラ)と呼ばれる、内臓感覚と感情を統合する脳のハブ領域の働きに個人差があることを示唆しています。
4. 懐疑的・客観的視点(本論文の限界と注意点)
この論文の価値を冷静に評価するために、論文内で自ら挙げられている限界点にも触れておきます。
4-1. すべて「自己申告」である点:
自分の頭の中がどれくらい鮮明かは、他人に証明できません。他人より優れていると思い込んでいるだけの可能性(ハイパーファンタジア)や、本当はイメージが見えているのに「本物の現実と比べたら見えていないに等しい」と厳しく判定して最低点をつける可能性(アファンタジア)を完全には排除できません。
4-2. 臨床現場や教育現場への警鐘:
学校の先生が「3Dの図形を頭に思い浮かべてごらん」「物語のシーンを想像して」と当たり前のように指示しますが、生徒の数%〜十数%はそれが構造的に不可能です。イメージできないことを「努力不足」や「理解力不足」と誤解されて不当な評価を受けている可能性があり、マルチモーダル(五感すべて)での多様な評価と配慮が必要であると結論づけています。
5. 結論
この論文は、アファンタジアを単に「目に見えない状態」から「脳のトップダウン制御における網羅的かつ自然な多様性(ニューロダイバーシティ:脳の多様性)の一環」へと認識を改めさせる、極めて重要な統計データを提供していると言えます。
6. 参考(他AIによるまとめ)
7. 無像之像による個人的な感想
※ 以下はすべて私見です。一般化する意図はありません。また、内容が正しいとも限りません。
今回の研究はいろいろ興味深いが、まず全てが自己申告であるという点に注意が必要。現状、VVIQやQMI(今回の研究で使用)といった自己申告型のアンケートが研究の土台となるデータ収集のツールとして機能している。これらツールには一定の信頼性があるという見解がある一方で、厳密には疑わしいという見解もある。その是非はいろいろ議論されているが、事実として、多くの学術的研究でVVIQやQMIといった利便性の高いツールが使われており、事実上の標準といっても差し支えない。それが本当に信頼に足るかは別として。かといって現実的に他に有用なツールもない。現時点では受け入れざるを得ないのではないか。
次に、研究のベースとなるデータは、単に自己申告アンケートの集計であって、因果関係を証明したものではない。つまり、統計的に「アファンタジアだから〇〇〇である」というふうな表現は可能かもしれないが、因果的に「アファンタジアだから〇〇〇である」あるいは「アファンタジアだから〇〇〇ではない」とは誰にも言えない。つまり、因果的には「厳密には分からない」といった表現が無難だろう。
なお、この手の研究結果はメディア等によって独り歩きしやすく、やたらセンセーショナルに報じられる可能性はある。それは決して良い事とは言えないが、メディアとはそういうふうに情報をつたえるクソなので仕方ない。また、人間とはそういうふうに情報をつたえる生き物なので仕方ない。
さて、この研究の結果を眺めてみて、個人的に注目したのは次の点だ。
内言(脳内で言語によって思考すること)における心的聴覚と心的音声を区別した点。私のケースで言えば、私の内言には心的聴覚も心的音声も伴わない。ところが、多くの人にはどちらかあるいは両方が伴っているようだ。そして私のようなケースはアネンドファジア(anendophasia:無内言症)とも呼ばれるらしい。このへんの分類は研究によってもいまいち定まっていないような気もするが、おそらくポイントはこうだ。
①心的聴覚
②心的音声
③心的言語(必ずしも①や②を必要としない)
④アネンドファジア
一般の人は①②③を備えており、これを総合して内言と表現しているのかもしれない。私のようなケースは③のみを備えており、これをもって内言と表現している。つまり同じ内言でもずいぶん違う。一方で、①②③のすべてが存在しない人がいても不思議ではない。こういった人をアネンドファジア(無内言症)と呼ぶ研究もあったような気がするが、網羅的に調べたわけでもないので、気のせいかもしれない。
いずれにしても、内言やアネンドファジアといったキーワードが出現した場合は、その詳細は何を指しているのか?という点に注意を払う必要がある。
次に注目した点は、アファンタジアで最多の感覚モダリティ(感覚様相)は嗅覚(化学系)であり、最少は聴覚である点と、ハイパーファンタジアで最多の感覚モダリティは聴覚であり、最少は嗅覚である点だ。なんと、両者は真逆の傾向にある。これが何を示唆するのか不明だが、興味深い。
ハイパーファンタジアの脳内は心的聴覚でワチャワチャしてる傾向があるのだろうか。アファンタジアの脳内は逆でノイズ(?)が少ないとも言える(?)。ちなみに私は全感覚モダリティのアファンタジアなので脳内は静かで落ち着いている(と自分では思っている)。この点を有利に感じることもある。
なお、嗅覚や味覚というのは地球の裏側に「それそのもの」を伝えることはできないが、視覚や聴覚はインターネットを通して地球の裏側に伝えることができる(つまりそれを人の感覚に刺激を伝える端末、すなわちモニターやスピーカーがあるから、完全ではないが伝わる)。このあたりの対比も興味深い。
また、アファンタジア以外は聴覚優位の傾向があるとしたら、統合失調症での幻覚が主に幻聴であることも関連するのだろうか。
次は、やはり発達障害や精神疾患との関連だろう。私は完全なアファンタジアなので統計的には発達障害や精神疾患のリスクは高いといえるが、これまでの人生でそういったことを感じたことはない。なので当然ながら精神系や心理系の医療を受けたこともないし受けようと思ったこともない。私にとっては不要。だが、統計的には関連があるという。これは興味深い。
アファンタジアの一部に、やたら(アファンタジアに由来する)生きづらさを主張する「病みアカウント」がいるのはこのせいだろうか。その生きづらさの主因はアファンタジアではなく、むしろ発達障害や精神疾患のほうに由来しているのではなかろうか、などと勝手に想像してみた。
それともう一点、完全なアファンタジアをこの論文では純粋(pure)なアファンタジアと呼んでいる。つまり混じりけのないアファンタジアということだろうか。こういった呼称は研究分野や一般でもバラバラだ。どうにかして統一的な呼称が定まってくれれば混乱も少なくなると思う。
次。研究の結果によると、いろんな感覚モダリティを調べると各感覚でのアファンタジアは予想以上に存在していて、一つ以上の感覚のアファンタジア者の割合は全体の13.9%だそうだ。同様に、一つ以上の感覚のハイパーファンタジア者の割合は全体の21.1%だそうだ。
ハイパーファンタジアのほうは自分は門外漢なので詳しく知らんが、アファンタジアのほうでこの結果が出たこと自体は何ら驚きもしない。自分は以前からアファンタジアの定義を広く緩くすれば、かなりの人が該当するのでは? と思っていたので。そしてこの研究の結果では実際そうなった。ただ、どの感覚モダリティでアファンタジアなのか?という点は興味深く、これは先に述べた通り。
次は各感覚モダリティの相関について。味覚と嗅覚、そして触覚と運動は、強い相関があった。前者で言えば「匂いを鮮明に想像できる人は、味も鮮明に想像できる傾向」ということだろう。後者はスポーツ全般と関連付けられるかもしれないが、個人的に注目するのは性行為だ。まさに触覚と運動の複合だ。こっち系の想像が強い人は、性的な妄想が逸脱する可能性があるのではなかろうか。そしてそれを制御できず他者に欲望が向かうと、いろいろヤバいことになる(シリアルキラーの一部はその典型)。
ちなみに私は完全アファンタジアだから視覚や聴覚は当然として、味覚も嗅覚も、そしてもちろん触覚や運動についても、そういった感覚が心の中で再現されることはない。もちろん反芻したり妄想することなどもありえない(事実上不可能)。すべては概念や観念であり、知識や認識でしかない。これは夢の中でも同様であり、つまり、覚醒時(意図的)および睡眠時(非意図的)の両方で心的イメージを経験しない。
詳しくはこちら: 夢の中の抽象的ループ、例外的かつ一過性の体験
なお、アファンタジアの人でも夢の中ではこういった感覚を鮮明に経験する人もいるらしい。
次は男女差について。これは何とも言えない。本当に差なのか、それとも自己バイアスなのか、そういったことを疑ってしまう。現時点では「分からない」という解釈。それに男女差というパラメーター自体に、個人的にはあまり興味がない。
次。感情と身体感覚の密接な関係については、最近のアファンタジア研究分野でもこれに関連するテーマをよく見かける。アレキサイミア(自分の感情を自覚したり言葉で表現したりすることが苦手な状態)とも関係するのかもしれない。身体感覚というのはいわゆる内受容感覚のことだろう。
客観的に確かめたわけではないが、自分は内受容感覚(身体感覚)という現象にあまり実感がない。例えば心臓の鼓動?心拍数?そういったものを感じる人がいるのだろうか。自分は普段の生活の中でそういったものは感じないし、これまでの人生でもさして感じたことがない(もちろん速く走れば鼓動は感じるが生活の中で微細な動きを感じることはない)。また、空腹になれば空腹ということを感じるだろうし(そういえば20代の頃は空腹のときのほうがコーディングがはかどるので一日一食、朝だけだった)、疲れてくれば眠りたくなる。そういう意味では内受容感覚を感じているのだろうか。内受容感覚の定義も実感も分からないので(あまり調べてない)、いまいち興味を持ちづらい。
次にハイパーファンタジアの自認について。本稿では詳細は述べられていないが、論文のほうでは、ハイパーファンタジア傾向の人は、例えば視覚イメージの鮮明性というアナログの状態(例えばここでは0%から100%までだとしよう)において、自分は100%(つまり「俺は完璧に見えてる」)という人が多かったそうだ。本当にそうなのかは別として。
つまりハイパーファンタジア傾向の人は「主観に確信を持ちやすい」といえる。案外、こうした確信の強さが陰謀論や宗教的体験、神秘的体験との親和性に影響している可能性もあるのではないか。
8. 付録(QMIとVVIQの実際)
アファンタジアやハイパーファンタジアの測定でよく使われる自己申告型アンケート(QMIやVVIQ)の実際について、ざっくり以下に紹介する。あくまで参考であることに注意されたい。
8-1. QMI
※ 質問が35項目の場合、各感覚の合計点は5~35点の範囲。
各質問について7段階から一つを選ぶ。
7が最高点(7点)で、1が最低点(1点)。
例えば、
7点:完全に明瞭で実際の経験と同じくらい鮮明にイメージできる
4点:中くらいの明瞭さと鮮やさである
1点:まったくイメージが現れず、ただその対象について考えていることが分かっているだけ

8-2. VVIQ
※ 質問が16項目の場合、合計点は16~80点の範囲。
各質問について5段階から一つを選ぶ。
5が最高点(5点)で、1が最低点(1点)。
例えば、
5点:完全に明瞭で実際の経験と同じくらい鮮明にイメージできる
3点:中くらいの明瞭さと鮮やさである
1点:まったくイメージが現れず、ただその対象について考えていることが分かっているだけ

