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専業主婦という尊い職業に、私が再び就きたくなった理由(わけ)。 #いい働き方ってなんだろう

「インビュー、私、仕事やめたの」

携帯に英語のLINEメッセージが届いた。

20年程前、イギリスに語学留学をした時に
知り合ったシューレイ(仮名)。

彼女は、語学堪能で料理上手。
頭の回転が速く、
彼女の周りには、
いつも人が集まっていた。

そんな彼女だから、
当然のように海外留学し、
大学院を卒業して
キャリアウーマンになって
バリバリ働いていた。

対して私はというと、
メニエール病とうつ病を患い、
正真正銘の「ひきこもり」だった。

結婚をして子宝に恵まれ、
順風満帆な人生を歩んでいたシューレイは、
なぜ仕事をやめてしまったのだろう?

「そうなんだ。何があったの?」

無神経な私は、不躾な質問をした。


「息子が病気になって、
『私、何やってるんだろう?』
って思ったんだ。
これからは、息子の側にいたいの」


何ということだろう!

彼女は誰もが羨むキャリアを、
我が子のために捨ててしまったのだ!

当時、私に子供はいなかったため、
「もったいない!」
と、投げ捨てるかのように
彼女に返してしまった。
彼女の気持ちを考えることも無く。


あれから月日が経ち、
私も結婚し、息子コーテが産まれた。

コーテが小学生になると、
手がかからなくなってきたため、
税務署で「開業届」を提出した。

「よーし! エッセイを出版するぞ!」


そう意気込んでいたのが、
コーテはストレスで体調を崩し、
学校を長期間休むことになった。

私の夢は、音を立てて崩れ始めた。

仕事をするどころか、
美容室に1時間行く時間もなくなった。

洗面台の鏡の中の私は、
髪がボサボサで、
眉毛が半分しかない。

そんな自分を見つめながら思い出すのは、
あのシューレイの言葉だった。


「これからは、息子の側にいたいの」


心も体もボロボロになっている
息子のために、
親の私ができることは何だろう?

考え抜いた末、
「4コマ漫画『オレ氏、コーテ』」
とオリジナル教材を、
タブレットで作ることにした。





コーテの「発達障害グレーゾーン」
という特性を生かすには
どうしたらいいかと、
試行錯誤の教材作りだった。

カラフルな漢字を目にしたコーテは、
「ママ、もっと作って?」
と目を輝かせた。

いつもは
「大きいハナマルをして!」
と言うコーテだが、
電車と運転士さんの絵を気に入り、
「A➕(プラス)と無限大マークを
小さく書いて」
と訴えた。


漫画と教材作りを始めて
1番良かったことは、
完璧主義のコーテが、
失敗を恐れず挑戦するようになったことだ。




知育菓子「ねるねるねるね」にハマり、
1人で作ってみたが水を
大量に入れてしまい、
パニックになって泣き叫んだ。

「面白いなあ〜。 
イラストにしていい?」

私の言葉に、
コーテは小さな体で
精一杯ジャンプした。

それからコーテは、
ミスをするとニタニタと
笑うようになった。



子供が発達障害など、
何らかの特性がある場合、
母親が出来る仕事は限られている。

特性がある子供が
不登校になった場合、
母親の選択肢は更に狭まる。

だから私は、
コーテの「専属コーチ」になることにした。

この先どうなるかは、
誰にもわからない。

今できることを、
親子で精一杯しよう!

私は今日も、
コーテと一緒に漫画を作っている。

「専業主婦」という、
私にとって世界一尊い職業に
誇りを持ちながら。


(『オレ氏、コーテ』のマガジン)



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