【断髪小説】絶対服従断髪〜いじめられっ子の仕返し〜(3)佐々木 綾乃の断髪
残るは佐々木と朝倉。
リーダー格の朝倉の前に、佐々木をやろう。
佐々木 綾乃(ささき あやの)
金髪巻き髪ロングヘアー。毛染をしていなければ、結構良い髪質だと思う。
ワンポイントで紫のリボンをしている。
いつも強気で親分肌。だけど、朝倉の前ではおとなしいがイジメグループのサブリーダーといったところだ。
正直、目を合わせただけでも佐々木は怖い。
顔は整っているが、存在感があるというか、同じ空間にいるだけでも圧を感じる。
絶対服従できるからといって、ちょっと近づくのは引ける。
まずは様子を見ようと思った。
佐々木の行動を把握するために、少し離れた場所から観察をする。
女友達に対しては、優しく接しているようだ。
しかも、慕われているのが相手の表情から伺える。
「綾乃〜今日も髪サラサラだね〜」
「うんうん、そのリボンもすごい似合ってるよぉ〜」
というか、女子達ちょっと赤くなっていないか?どういうことだろうか?僕にはよくわからなかったが、佐々木と話している女子は皆一様に恥ずかしそうな顔をしている。
思ったより女子に人気があるようだった。
困っている女子がいたら、自分から進んで助けたり、気を使っているのがわかる。
それなのになぜ僕ら男子にはこんなにも冷たく……イジメてくるんだ。
佐々木がこちらに気づいたのか?急に後ろを振り向いた。
「どうしたの?綾乃」
「え?いやー。別になんでもねーけどさ、何かさっきから誰かに見られている気がするんだけどよ〜。」
「そうー?でも、誰もいないよぉ〜?」
「なら、気のせいかな?」
首を傾げながら話を続ける佐々木達。
***
放課後
僕は佐々木が一人になるのを少し遠くから監視している。
いつも彼女は誰かしらと一緒にいる。
このままだといつまで経っても一人になりそうにない。
——そうだ。
「おい、佐々木!」
「ん?なんですか〜?先生〜」
「悪いんだけど、体育倉庫行って、週末の試合のために、ボールに空気いれてもらえないか?」
「え〜〜〜?あたしがですか〜?なんで急に〜」
「いいから、やっておけよ〜。頼んだぞ〜」
よし、先生に服従能力を使って佐々木を体育倉庫に誘導出来た!
佐々木は言われるがまま、体育倉庫へと向かった。
「なんであたしが〜〜」
グチグチ独り言を言いながら、それでも佐々木はなんだかんだ約束を守っている。
こうやって見ていると悪いやつには思えないんだけどな……。
僕は影からそーっと佐々木の様子を伺う」
「……おい、誰だよ。誰かいるんだろう!……コソコソ見てんじゃねえぞ!」
佐々木の目が鋭く光った。その視線がこちらに向く。
やばい!気づかれた!?
「にゃ〜〜〜♪」
「なぁ〜〜んだ、猫か……ってなるか〜〜〜!!!」
ダメだ。完全にバレている。
怖いけど...…僕にはこの能力がある......だから——
僕は隠れるのをやめて、そーっと佐々木に対して姿を表した。
「お〜ま〜え〜か〜〜!断間ぁ〜〜!
朝からコソコソあたしを見てたのは〜!」
やばい...…怖い......。他の二人に対しては強気にいけたけど...…やっぱり佐々木を目の前にすると萎縮してしまう。
「あ、いえ......。僕は別に……」
「はぁ〜?仕返しでもしにきたかぁ〜〜?」
「そ...…そんな事は……」
……だめだ、声もでない。やっぱり怖い......。
「あー、そうだ。お前がやれよ!このバレーボールに空気入れとけ!
わ〜〜〜ったな!?」
嫌だ……。このままじゃ、今までと何も変わらない。
だけど、僕にはそんな勇気はない......。
僕は手をぎゅっと強く握りしめた。
だけど、怖くてその場から一歩も動けなかった。
徐々に遠ざかる佐々木。
佐々木の後ろ姿を睨みつけながら、ただ過ぎ去るのを見守る。
神様……僕に勇気をください……。
——すると、自然と勇気が沸いてきた。
「——嫌です」
言えた!ぼ、僕にも言えたんだ!!!
後ろを振り向く佐々木。
「は?」
やばい......。めっちゃ怒ってる。だけど僕は——。
「——もう、変わりたいんだ!」
「は?お前何言って——」
「——だから、もう従わない!」
佐々木の顔が強張った。
だけど、これで良いんだ……。
「イジメられるだけの人生なんてもう懲り懲りなんだ!
だから、僕はあなたに従わない!!」
「ほぉ〜〜。言ってくれたな〜断間ぁ〜!」
女子とは思えないオーラを纏っている。だめだ、もう僕死んだ。
でもいいんだ。言ってやったんだ。今までずーっと我慢してきたけど、もう限界。もう無理。僕は僕を取り戻したいんだ。
だから——
「僕の言う事を聞いて下さい!佐々木さん!!!」
ビクッと彼女の動きが止まった。
大丈夫。大丈夫だ。僕にはこの能力があるんだ。
「絶対服従……してもらう!」
佐々木の体がガクガク震えている。
怒りの沸点を超えてしまったか?だろうな。だけど、それと同時に絶対服従能力も聞いているはずだ。
彼女は今困惑しているはずだ。
僕に対する怒りがありながらも、僕の言う事を聞くしかない状況に——。
「このクソメガネが!!!!」
え!?うそ!?嘘でしょ!?効かない!?
や、ヤバイヤバイヤバイって〜〜〜!!!!!
佐々木がこちらに突進してくる。
両肩をガシッと掴まれた。
そして壁にドンッと叩きつけられた。
あぁ、もう終わった。多分、僕もう死ぬ。
佐々木にはこの能力が効かなかった。
一度死んだんだ。2回死ぬのも一緒だろう。
最後になんとか二人には復習が出来て良かったな。少しは気が晴れ……。
アレ?なんだろう。目が熱くなってきた……。
何か視界が滲んで見える......。
嫌だ......。嫌だ嫌だ嫌だ〜〜!やっぱり生きたい!
僕だって普通の学生生活を送って見たかった……。
ブルブルと震える佐々木の手が肩から徐々に離れていく。
「な......んだ......これは。体が......言うことを効かない」
ん!? 効いている! 絶対服従能力が効き始めている!?
「離れてください!」
「い...…嫌だ......」
そういいながらも、佐々木は徐々に僕から離れていった。
体には効いているが、心には効いていないようだった。
これなら——
「そ...…そこに座ってください」
「……だれが......従うか......」
だけど、佐々木の心は僕の能力には逆らえない。
言われるがままに、椅子に座る佐々木。
「こ...…これは復讐です......。
なぜ...…僕にあんな事を……。
あなたを1日観察してました。
友達も多いし、慕われている。
あんたは強いし、優しい一面もありました。
到底、アナタが悪い人には思えない。
なのに、なぜです? なぜイジメなんて卑劣な真似をするんです!」
佐々木は驚いた表情で言った。
「確かにな……。なんでだろうな。最初はそういうつもりはなかった。
だけど、一つだけ言えることがあるとしたら。
あたしは別に強くなんてないよ。
ただ……あたしは、あいつとの約束を必死で守っているだけだよ」
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