新型コロナウイルス変異株「ニンバス」
今日は久しぶりに新型コロナウイルスの変異株について最新状況を復習しておきたい。以前にも何度か記事にしているが、新型コロナウイルスの変異株については、特にSタンパク質のアミノ酸変異に着目しながら科学的な研究と分類が進められている。現在、日本を含めて世界で流行しているのはオミクロン株の派生株である「ニンバス」と通称されるものだ。臨床的にはのどの強い痛みに特徴があるらしい。
この変異株「ニンバス」について、下記の論文を読みながら、科学的な詳細を紹介しておこう。
「Antigenic and virological characteristics of SARS-CoV-2 variants BA.3.2, XFG, and NB.1.8.1」
(Lancet Infect Dis.2025 Jul;25(7):e374-e377.)
ニンバスの正式名称は変異株NB.1.8.1というオミクロン株の派生株である。論文の図Aにはオミクロンからニンバスまでの系統と変異の詳細がまとめられており、復習には丁度良い。

これらの変異が関わるウイルスの特徴は基本的に2つである。1つは感染受容体であるACE2への親和性や結合力、もう1つはそれを防ぐための抗体の結合性=免疫回避能力の獲得、である。
論文では変異したSタンパク質とACE2への結合力を調べているが、いくつかの変異ではACE2結合親和性の低下を示している。これは、免疫回避の為にSタンパク質が変異した結果、本来の感染能力も低下してしまう変異が起こっている事を示している。一方で注目すべきは、NB.1.8.1変異株「ニンバス」は強固なACE2結合を維持しており、同時に免疫回避能力も獲得しているという点だ。つまり、色んな変異の中で、都合良く既存の免疫を回避し、同時に強い感染力を維持できている変異株がまだまだ生まれる余地があるという事なのだ。
RNAウイルスの変異の速さはワクチンで対応するのは難しいとコメントしたのは遥か昔のことであった。また、新型コロナウイルスが持つ神経系感染のリスクはいまだに存在しており、状況は何ひとつ改善していない。Sタンパク質の変異バリエーションがどの程度あるのか、まだまだ先が見えない状況である。ニンバス株の神経系に対する影響はまだ情報が不足しており判断できないが、まだまだ当面の間、基本的にはこの様な変異株の特徴と、科学的なリスク考察を根気よく続けながら状況を考察していくしか無いと思わされる。
