憧れの、おばちゃん
私には最近、こんなおばちゃんになりたい。と思える人ができた。
その人は、むすめが通う園の先生だ。
失礼かもしれないけれど、先生と呼ぶよりは近くに感じてしまって「おばちゃん先生」と呼びたい。
親しみを込めて。
年齢はたぶん、60手前。
いつも声が大きくて、目がくるくる動いていて、マスクをしている日でもどんな顔をしているか想像がつくくらい。
娘のクラスの担当となると知った日。
あ、この人苦手かも・・・となぜか本能的に身構えてしまった。
たぶん強そうな、いかにも元気そうな見た目に圧倒されてしまったんだと思う。会話は最小限に、でも挨拶だけは感じよくしておこう。
そんなふうに思っていた。
でも日が経つにつれ、私の固まったフィルターは少しずつ解除されていった。
なんてたって、優しいのだ。
下の子を妊娠して、4か月頃。
「最近、〇ちゃん(上の娘の名前)抱っこモード多めなんです。何かお家で変わったことありましたか?」
まだ、周りの人にも、娘にも妊娠のことは言っていなかった。お腹も目立たず、見た目にも分からない。
私は驚きつつも、まだ打ち明けるわけにもいかず
「確かに最近、甘えん坊モードです。どうしてかな~?」と首をかしげてみた。
「そっか!暑くて毎日疲れるもんね。ははははっ!お母さんも、おつかれさまです!」
そう笑いながら、娘の頭をポンポンとなぜた。
もしかしたら、全部お見通しだったのかもしれない。もう、気づいていたのかもしれない。
何も言えなかったけれど、その言葉に私は泣きそうになっていた。
「おつかれさま」の言葉のなかに、
「毎日頑張ってるね。」が透けて見えて、じんわりきてしまった。
(もしかしたら、情緒不安定だったかもしれない)
その日から、いろんな相談をおばちゃん先生にするようになった。
妊娠のことを初めて園側に打ち明けたのも、おばちゃん先生。トイトレの話とか、おひるねの相談とか。
以前の私は、いつも急いでいたと思う。
連絡事項だけ伝えたら「おねがいします!」と園を出ていた。
でも今は、「風、すごいですねぇ」なんて、なんでもない話を楽しんでいる。
そんな変化も少しだけ嬉しい。
3人いる先生のうちの一人。
どうやら、子育てがひと段落したタイミングで
パートタイマーとして働き始めたのが娘の園だったらしい。
おばちゃん先生は、ほかの先生たちとも仲が良い。20代くらいの先生たちと一緒にディズニーへ行った、なんて話も聞こえてくる。
たしかに、廊下ですれ違う先生たちの会話がいつも楽しそうで、その真ん中におばちゃん先生がいたりすると私まで嬉しくなる。
おばちゃん先生が、
「お母さんも、おつかれさま!」と
明るく笑ってくれると、今日もいい日だったな。と思えてしまう。
憧れていますなんて、
恥ずかしくて言えないけれど。
あんなおばちゃんに、いつかなれたら嬉しい。
今日も廊下に響くあの笑い声を楽しみに、
娘を迎えに行こう。
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