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【悩みの正体】人の顔色をうかがって、もう疲れた日に

何かを言う前に、相手の表情を見てしまう。

「今、話しかけても大丈夫かな」

「これを言ったら、嫌な顔をされるかもしれない」

「断ったら、がっかりさせてしまうかな」

そんなふうに、いつも誰かの気持ちを先回りして考えていると、気づかないうちに心が疲れていきます。

相手が怒っていないか。

空気を悪くしていないか。

自分の言葉で、誰かを不快にしていないか。

周りを大切にしたいからこそ、たくさん気を配ってきたのかもしれませんね。

けれど、家に帰ってひとりになったとき、どっと力が抜ける。

何も悪いことをしたわけではないのに、「あのとき、ああ言えばよかったかな」と会話を何度も思い返してしまう。

もし、そんな日々を過ごしているとしたら。

まずは、自分にこう声をかけてあげてほしいのです。

「ここまで、よく周りを大切にしてきたね」

顔色をうかがってしまうことは、あなたの価値が低いから起きることではありません。

人の気持ちを感じ取る力があり、関係を壊したくないと願ってきたからこそ、身についた反応なのかもしれません。

ただ、その優しさによって、あなた自身が置き去りになっているとしたら。

今日は、優しさと自己犠牲をそっと分けて見つめてみたいと思います。


空気を読むことと、顔色をうかがうことは違う

空気を読むことと、顔色をうかがい続けることは、似ているようで違います。

その場にいる人への配慮や、状況を見ながら言葉を選ぶことは、人との関係をあたたかくする力になります。

一方で、相手の顔色をうかがい続ける状態は、いつの間にか自分の判断を相手に預けることにつながります。

「上司が機嫌よさそうだから、今日は意見を言おう」

「友人が少し疲れて見えるから、本当は相談したいけれどやめておこう」

「家族が不機嫌そうだから、私は何も頼まないでおこう」

こうしたことが重なると、自分が何を感じているのか、何を望んでいるのかが、だんだん見えにくくなります。

そして、相手の反応がよい日は安心できる。

反応が少し曇った日は、自分まで曇ってしまう。

それは、心のハンドルを相手に渡してしまっているような状態なのかもしれません。

もちろん、すぐに「もう人の顔色を見ない」と決めなくて大丈夫です。

これまでのあなたは、そうすることで人間関係を大切にしようとしてきたのでしょう。

大切なのは、相手を思いやる前に、自分の気持ちも同じように席へ座らせてあげることです。


優しさは、自分を消すことではありません

優しい人ほど、「自分が少し我慢すれば丸く収まる」と考えやすいことがあります。

頼まれると断れない。

本当は疲れていても、「大丈夫です」と言ってしまう。

嫌だったことがあっても、「相手にも事情があるのだろう」と飲み込んでしまう。

相手の事情を想像できることは、素敵な力です。

けれど、そのたびに自分の本音をなかったことにしているなら、それは優しさだけではなく、自己犠牲も混ざり始めているのかもしれません。

優しさは、相手を大切にすること。

自己犠牲は、自分を大切にすることを後回しにし続けること。

この二つは、似ているようで違います。

たとえば、友人から急なお願いをされたとき。

「今日は難しいけれど、別の日なら力になれるよ」と伝えることは、冷たさではありません。

自分の予定や体力を大切にしながら、できる範囲で相手に向き合うことです。

職場で仕事を抱え込みそうになったときも同じです。

「今の締切では難しいので、優先順位を相談させてください」

「この部分は確認が必要です」

と伝えることは、わがままではありません。

責任をもって仕事に向き合うための、大切な言葉です。

本音を伝えたら、相手がどう思うか。

その心配がすぐに消えなくてもかまいません。

まずは、自分のなかに「私は本当はどうしたいのだろう」という声があることを、認めてあげてください。

あなたの本音も、誰かの本音と同じように、大切に扱われてよいものです。

「よく思われたい」気持ちを、責めなくていい

人からよく思われたい。

いい人だと思われたい。

役に立つ人でいたい。

そう願うことは、とても自然なことです。

よく思われたい気持ちは悪いものではありません。

ただ、その思いが強くなりすぎると、相手の評価が気になって身動きが取りにくくなることがあります。

「よく思われること」が目的になると、本当は休みたい日にも頼みを引き受け、本当は悲しかったときにも笑顔をつくり、本当は違うと思っているのにうなずいてしまうことがあります。

笑顔でその場を終えたのに、ひとりになると、どっと疲れる。

相手には優しくできたのに、自分には優しくできない。

そんなときは、相手の顔色を見る前に、ほんの少しだけ自分へ戻ってみてください。

「人がどう思うか」だけではなく、

「私はどうしたいのだろう」

「私は何を大切にしたいのだろう」

「この場でできる、私なりの誠実さは何だろう」

と問いかけてみる。

これは、周りを無視して好き勝手に振る舞うという意味ではありません。

相手も自分も大切にするために、自分の心の声を会話の輪へ戻してあげることです。

相手の反応は、あなたの価値を決めません

顔色をうかがうとき、私たちは相手の表情や短い返事に、大きな意味を与えてしまうことがあります。

返事がそっけない。

目を合わせてもらえなかった。

「ありがとう」と言われなかった。

そんな小さな出来事から、

「嫌われたかもしれない」

「私の言い方が悪かったのかもしれない」

「やっぱり私は、もっと頑張らなければ」

と、自分に厳しい結論を出してしまうこともあるでしょう。

人はそれぞれの経験や考え方を通して、同じ出来事でも違う受け取り方をします。

相手の表情には、あなたとの関係以外のことも映っているかもしれません。

仕事の締切が迫っているのかもしれない。

体調がすぐれないのかもしれない。

別の心配ごとを抱えているのかもしれない。

もちろん、相手の気持ちを勝手に決める必要はありません。

反対に、「きっと私のせいだ」と決める必要もないのです。

相手の反応を見たとき、すぐに自分の価値と結びつけず、こう立ち止まってみてください。

「これは相手の反応。私の価値そのものではない」

この一言は、相手を責めるためのものではありません。

また、嫌だった気持ちにふたをするためのものでもありません。

相手の反応だけに、あなたの心の評価を任せないための言葉です。

あなたの心は、誰かの機嫌によって満ちたり欠けたりするものではありません。

雲がかかる日があっても、あなたの本質は、最初から完全完璧な満月です。

「嫌われないため」ではなく、「自分らしく関わるため」に

人の顔色が気になると、会話の目的がいつの間にか変わることがあります。

本当は意見を伝えたいのに、嫌われないことを優先する。

本当は助けを求めたいのに、迷惑をかけないことを優先する。

本当は休みたいのに、期待を裏切らないことを優先する。

すると、目の前の人と関わっているようで、実は「嫌われない自分」を守ることに、たくさんの力を使うようになります。

でも、人間関係は、いつも完璧な受け答えをするための場所ではありません。

少し言葉に詰まる日があってもいい。

断る日があってもいい。

すぐに笑顔になれない日があってもいい。

大切なのは、相手を大事にすることと、自分を小さくすることを同じにしないことです。

自分らしく関わるとは、思ったことを何でも強く言うことではありません。

相手を傷つけないように、自分を消すことでもありません。

「私はこう感じています」

「私はこうしてもらえると助かります」

「今日はここまでにしたいです」

そんなふうに、自分の内側で起きていることを、少しずつ丁寧に言葉にしていくことです。

最初から上手にできなくても大丈夫です。

いきなり大きな本音を伝えなくても、まずは小さなところから始められます。

「今は少し考える時間をください」

「今日は予定があるので、また連絡します」

「それは私は少し困ります」

その一言が、自分を大切にする練習になります。

今日、顔色が気になったときの三つの問い

また誰かの表情を見て、心がぎゅっと縮こまりそうになったら。

すぐに答えを出そうとせず、心のなかで次の三つを尋ねてみてください。

① 今、私は何を怖がっているのだろう?
たとえば、「嫌われること」「責められること」「期待に応えられないこと」かもしれません。

② 本当は、私は何を望んでいるのだろう?
「安心して話したい」「少し休みたい」「自分の考えも聞いてほしい」という願いがあるかもしれません。

③ 今の私が、自分のためにできる小さなことは何だろう?
深呼吸をする。すぐに返事をしない。予定を確認してから返す。信頼できる人に話す。そんな小さなことで十分です。

この問いは、自分を責めるためのものではありません。

「また顔色をうかがってしまった」と気づいたときに、

「そうしたくなるほど、私は関係を大切にしてきたんだね」

と、自分を受け取るための問いです。

そしてそのあとに、

「でも今日は、私の気持ちも一緒に大切にしてみよう」

と、自分へ新しい選択肢を渡してあげてください。

距離を取ることも、自分を大切にする優しさです

相手に配慮することと、相手の不機嫌や強い言動を受け止め続けることは別です。

威圧的な言葉、繰り返される人格否定、過度な要求、無視、支配的な振る舞いなどによって心身がつらくなっている場合は、「私の見方を変えればよい」と一人で抱え込まないでください。

記録を残す。

信頼できる人に話す。

職場の相談窓口や専門家を頼る。

必要に応じて距離を取る。

自分の安全と健康を守る行動は、関係を大切にできないからではありません。

あなた自身を大切にする、まっとうな優しさです。

あなたは、誰かの顔色を守るためだけに生きているのではありません。

周りへのあたたかさを持ったまま、あなたの心にも居場所をつくっていく。

その一歩が、無理を重ねない人間関係へとつながっていきます。

今日、誰かのために気を使ったあなたへ。

その優しさを、ほんの少しだけでも自分にも向けてあげてください。

あなたの本音を大切にすることは、誰かへの愛を減らすことではありません。

むしろ、自分を置き去りにしないあなたの優しさは、これからのご縁を、もっとあたたかなものにしていくはずです。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

いなっち

(悩みを光に、ご縁を宝に)

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