ショートストーリー|唸る蜂と甘い虹玉|小説|シャボン玉
以前(2026.4.4)公開した記事を、
誤って削除してしまっていました…
ということで、再掲しておきます🙇
あいさつ
お読み頂きありがとうございます。緑山イナエです。
#シロクマ文芸部 さんの企画に参加してみようと思いたち、
「シャボン玉」から始まる短い小説(ショートストーリー)を書いてみました。
2分ほどで読めると思うので、
ぜひ一読頂けると嬉しいです^ ^
本文
「唸る蜂と甘い虹玉」
シャボン玉が弾けて、甘い香りが漂う。
私たちの頭上を舞う異質な「何か」が、
虹色に艶めくその球体を無数に生み出している。
穏やかな風にしばらく流された後、
野に立つ私たちの体とぶつかっては消えていく。
そして消えると同時に、
私たちに恋をもたらす粉を振り撒いていく。
ふわり、ぷかぷか、ぱちん。
ふわり、ふわり、ぷかぷか、ぱちん。
ぱちん、ぱちん、ぱちん。
「何か」が生み出す球体は次々と弾け、
甘い香りのする、命の粉を撒き散らしていく。
それを授けられた私たちの運命は動き出す。
新しい命の予感と共に、私たちはやがて死を迎える。
ふわり、ふわり、ぷかぷか、ぱちん。
・・・・
この野に春が訪れる中、
私は寂しく、そして不安だった。
近頃は蜜蜂達があまり姿を見せなくなっていた。
私の恋の行方、
いや私の命の行方を憂う気持ちが、
日に日に膨らんでいた。
でも、それは杞憂になるのだろう。
今日から新しくこの野に現れた、
シャボン玉を降らす、
騒々しく唸りながら飛ぶ巨大な「雄蜂」。
それがせっせと撒き散らす、
甘い球体のシャワーを浴びながら、
滋養に富む蜜を生み出す労は、
もはや必要なくなったのだ、と私たちは察する。
ふわり、ぷかぷか、ぱちん。
ふわり、ふわり、ぷかぷか、ぱちん。
ぱちん、ぱちん、ぱちん。
甘い虹玉にぶつかった私の体の中では、
静かな変化が始まる。
異なる二つの性に分けられて受け継がれる、
次の世代へ命を繋ぐための粉。
野に立つ私はそれをただ受け止める。
ふわり、ぷかぷか、ぱちん。
シャボン玉が弾けたその瞬間、
恋にすがっていた私の淡い想いも消える。
ぱちん。
(了)
あとがき
シロクマ文芸部さんの企画に初めて参加してみたのですが、
参加のやり方が違いまっせ、などの不手際があったらすみません!
ショートストーリーなどを書くときは、
どこまで捻るか、どこまでわかりやすく書くか(あるいは書かないか)、というところがいつも悩みどころです。
この作品はシャボン玉に関するある科学的な研究事例の話をヒントを得て創作したものです。
ネタバレになるのでここでは詳しくは書きませんご、気になる方はネット等で調べてみてください。
もしかしたら、十年くらいたったらこの作品の内容は陳腐なものになっているのかもしれません。
新しい感じのものを書きたい、という思いと、
新しいものは分かりにくい…
というところが悩ましいのですが、
自分としては、自分が面白いと思えるもの、
こんな小説って今までなかったんじゃない?
と思えるものをできるだけ書いていきたいと考えています。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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