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なぜ私はわざわざ“空き家”を商材として扱うのか?

「いなくる」中の人は、田舎で空き家を中心とした不動産屋もやっています。
今日は私自身のこと――なぜ「空き家」という、リスクも手間もある物件をあえて扱うのかを書いてみようと思います。


きっかけは、「空き家を探しているんです」

相談に来られる方からよく言われるのが「空き家を探しています」という言葉。でも、話をよくよく聞いてみると、本当に求めているのは「中古住宅」であることが多いんです。

では、「中古住宅」と「空き家」の違いって何でしょうか?




法律上の「空き家」と、現場での「空き家」

空き家特措法では、空き家をこう定義しています。

建築物またはこれに附属する工作物であって、居住その他の使用がされていないことが常態であるもの

空き家等対策の推進に関する特別措置法より

つまり、ずっと使われていなければ、それは「空き家」。
でも実務をしていると、この定義では範囲が広すぎて、使いたい人・つなぐ人・所有者の認識にズレが生まれてしまうのです。

そこで私は、自分なりに線引きをしています。

  • 中古住宅:ライフラインが使えて、そのまま住むことも可能。多少古さはあっても、気になるか気にならないかで壁紙を張り替えたり、トイレのリフォームをしたりする程度で暮らせるレベル。

  • 空き家:床が抜けていたり、水源が分からなくなっている山水を使っていたり…。修繕ありきで、すぐに住むのは難しい建物。


空き家は、ビジネス的には効率が悪い

正直に言います。
空き家はリスクが高いし、利益も出にくい。

不動産業として効率を考えるなら、もっとスマートな方法はいくらでもあります。

  • 「きれいにして高く売る」(買取再販)

  • 「更地にして新築を建てて売る」(建売)

  • 「広い敷地を宅地に分けて売る」(分譲)

効率的だし、利益も出やすい。
でも――私はどうしてもワクワクしない
のです。


消すのではなく、重ねていくことに魅力がある

一般的な流通にのせるには、その家の“過去”を消して、万人受けする「きれいなお家」に整える必要があります。

でも私は、その「ゼロベースにしてしまうこと」に魅力を感じません。

ある日の出来事

所有者さんと買い手候補さんと一緒に空き家を見に行ったとき。庭の奥にボロボロの小屋がありました。

所有者さん「昔ニワトリ小屋だったんだよ。子どものころ朝に卵を獲りに行くのが仕事で、嫌だったなぁ(笑)」
買い手候補さん「あ!蔵にヒヨコの絵がついた電球がありました!孵化させてたんですか?」
所有者さん「そうそう!そんなのあった?!今じゃもう骨董品だね(笑)」
買い手候補さん「ニワトリか…。飼ってみたいな。新鮮な卵食べたいし」

もし更地にしていたら、こんな会話は生まれなかった。
「ニワトリを飼う」という未来も浮かばなかった。


空き家は、“可能性のレイヤー”だと思う

残されたものを全部消してしまえば、未来は「自分が想像する形」の範囲でしか生まれません。

でも、過去の暮らしや物語を少しでも受けとることで、
「これは、どんな使い方ができるだろう?」と想像が広がり、思いもよらない未来が重なっていく。自分の想像を超えていく。

私はそのレイヤーの重なりに、心を動かされるのです。

すぐに売れなくてもいい。たくさんの人にウケなくてもいい。
その家を「面白がってくれる人」とちゃんと出会えたら、それでいいと思っています。


最後にひとこと

私は「自分の思い通りじゃなくても、なんか面白いかも」と思える人と空き家をつないでいきたい。

  • 空き家を持っていて「どうしたらいいかわからない」と悩んでいる方。

  • 普通の不動産屋には「売ってほしい」と頼みにくいなと感じている方。

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