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【CF挑戦中!】デッドエンド。 —メスガキ無双冒険譚— 第72話:動き始めた計画

 そこら中機械とモニターだらけの部屋で、オラクルは僅かに手元を震わせながらティーカップに口をつけた。
 その両隣には、まるで鏡合わせのように同じ外見の少女が二人。病的な白いツインテールの髪に、お揃いのゴスロリ系のファッション。しかしその表情は、全く異なるものだった。

「オラクル様をこんな目に……あのカスっ! 私たちから何もかも奪うゴミっ!」

 オラクルの右隣に座る少女、ネタミが貧乏ゆすりをしながら怒りをあらわにする。

「悲しいわ……? オラクル様も私たちと同じ、力あるクズに踏みつぶされる弱者だったのね……? かわいそう……」

 オラクルの左隣に座る少女、ソネミが涙をこぼす。
 紅茶を一口飲み、オラクルは息をつく。ティーカップがソーサーに細かくぶつかり、カタカタと音を鳴らした。

「……見苦しいところを見せてしまったね。ごめんね」

 笑いかけるが、いつもの余裕に満ちた穏やかな笑みではなかった。モニターに映るのは、廻さだめという怪物に、手も足も出せず蹂躙される映像。あんなものは戦いではなかった。災害だ。

「けれど目的は果たせた。あの水牛を消せて一安心だよ」

「ポジティブなのね……かわいそう。さだめを消せていればそんなこと考えなくてもよかったのに……!」

 ソネミが憐れみの目でオラクルを見つめ、そっと頭を撫でる。ネタミはテーブルを指でトントンと叩きながらも、不本意そうに口を開いた。

「……そうね。あのイヴァとかいういかにも健康で頭がよさそうなクソ女の手に、アレが渡らなかったことは不幸中の幸いだわ」

 それで? と、ネタミは続けながらオラクルの頬を撫でて目線を合わせる。オラクルは困ったように笑いながら、ネタミの頭に手を乗せた。

「廻さだめにはもう関わらない……さだめを消すんじゃなく、さだめに邪魔されないよう注意を払う方がよっぽど建設的だと気付いたんだ」

「癪ね……? 結局さだめには勝てないってこと? ふざけたことを言って……!」

 頭に乗せられた手を払いのけて、オラクルを睨みつけるネタミ。ソネミもまた、オラクルに縋るようにして静かに涙を流している。
 オラクルは少し考えるそぶりを見せて、指を鳴らした。

「なら、こう考えるのはどうかな? うまくいけば……さだめが阻止しようと思っても、もうそれは変えられない。廻さだめがこの世で最期に思うことは……運命は変えられないという絶望だ」

 パッと、二人の少女は顔を上げる。オラクルは二人の頭をそっと撫で、順に、確認を取るように目を合わせた。そしてネタミとソネミは、全く同じ顔をする。廻さだめの絶望に思いを馳せ、期待を膨らませたような。明るくて残酷な笑み。

「全く、オラクル様は口がうまいんだから!」

「ネタミの言うとおりだわ? 仕方ない人なんだから……」

 オラクルはほっとしたような笑みを浮かべて、再び紅茶に口をつける。今度は優雅に、ソーサーに置かれたカップも気品ある静けさを取り戻して。

「そうと決まれば、世界の状況を整理しないとね」

「極東帝国は西部合衆国に対し宣戦布告したわ。計画は次に進めそうね」

「あと数日もすれば、雷切ちどりは出陣するわ? その時は、私とネタミも行っていいのよね?」

 力強くうなずいて、オラクルは立ち上がり二人の少女のカップに紅茶を注ぐ。そして、柔らかい笑みのまま命じた。まるで、幼い子供におつかいを頼むかのように。

「もちろん……戦争の混乱に乗じて、雷切ちどりを手に入れてきてくれ」

 彼らの計画は、ここに動き始める。
 モニターに映っていた交戦記録が、スクリーンセーバーに切り替わる。画面に映っていたのは、黄金に輝く天秤だった。

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