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ねぇデンケン。これって必要なことなの?(一級試験後から黄金郷まで)

一級試験後から黄金郷まで

『葬送のフリーレン』は一級試験編が第60話(旅立ちと別れ)で終わり、第81話(黄金郷)から黄金郷編が始まるという構成になっています。(黄金郷編は第81~104話「墓参り」まで)

その間のおよそ20話は、一話完結の日常回が多い印象になります。まとまったエピソードとしてはゲナウとメトーデのコンビが登場する小編(第70話(討伐依頼)〜第76話(決着))しかありません。

で、この20話は、それぞれは「ちょっといい話」であったり、「伏線かな?」と思わせるところがあったり、キャラクターを良く知れるエピソードであったりします。

けれども、牽引力に欠けるというか、一つ一つのエピソードは面白いのですが、大きな流れとして「どこへ連れて行こうとしているのかわからない」という感覚です。

これって「必要なことなの?」と問われると、口篭ってしまう感じがあります。

率直に言えば、ここで「脱落」する読者もそれなりにいると思います。(ゲナウとメトーデ、ヴィアベル一行の再登場は、そこへの手当という役割も大きいと感じます。)

黄金郷編の準備

で、第61〜80話が何なのかといえば、黄金郷編の準備ですね。ここでやっていることは、極論すれば黄金郷編の主役デンケンの感情にリアリティを持たせるための準備です。

一番わかりやすいのは「故郷への思い」で、これはかなりしつこく取り上げられています。

デンケンは、もともとマハトと戦うつもりはありませんでした。しかし、故郷を見たことをきっかけにマハトと戦うことを決意します。フリーレンでさえ戦うことを避けようとするマハトと、です。(第81話)

この心変わりにリアリティを持たせるためには、人にとって故郷や過去の思い出がいかに大切なものかを説得力を持って示しておく必要があります。

デンケンの心変わりにリアリティがなければ、デンケンの気持ちを汲み取ってデンケンに協力することにしたフリーレンの行動が嘘っぽくなってしまいます。(フリーレンは自分もまたデンケンと同じように思い出(フランメと過ごした時間)を大切にしていること、そしてそれをヒンメルに教えられたことを想起して、デンケンに協力することにしています。)

だから、デンケンの心情をリアルに描くことが絶対に必要なのです。

そのために、およそ20話のボリュームが必要だというわけです。(もちろん全てがそのために費やされているわけではありませんが。)

ただそれは、一度は黄金郷編を読んでからでないと、読み取ることが難しいと感じます。

だから、ヒントとして第77話の最後に付け足し的にデンケンが登場するのですね。

デンケンの目的が故郷の墓参りだということは一級試験編で何度も説明されているので、勘の良い方は「これから「デンケン編」が始まるのだろう」と気づきます。

※『葬送のフリーレン』に関する記事はこちらにまとめています。

メモ

画像引用しているユーベルの台詞は、ユーベルがフリーレンに関する話題を遮ったとも見えますし、理論ではなく感覚で魔法を使う(結果重視)のユーベルらしさの表れとも見ることができます。