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デンケンの「ネバー・ギブアップ」

デンケンは黄金郷編の準主役なので魅力はたくさんありますが、私が一つ挙げるなら、一次試験中の「こういうとき宮廷魔法使いならどうすると思う?」の場面です。(単行本第5巻。左ページの最後のコマです。)

デンケンの答えを言ってしまうと、その内容は「ネバー・ギブアップ」という手垢に塗れた台詞です。(実際にどう言ったのかはマンガ・アニメをご覧ください。英語字幕だと"Keep fighting until the end."。)

その場その場で名言集から適当な言葉を拾ってきてカッコ良くアドバイスするのは簡単です。

だから、単に「ネバー・ギブアップ」と言われたって、普通は心を動かされたりしません。

でも、私を含め多くの人がこの場面でデンケンを好きになるようです。(私は英語話者のリアクション動画をたくさん見ているので、その印象です。)

その理由は、デンケンの言葉にはきちんとした裏付けがあると、ここまでの描写で伝わっているからだと思います。

デンケンには宮廷魔法使いとしての社会的地位があり、それに見合った実力、知識、経験もあります。

ですから、デンケンとリヒター、ラオフェンとの間には、あらゆる面で大きな差があります。

にもかかわらず、デンケンは若いリヒターとラオフェンを決して見下したりせず、真摯な態度で向き合います。生意気なリヒターを軽くたしなめたりはしますが、決して邪険にはしません。そして、自分の持っているものを出し惜しみすることなく二人に伝えます。

そのデンケンが、パーティ全員がほとんど魔力切れになった絶望的な状況で「ネバー・ギブアップ」と言うから、心が動かされるのですね。リヒターとラオフェンも「デンケンがそう言うならまだ可能性はある」と感じたのではないでしょうか。

実際、この言葉は、デンケンが心の底から信じていて、自分の支えにもしている言葉です。

自分がほんとうに信じて大切にしている言葉を適切なタイミングで若い人に伝えるというのは、なかなかできないことだと思います。

かっこいい。

ぜひ、黄金郷編の最後まで読んで欲しいです。

※『葬送のフリーレン』に関する記事はこちらにまとめています。

おまけ

デンケン、リヒター、ラオフェンは一次試験の第13パーティーです。

3人の相関図を描けば6本の矢印ができるわけですが(デンケン⇔リヒター⇔ラオフェン⇔デンケン)、ボリュームの軽重はあれどこれが全て描かれていますから、一次試験のパーティーの中では最も印象に残るトリオではないでしょうか。

リヒターとラオフェンについて少し。

リヒター

ラオフェンに「お前はデンケンのなんなんだ?」としばしば言っていますかが、そういうお前はなんなんだと。フェルンに言った「お前フリーレンとこの…弟子…か?」も同じで、ブーメランになるジョークを兼ねた台詞です。

リヒターは二言目には「デンケン」ですから、どれだけデンケンのことが好きなのか。試験中に「デンケン」と言った回数を数えたいです。

3年後の一級試験に受かってもおかしくないと思いますが、ゼーリエの下で戦いに明け暮れるイメージはないですね。

魔法店を営んでおり、庶民の苦労を良く知っているので、かつてのデンケンやレルネンのように組織の中で頭角を現わす苦労人タイプかな。武闘派の魔法使いに再会したときは「お前らは気楽でいいよな。」と愚痴りながらも政治力を使って裏から力を貸す感じで。

ラオフェン

ラオフェンは一級魔法使いにはなれません。優しすぎます。ゼーリエが求める魔法使いではありません。一次試験中は「優しさが仇になる」失敗を2回していますからね。

でも、むしろそれがラオフェンの魅力です。そのままの優しい魔法使いでいてほしい。(こういう優しさ(甘さ)がありそうなのは、他にはカンネとラヴィーネですが、彼女たちはお互いの関係性が重視されていたので、優しいという印象は薄いです。)

デンケンの右腕として再登場したら嬉しいですけど、彼女の優しさをよくわかっているデンケンは、彼女に危険な仕事はさせないだろうなと思います。