見出し画像

山崎 亮『面識経済:資本主義社会で人生を愉しむためのコミュニティ論』(2025 光文社)

山崎 亮『面識経済:資本主義社会で人生を愉しむためのコミュニティ論』(2025 光文社)

面識経済=地域に根ざした「顔の見える関係性」の間で行われる経済活動

グローバル経済が浸透した今日、私たちは多くのお金を「顔が見えない」人や企業に支払っています。
面識関係のない人々が経済的な取り引きをすると、現場で働く人の労働条件や人間関係、自然資源や地球環境、所得格差や貧困問題などが見えなくなっていきます。

現代社会の消費的な人生に対して、バランス感覚を持って状況を把握し、自発的な活動を通して「たのしさ」を追求する人生を歩むことはできないのでしょうか?

本書では、お金を稼ぐための労働時間を減らし、空いた時間に地域の人たちと交流し、互いに良い影響を与え合う関係性のなかでの暮らし<面識経済>をつくることを提案しています。

私が思い描く有機農業は、こうした「顔の見える地域での生産(経済)活動」に合っていると感じています。

各章の紹介

第1章 コミュニティデザインと経済
コミュニティデザイナーとしての活動を通じて感じた「経済の常識」への違和感。仕事が忙しすぎて地域活動に参加できない現状を問い直し、人生の豊かさを追求する視点を提示しています。
第2章 スミス、マルクス、ケインズ
経済思想史のなかで大きな思想の転換点をつくり出した3巨匠の考え方を紹介し、現代の「お金を稼がなければならない」という強迫観念がどこから来たのかを考察しています。
第3章 ラスキン、トインビー、モリス
産業革命による機械化・分業化に異を唱えた思想家たちを紹介し、労働の中に「喜び」や「芸術性」を取り戻そうとしたモリスらの思想から、人間らしい経済のあり方を探っています。
第4章 超越主義と民藝運動
アメリカの超越主義や日本の民藝運動に焦点を当て、日々の暮らしや身近な道具、手仕事の中に美と豊かさを見出す姿勢が、地域経済にどう結びつくかを論じています。
第5章 1970年代の思想
『スモール・イズ・ビューティフル』のシューマッハーなど、1970年代に盛り上がった「成長への疑問=技術や経済が進歩すればするほど幸せな状況になるわけではない」や適正規模の思想を振り返り、現代の持続可能なコミュニティ論の源流を確認しています。
第6章 地域の経済循環
グローバル経済に依存しすぎず、地域内でお金が回る仕組み(地域通貨やシェアリングなど)を具体的に検討し、顔の見える範囲で価値を交換する「面識経済」の強みを解説しています。
第7章 コミュニティ概念の変遷
時代とともに変化してきた「コミュニティ」の定義や役割を整理し、地縁・血縁から、目的や共感でつながる現代的なコミュニティへの移行と、その経済的側面を分析しています。
第8章 面識経済へ
生活における「面識比率」を高めることを提唱。働く時間を少し減らし、地域での活動を通じて「愉しい人生」と「強靭な地域」を両立させる実践を提案しています。

参考資料