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豊かな土壌動物群集をもつ畑地にそなわる機能(2/3)

畑地で生きものが「生きる」ことを通して、有機物の分解、土壌の耕耘、養分の無機化などのさまざまなはたらきを行い、周りの環境に影響をおよぼしています。
ここでは、土壌動物や微生物が豊かな畑にそなわる「生物による密度調節機能」について紹介します。


土壌生物が豊かな畑にそなわる機能

2)生物による密度調節機能

ある生物は他の生物を餌として食べ、別の生物に餌として食べられます。生物群集ではこのような「食う-食われる」の関係が網の目のようにつながり、農地生態系においても、複雑な相互関係が存在します(図2)。

  • 生食連鎖(地上部):植物(作物や雑草)を起点に、植食性動物(害虫)や捕食性動物(天敵)へとつながる関係。

  • 腐食連鎖(土壌中):土壌有機物を起点に、土壌動物や微生物(分解者)が関与する分解系と、それらを餌とする捕食性動物との関係。

これら「生食連鎖」と「腐食連鎖」が互いに連結することで、より複雑な食物網が形成されています。

図2 陸上生態系の栄養段階と物質循環

畑地に複雑な食物網が形成されることで、特定の生物が異常繁殖するのを抑制するしくみがはたらきます。
捕食性動物の食性には、特定の餌のみを好む「狭食性」と、幅広い餌を利用する「広食性」があり、土壌中にはクモやムカデなどの広食性の動物が多くみられます。
分解に関わるトビムシやササラダニなどの土壌動物は、こうしたクモやムカデなどの餌となります。
しかも、分解に関わる土壌動物は年間を通じて密度が安定しているため、作物がなく害虫の発生しない時期にも捕食性群集の密度維持に寄与しています。

たとえば、長野県松本市(黒ボク土)でタネバエの発生しやすい6月上旬にエダマメを播種した場合でも、先に紹介した土壌動物群集が豊かでクモなどの捕食者が多い有機農業畑では被害が少なくなりました(藤田 2002)。
これに比べて、土壌動物がほとんどみられない慣行農業畑では、農薬を使用しなければ出芽率は極端に悪くなりました。

このように、豊かな土壌生物群集を維持することは、農薬に頼りすぎない害虫管理(密度調節機能)に貢献しています。

他の機能は、1)有機物の分解機能3)資源の有効利用-窒素を例に-をご覧ください。