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なぜUIに「美しさ」が必要なのか。

結論

BtoBのSaaSプロダクトにおいて、UIの「美しさ」は贅沢品(Nice to have)ではなく、事業の根幹である「信頼」に直結する必須要件です。

もちろん、安定した動作やセキュリティ、継続的な機能リリースは信頼の土台として不可欠です。しかし、特にスタートアップが巨大なエンタープライズ企業の信頼を勝ち取る最後の一押しは、「使いやすさ」を超えた「美しさ」と「細部へのこだわり」から生まれます。

これは、プロダクトの品質に対する作り手の「誇り」の現れであり、最も効率的に信頼を構築するための戦略だと考えています。

スタートアップが越えるべき「信頼の壁」

toBのSaaSスタートアップ、特に私たちが対峙しているような大企業をクライアントに持つビジネスにおいて、プロダクトはとにかく「信頼度」が重要です。 (※toCプロダクトは運の要素などまた違った難しさがあるので、今回は話題から外します)

売上1兆円以上、社員数10万人以上の大企業から見れば、数十人しかいないスタートアップが「来年も存続しているのか」と心配するのは当然です。
実際、レジリアも決算書の提出を求められることがしばしばあります。 会社として伸びているか、今後も存続するポテンシャルがあるかは、非常にシビアに見られます。

そして、その厳しい目は、私たちが提供する「サービス(デジタルプロダクト)」そのものにも向けられます。

信頼は「美しさ」から生まれる

レジリア- オートツリー機能

では、デジタルプロダクトにおいて信頼度をどう増やしていくか。 前述の通り、安定した動作、堅牢なセキュリティ、継続的な新機能のリリースは「当たり前」の前提です。

その上で、私が最も重視しているのは、プロダクトの「美しさ」です。

信頼は、UIの表面的な使いやすさだけでなく、その佇まいの美しさや、細部への微細なこだわりから醸成されます。
そのプロダクトが、どれだけ「誇り」を持って作られているか。ユーザーはそれを無意識レベルで見抜いています。

巨人も「美しさ」にこだわる

ジョニー・アイブとのセッション

これは私個人の感覚的な話ではありません。あのStripeが開催した「Stripe Sessions 2025」でも、ほとんど同じことが語られていました。

Stripeが掲げるプロダクトクオリティのチェックリストは4つあります。

  1. 「パワフル」:ユーザーの課題を解決する機能である

  2. 「ウェルクラフテッド」:使いやすい(素早く動き、直感的に使える)

  3. 「ビューティフル」:インターフェースの見た目が美しい

  4. 「プライド」:クオリティ・美しさに誇りを持っている

3つ目と4つ目に「美しさ」と「誇り」が明確に言語化されています。
事実、StripeはEメールの文面やUIの「美しさ」を見直しただけで、プロダクトのコンバージョンが20%も向上したと報告しています。

Stripe・Asana・Slack・ChatGPT・Figma。
いま急速に成長している企業のプロダクトは、例外なく細部のこだわりが尋常ではありません。 「美しさ」には、明確に意味があります。

課題を解決する「複雑な機能」

BtoBのデジタルプロダクトには、特有の難しさがあります。
それは、「複雑なことを複雑なままデザインしないと、そもそもの課題が解決しない」という現実です。

例えば、飛行機のコックピットを想像してみてください。 無数のメーター、スイッチ、レバーが並んでいて、非常に「複雑」です。

これを「シンプルで分かりやすくしよう」と考えて、ボタンの数を3つくらいに減らしてしまったら、どうなるでしょうか? おそらく、飛行機はまともに飛ぶことすらできません。パイロットが安全に飛行するために必要な情報や制御機能まで、削ぎ落としてしまっているからです。

これが「複雑さを削ぎ落とさない」ということです。
専門家であるパイロットが、あらゆる状況に対応するためには、その「複雑さ」が不可欠なのです。

私がデザインしているBtoBのデジタルプロダクトも、これと同じです。顧客の仕事を成り立たせるための「複雑な機能」は、決して無くすことはできません。

複雑さの中に「美しさ」がある

レジリア - 新プロダクト

私たちの役割は、その複雑な機能を、まるで自分の手足のように、ストレスなく使いこなせる「最高のコックピット」を設計することです。

必要な「複雑さ」を削ぎ落とさず、それでいて、直感的でわかりやすい体験を作り上げる。この一見矛盾した要求を、デザインの力で両立させる。
そこにこそ「美しさ」が宿ります。

美しく整えられたUIは、その背後にある膨大な「複雑さ」が、作り手によって完全に制御(コントロール)されていることの証明です。 その圧倒的な「制御感」こそが、ユーザーの「信頼」に変わります。

だからこそ、私たちはUIの美しさにこだわり続けます。
それは、クライアントへの「信頼の証」そのものです。

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