AI戒名からPokemon GOまで。2026年前半に起きた「AIに預けすぎた」7つの事件と距離の引き方
こんにちは!AIクリエイターのinstkoniです。
Claude Code を毎日仕事に使い倒している副業クリエイターで、並行してYoutubeでAI音楽チャンネル「異世界の音楽家 / AI Motion Musics」も運用しています。
【記事概要をPodcastでも聴けます‼️】
2026年の前半、AIに関する「ザワつくニュース」がいくつも世界を駆け抜けました。
でも、それらをバラバラに眺めていると、見逃してしまうことがあります。
この記事では、2026年前半に起きた7つの事件を入口に、〈AIとの距離の引き方〉という思考法を一緒に考えていきます。

✉️この記事で扱う7つのニュース
✅AIで戒名を作って何が悪い:宗教×AI倫理の問い
✅Pokemon GOのスキャンデータが軍事ドローンAIに:ゲームデータの「その後」
✅教皇レオ14世がAIリスクを回勅で警告:宗教最高権威の歴史的文書
✅Google ChromeがGemini Nanoを同意なく4GBインストール:端末を勝手に使われた問題
✅AI顔認識の誤りで無実の男性が逮捕:フロリダ州の実例
✅大手法律事務所が架空の判例を裁判書面に提出:ハルシネーションの実害
✅Meta AIボットを騙してInstagramアカウント乗っ取り:AIがソーシャルエンジニアリングの標的に
では、いってみましょう〜‼️
第1章:預けた覚えがないのに。3つの「知らない間に」…
「自分がAIに何かを渡した記憶がない」のに、気づいたら渡っていた。この章ではそんな3つの事件を取り上げます。
戒名、ゲームデータ、そして宗教の最高権威。まったく異なる領域で、まったく同じ問いが浮かびあがりました。
👤「自分は別にAIに関わっていないし、関係ないよ」
そう思っていた方ほど、この章が刺さります。
🟢 AIで戒名を作って何が悪い
2026年6月、住職向け専門誌「月刊住職」がAIと戒名をテーマにした特集を組み、X上で話題になりました。出典はITmedia AI+(2026-06-03)です。
戒名は、仏教において故人に授けられる名前です。
ベテランの住職が故人の生涯や人柄、家との縁を踏まえて付ける、いわば「最後のオーダーメイド」です。
「それをAIが生成したとして、何が問題なのでしょうか。」
という主張がこの月刊住職には書いてあったというわけです。
⚠️この事件が問うているのは効率の話ではありません。「そもそも人間が判断すべきことを、AIに預けていいのか」という境界線の話です。
戒名というものには、故人と残された家族の感情が乗っています。
その「意味を作る行為」をAIに担わせることへの違和感、これがこの事件のコアです。

故人の名前に意味をもたせることを仏門の方にやっていただくからお金を出すんです。
・・・と僕は思うわけです。あくまで僕の意見です。
🔵 Pokemon GOのスキャンデータが軍事ドローンAIに
2026年6月、衝撃的な報道が出ました。個人的にも驚きというかショックでした。家族とPokemonGOやってますから。。
Niantic (PokemonGOのゲーム制作会社)が収集した約300億件の空間スキャンデータが、軍事・情報機関向け企業Vantorに販売されていたというものです。
出典はGame Developer / My Nintendo News(2026-06-11〜12)です。
Pokemon GOをプレイしたことがある方なら、「エリアスキャン」という機能を覚えているかもしれません。報酬にそこそこ貴重なポフィンもらえるやつですね(笑)
現実の街をスマートフォンカメラでスキャンすることで、ゲーム内のデータが充実していく機能です。
あの「ゲームを楽しみながらのスキャン」が、いつの間にか軍事ドローンのAI訓練データになっていた。
NianticとVantorはともに「ゲームデータをドローンに直接使用していない」と否定していますが、データの流通経路への不信感は残ります。
👤「利用規約に同意したんだから仕方ないの?」
数十ページに及ぶ利用規約を読んで「軍事利用への同意」を意識してPokemon GOを始めた人は、ほぼいないはずです。
「同意した」と「理解した」は、まったく別のことです。
🟣 教皇レオ14世がAIリスクを回勅で警告
2026年5月25日、カトリック教会の教皇レオ14世が「Magnifica Humanitas」と題した回勅を公開しました。
約4万語を超える長文で、AIによる人間の尊厳への脅威を正面から警告した歴史的な文書です。
特に、AIが人間の意思決定を代替したり、人間の監視なしに重要な選択をする方向性への懸念が中心を占めています。署名は2026年5月15日です。
「回勅」とは、カトリック教会において教皇が全世界の信徒に向けて出す最高権威の文書です。
宗教の世界での位置づけとして、これ以上重いものはありません。
👤「宗教の話だから、自分には関係ないかな」
テクノロジー企業のCEOでも、政治家でも、研究者でもなく、宗教の最高権威がAIリスクを正式文書で警告した。
AIの問題が「技術者だけの話」ではなく、人間社会全体の問題として認識されつつある証拠です。
「AIに何を預けるか」という問いは、いまや個人の問題から、社会の問題、そして人類の問いへと広がっています。
第2章:信じた結果こうなった——2つの「予期せぬ被害」
次の2つの事件は、少し性格が異なります。AIが「正しく機能する前提」で社会インフラに組み込まれた結果、無関係の人間が被害を受けたケースです。
自分はAIを積極的に使っていない。それでも被害者になりうるのが、この章の恐ろしさです。
👤「自分がAIを使わなければ、巻き込まれることはないんじゃ?」
残念ながら、そうとは言い切れません。
🟠 Google ChromeがGemini Nanoを同意なく4GBインストール
研究者Alexander Hanffが指摘し、Tom's Hardwareをはじめとする複数メディアが報じた問題です。
Google ChromeがAIモデル「Gemini Nano」を、ユーザーの明示的な同意なしに端末へインストールしていた。しかも、そのサイズは約4GBです。
ePrivacy指令やGDPRへの抵触が疑われるとして、Hanffはこれを問題提起しました。
👤「Googleが便利な機能を勝手に入れてくれているだけでは?」
問われているのは、「端末」という個人の空間に対する自律性です。
スマートフォンやパソコンは、今や個人の思考・行動・習慣が記録されている場所です。
そこへ、本人の認識なしにAIモデルを配置することの意味、これは「便利さ」の話ではなく、「主権」の話です。
🔴 AI顔認識の誤りで無実の男性が逮捕
フロリダ州フォートマイヤーズに住むRichard Dillonさんは、犯行現場から300マイル以上離れた場所に住んでいるにもかかわらず、AI顔認識システムの誤った一致により逮捕されました。
ACLU of Floridaと全国ACLUは2026年6月10日に提訴しています。
顔認識AIは、特に肌の色や照明条件などによって精度が大きく変わることが知られています。
それでも「AIがそう言った」という理由で逮捕状が出た。これが現実に起きたということです。
👤「裁判で証拠不十分になれば解決するんじゃないの?」
拘留中の時間、仕事の喪失、社会的な信頼の毀損。
これらは無罪が証明されても完全には戻ってきません。「AIが証拠になった」場合、誤りのコストを誰が負うのかという問いは、まだ社会的な答えが出ていません。

第3章:頼った結果こうなった。2つの「プロの失敗」
「自分はAIリテラシーが高いから大丈夫」とは言い切れないことを示すのが、この章の2件です。法律のプロと、大手テクノロジーのサポート体制。
どちらも「信頼できる側」のはずでした。
👤「自分はAIを適切に使っているから、こんなことにはならないよ」
⚪ 大手法律事務所が架空の判例を裁判書面に提出
2026年4月18日、大手法律事務所Sullivan & Cromwellが連邦判事への謝罪文を提出しました。
AIが生成した「存在しない判例」を裁判書面に引用していたことが、相手方のBoies Schiller Flexnerによって発見されたためです。
👤「弁護士がAIの出力をチェックせずに使ったってこと?」
「ハルシネーション」と呼ばれるこの現象、AIが自信満々に誤った情報を生成する問題は、法律・医療・学術といった「事実の正確性が命取りになる領域」で深刻な実害を起こします。
AIに任せたとき、最終確認の責任は誰が持つのか。
この事件はその問いを突きつけています。
🟡 Meta AIボットを騙してInstagramアカウント乗っ取り
404 MediaやKrebs on Securityが報じた事件です。
ハッカーがMeta社のAIサポートボットにソーシャルエンジニアリングを仕掛け、Instagramアカウントの乗っ取りに成功しました。
被害を受けたのは、オバマ・ホワイトハウスの公式アーカイブアカウントや、U.S. Space Force高官のアカウントなどです。
「AIボット自身が騙された」。これは、これまでの攻撃パターンとは少し異なります。
👤「人間のサポート担当者を騙すのと変わらないんじゃない?」
だからこそ、一度突破口を見つけると大規模な被害につながります。
AIによって自動化されたサポート体制は、攻撃者にとっても「大量処理できるターゲット」になりえます。
AIがサービスに深く組み込まれるほど、AIを騙すことが攻撃の入口になる。この事件はその現実を示した大きな事例のひとつです。

第4章:〈AIとの距離の引き方〉という思考法
7つの事件を振り返ると、ひとつのパターンが浮かびあがります。
被害を受けた人の多くは、AIを「積極的に使った」わけではありません。ゲームを楽しんだ。Chromeを使った。サービスのサポートに連絡した。
日常の行動の延長線上で、気づかないうちにAIの輪の中に入っていた。これが7件に共通する構造です。
🔵 「AIとの距離」は選択できる
「AIを使う / 使わない」という二択ではなく、〈距離を意識的に引く〉という考え方があります。
預けていい距離と、預けてはいけない距離を、自分で決める。
3つの軸で整理してみます。
👤「でも、全部を自分で確認していたら非効率じゃない?」
すべてに慎重になる必要はありません。
AIの活用が本領を発揮するのは、「取り消せて、自分の確認が効いて、他者への影響が限定的な領域」です。
そこには積極的に活用する。その一方で、「取り消せない、他者への影響が大きい、最終確認が難しい領域」ほど、距離を意識的に置く。

🟣 「知らない間に」を減らすために
「AIとの距離を引く」という思考法は、ツールの使い方だけの話ではありません。
サービスへの参加の仕方、データの預け方、サポートへの問い合わせ方。日常のすべての場面で問われています。
Pokemon GOのスキャンデータのように、「楽しいから参加している」行動がデータとして積み上がり、想定外の文脈で使われることがあります。
「利用規約に同意した」という事実は、「理解した上で同意した」とは異なります。
どこから意識を変えればいいか。
一つ目は、「自分がサービスに何を渡しているか」を立ち止まって考える習慣です。
⚠️カメラ、位置情報、音声、行動履歴。それぞれが「どこへ行き、何に使われうるか」を完全に知ることはできなくても、問いを持つことに意味があります。
二つ目は「AIが関わっている局面を見分ける」ことです。サポートチャットはAIボットかもしれません。採用の選考にAIが使われているかもしれません。
⚠️「これは人間が判断しているのか、AIが判断しているのか」を意識するだけで、距離の引き方は変わります。
AIはこれからも、僕たちの生活により深く入り込んでくるでしょう。
それを拒むことは現実的ではありませんし、AIが生み出す価値も確かにあります。
大切なのは、「知らない間に」を減らすことです。
今日からできることとして、まず自分が使っているブラウザやアプリの「設定→プライバシー→AI機能」のセクションを一度開いてみてください。
何がオンになっているか確認するだけで、「知らない間に」の輪郭が少し見えてきます。
そして、サポートチャットやカスタマーセンターに問い合わせるとき、「これはAIが答えているのか、人間が答えているのか」を意識してみること。この2つの習慣が、〈AIとの距離の引き方〉の出発点になります。
どこに距離を引くかは、個人ユーザーが自分で決める時代になっています。この7つの事件は、その問いを考える入口として、頭のどこかに置いておいてほしい7件です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
さて、あなたなら、あなたはどこに〈AIとの距離〉を引きますか⁉️
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