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【ゲーム考察】「疲れ果てた……勉強にも……なにもかも……」――上に天井がある。

※この記事は『上に天井がある。』のネタバレを含んでいます。
また、「ホラー」「精神的恐怖」に関するコンテンツが含まれています。
苦手な方はご注意ください。


はじめに

こんばんは。
かぐやです。

前回『上に天井がある。』というゲームがどのようなゲームなのか、またプレイした感想を投稿しました。
そして今回は、疑問点や不明瞭な点を考察し、作品の解釈をまとめていきます。


※以下、作品のネタバレを含みます。
ゲームをやったことがない方は、先にプレイすることをお勧めします。


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『上に天井がある。』の感想記事はこちらから





考察

※この先、ストーリーに登場するキャラクターと場所について、以下のように表記します。

登場するキャラクター
場所
部屋の配置

この作品全体を通して私が感じたことは自己制御の大切さです。
なぜそう思ったのか、疑問点・不明瞭な点についての解釈を、以下の4点を中心に書いていきますです。

①何が起こったのか
②あの男
③ハサミについて
④天井の意味


①何が起こったのか

主人公の机には本(参考書)、ノート、人体の写真など、教材がたくさんあります。
カレンダーの印は模擬試験など、勉強関連の予定をマークしたのでしょう。
そう考えると、1ヶ月の中で何度も試験をしている、というハードスケジュールとなります。
主人公は、自宅で解剖学の勉強に熱心に取り組んでおり、ストレスが溜まっていった。
歯磨きの際に「なにか炎症が起きているはず」と言っているので、身体に影響が出るほど疲れて、ストレスが蓄積していたのでしょう。

しかし、ストレスへの対処はしていました。
1つは、行動のパターン化
朝ごはんの下りがそうです。
行動の順番を決めておくことで、考えるリソースを節約している。
もう1つは、ケアするための手段。
それは、入浴と手を洗うこと
浴槽は「私にとって大切な場所」と語られています。
1日のほとんどを勉強に費やしている彼女にとって、時間を削らず自分のケアができる時間はこの時くらいでしょう。
また、リラックスの手段として手を洗うことをしていた。
不安な気持ちを水で洗い流すためです。
「探索」で「もう手は洗わなくていい」と語ったのは、「不安がなくなった」という意味として取れるのではないでしょうか。

しかし、そういったケアだけでは自分を制御できなくなった。
そしてある日、浴槽に水を貯めているときに、服を着たまま浸かってそのまま眠って(気絶して)しまった。

ここから、「本編」が始まる。
この作品の本編は、主人公の精神世界での出来事だと思われます。

本編で「煉獄」という表現が出てきますが、それは彼女にとってストレスがもたらす空間のことを指していると思います。
普段家で熱心に勉強していたのならば、「勉強する場所」に息苦しさを感じた。
それが精神世界のベースになったと考えます。

家の中が水浸しになるシーンでは、だんだんと浴槽に水が溜まっていく様子を表している。

そして、時計の怪物に襲われるシーン。
現実世界では意識を失った主人公が溺れて窒息状態になる。
精神世界では「怪物に締め付けられている」という認識につながったのだと考えます。

「探索」は主人公が精神的に回復し、試験に合格した後の現実世界の話
机上の本を調べた時、「試験には最高成績で合格した」と語られています。
ループから脱出したことで、健康に日常生活を送れるようになったのではないでしょうか。


②あの男

「本編」で主人公が男性と接触したのは3回。
謎の空間、窓の外、バスルーム……加えて、朝食をとる前、向かいの家から手を降ってきた人物もおそらく彼だと思われます。
主人公は彼との面識はないようですが、彼はフレンドリーに接してきます。
彼女を突き放すのではなく、励ましてくれる。
しかし、バスルームでは、「もう時間がない」と時計を見せ、「ループを壊すこと」を諭すように訴えかけてくる。

そして、彼がいなくなった後、家が浸水。
主人公が逃げるように天井へ向かうと、時計の怪物に襲われてしまいます。

突然現れてはいなくなる「あの男」は一体何者なのでしょうか。

主人公は「探索」で、男性は「私の認識の声」であると語っています。
つまり、彼は実在しない。
「カレンダーのおかげで彼と会えた」と語られていることから、彼は勉強のストレスによる想像の産物に過ぎないのでしょう。

そして、彼の言った「ループ」を壊す方法は、精神世界で怪物を殺す、または逃げること。
現実世界では、彼を「認識の声」として取り込むことです。
彼は主人公の精神世界における危険信号で、彼を取り込まず、怪物を殺さない、つまり"BAD END"の場合、彼女は溺死してしまっていたのでしょう。


時計の怪物は、主人公が溜めこんだストレスの集合体のようなもの。
男性と同じように実在しない、そして精神世界で「彼女を追い込む」という役割が組み込まれている。
一見優しそうな彼は、直接ループの破壊を手伝ってくれるわけはないため、もしかしたら、彼があの怪物を操っている、あるいは怪物は彼の分身、という可能性もあります。


作中よく出てくるカレンダーについても深掘りしてみましょう。
「探索」時、キッチン付近にはカレンダーが散らばっていますが、主人公は「掃除したはず」と身に覚えがない発言をします。
「探索」が現実世界ならば、これは彼女が無意識に行ったことだと考えられます。
精神世界で自分から分離してしまった男性を取り込むことで、彼は彼女の「認識」となる。
"Good End"で表示されるイラストは、彼が彼女に憑依したようにも見えます。
「彼に会いたい」「お礼がしたい」と思っている彼女は、カレンダーをばら撒くことで、無意識のうちに彼を認識しようとしているのかもしれません。


③ハサミについて

作品において、ハサミの存在は行動という意味で重要だと思います。

まず、主人公がキッチンでハサミを「洗う」こと。
ストレスで動くのも億劫であった彼女にとって、ハサミを洗うという行動をした。
そして、家が水浸しになる時に、ハサミを「取りに行った」ことです。
水は廊下Ⅱの窓から、つまり、キッチンに行くのを妨げるようになだれ込んでくる。
その時に、彼女が「キッチンへ行く」という行動を選択した場合、"Good End"を迎えられるわけです。

ハサミについて、さらに深掘りしてみましょう。
ハサミは始め、血がついた状態でシンクに置いてあり、ストーリーの中でそれをキレイにします。
また、部屋にあるはずの箱がなぜかキッチンにあり、「探索」のときにはなくなっている。
ストーリー上、主人公はハサミを使って怪物に抵抗。
光のさす方へ駆け込み、現実世界へ戻ってくる。
その後、このハサミを、あの男が、もしくは怪物がシンクに戻したとすると……?
ストレスによって作られた精神世界がこのように成り立っているならば、怪物ハサミで刺し、逃げ出しても、精神世界そのものが崩壊するわけではない。
彼女は、ストレスによって何度も精神世界に迷い込んでいた、あるいはまた迷い込む可能性があるかもしれません。
「本編」では溜めこんだストレスが彼女にとっての限界に達したため、起こった出来事なのでしょう。

"Good End"でループから脱却することは出来ましたが、勉強に対する不安という、悩みの種は消えていないため、解剖学の試験に合格してからが本当の"Good End"なのかもしれません。
だからこそ、ループに陥らない「自己制御」が「本編」の後からできるようになったため、試験に最高成績で合格できたのではないでしょうか。


④天井の意味

主人公が取り組んでいる「解剖学」という、医学系統の道に進むなら、相応の学力や能力が求められ、常に成績上位にいなければなりません。
そのうちに「成績を落としちゃいけない」「もっと上を目指さなきゃいけない」という向上心から来るプレッシャーも、彼女の中でだんだんと大きくったのではないでしょうか。

それが「天井」の意味ではないかと思います。

逆に、「本編」でバスルームの床が抜けた時に「底なし穴…終わりが見えない……」「気持ち悪い……」という発言。
これは「自分が追い抜かれたくない」という恐怖心を表しているのだと思います。

家で一人、淡々と勉強していたならば、周りの人との関わりがないため、自分の(成績的な)位置を把握しづらい、またはストレスを抱えたことでしばらく成績不振になっていたのかもしれません。


まとめ

『上に天井がある。』についての考察をまとめると……

本編:主人公が、勉強によるストレスで創ってしまった精神世界のループから脱出する物語。
探索:ループから脱出し、試験に合格した後の主人公の現実世界での振り返り。

[時系列]
本編
解剖学の勉強に追われ、ストレスを抱える。

ストレスに耐え切れなくなり、「煉獄」(精神世界)のループに囚われてしまう。
浴槽に水を貯めていたが、疲れから浴槽で意識を失った。

精神:男性と会話をする。だんだんと家の様子がおかしくなり、ついには浸水。
現実:意識を失っている間に、浴槽の水が溜まっていく。

精神:天井で時計の怪物に襲われるも、ハサミを刺して逃げる。
現実:浴槽で溺れかけていたが、意識を取り戻した。
ループを壊す=男性を自分の「認識の声」として取り込む。

「自己制御」ができるようになる
解剖学の試験に最高成績で合格。(悩みの種から解放される。)

探索
当時の精神状態について、主人公が振り返る。

[あの男]
主人公のストレスが創り出した架空の存在で、「認識」の分離体。
彼の存在が彼女にとって危険信号そのもの。
ループから抜け出すためには、彼を認識の声として取り込む必要がある。

[ハサミ]
ループから抜け出し、ストレスを克服するための「行動」の象徴。

[天井・底なし穴]
自分の立ち位置への「プレッシャー」や「恐怖心」を表したもの。


おわりに

この考察はあくまでも一個人の解釈に過ぎません。
不完全な部分はあると思います。
もし気になる点等ありましたら、コメントしていただければ、答えられる範囲でお答えします。

最後まで考察を読んでくださった皆さん、ありがとうございます。
この考察が良ければ、スキやコメントなど、気軽にリアクションをしていただけると嬉しいです。




投稿:2024.4.6
最終更新:2026.5.5(一部表現の見直し)




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