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フフン賞|毎週ショートショートnote(裏お題・字数超過)

◆「『いいヤツから死んでいく』とかって言うけど,うちの会社って,イヤなヤツはいつの間にかいなくなってるよね」
「ああ,それね。『フフン賞』がうまく機能してるのかな」
「フフン賞?」
「人事と総務の共同で,非公式にやってる社内査定。同僚や部下,上司,取引先エトセトラに対する見下すような発言・振る舞い・態度を点数化して,3年ごとに上位1〜3名の『受賞者』が,役職だけはつけて,栄転って形で地方や子会社に飛ばされるの」
「そんなシステムが?」
「あくまで非公式だけどね。公になったら大問題でしょ? 『賞』って呼ばれてるのも,露見対策よね」
「ありがたい気もするけど,なんでそんな制度が?」
「ずいぶん昔の話になるけど,バブル崩壊のときに,そういう鼻もちならないヤツらがこぞって調子こいて,会社のお金で勝手に財テクしてて,大損害を出したらしいの。
その上で,隠蔽工作で誤魔化そうとした例も少なからず。
そのときから,そういう世の中ナメくさった社員の存在は,能力が高くても,長い目で見れば結局我が社の利益にはならない,って」
「へー。それにしても,『フフン賞』って,ずいぶん変な名前ね」
「バブルで損害出した筆頭が,当時の社長が毛嫌いしてた,傲慢不遜な営業担当重役だったんだって。
上から目線で他人を小馬鹿にしてせせら笑うような発言が多くて,陰で『フフン様』って呼ばれてたって。『フフン賞』の名前は,そこから来てるんだとか。
ちなみに,フフン様自身は背任行為で実刑判決の『大賞』受賞」
「……今さらだけど,それ,私なんかにしていい話だったの?」
「あんたなら黙っててくれるでしょ。
それにね,ずっと秘密を守ってきたけど,なんかもう,どうでもよくなっちゃった。
この間飛ばされた本部長,言葉を飾るのが嫌いで口は悪いけど,男気のある人で,私はけっこう好きだったんだ。
部下のためなら泥もかぶってくれるいい上司だったんだけど,納得が行かないことがあったら,上には容赦なく噛みついて。
煙たがられて,結局フフン賞を悪用するような形で,厄介払いされちゃった……」
そう教えてくれた彼女は,翌月にはいなくなっていた。支社への異動(栄転)の内示を受けたが,固辞して職を辞したのだという。
実は飛ばされた本部長とデキていたらしい,との噂も流れたが,事実なのか,あるいは,故意に流された流言だったのかはわからない。


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