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おてあげですね|アマノ文筆クラブ

「じゃあいくぞ,サスケ号。お手!」
サスケ号は,俺の差し出した右手の上に,サッと右前足を乗せた。
「おかわり!」
サスケ号は右前足を引っ込め,代わりに左前足を出した。
「お手上げ!」
サスケ号は後ろ足で立ち上がると,肩をすくめるようにして,首を左右にフルフルと振ってみせた。
両手もろて挙げ!」
サスケ号は前足でバンザイすると,笑っているように口を開け,バタバタと駆け寄って来た。
「ジョジョ立ち!」
サスケ号は片足に重心を乗せると,片前足を腰に当て,気取ったポーズを決めた。
「足蹴!」
サスケ号は後ろを向くと,ザッザッザッとこちらに後ろ足で砂をかけるような素振りをした。
「揚げ足!」
サスケ号は片方の後ろ足を大きく後ろに振り上げた。
「からの,三点倒立」
サスケ号は,口先と両前足を地面につけて,後ろ足を蹴り上げ,倒立した。
「えー、すごーい!」
エリカが両手を口に当てる。
「からの,バク転!」
サスケ号は宙返りして,スタッと2本足で立った。
「アサシン!」
「キャッ!」
サスケ号は,ササッとエリカの背中を駆け上がると,彼女の肩におぶさって,首筋に歯を当てて甘噛みした。
「からの,降参サレンダー!」
サスケ号は,エリカの背中を離れると,ぱたりと後ろに倒れ,こちらに腹を見せて寝そべった。
「以上!」
俺はエリカに,ハンカチを差し出した。
「スゴいじゃないですか,先輩! サスケ君,天才? それとも先輩が,天才トレーナーなんですか?」
エリカはサスケ号に甘噛みされた首を拭きながら,絶賛する。
「それがさ,こいつ介助犬候補のトレーニーのくせに,本来の仕事は,ムカつくくらい全然覚えようとしないんだ。
アホなのかと思ってたけど,試しにふざけた芸をやらせてみたら,そっちはノリノリで,やたらと飲み込みが早いと来た。
……コイツ,どうすればいいと思う?」
「あらあら,そうなんですか。それはおてあげですね。
……サスケ君,施設のお爺ちゃんお婆ちゃんたちや病院の子どもたちの所を回る『慰問犬』にでもなっちゃう?」
「それだ!」


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