見出し画像

数字の先にいる人へ──マーケティングの軸は「必要な人に価値を届ける」こと(iQra Interview)

決断自体は軽やかに見えるかもしれませんが、私はいつも「価値を届けたい」と思って動いています。成果が出ないときも、落ち込むより「どこを変えれば良くなるか」を淡々と考え実行する。必要なら早めに詳しい人に聞いて、次の一手を打つ。このように、納得できる仕事を積み重ねています。

海老島 克拓
2025年2月にイクラ株式会社に入社。
前職では占いサイトを運営する会社でマーケティングを担当し、執行役員まで昇進。SEO(検索エンジン最適化)やコンテンツマーケティングで成果を上げるも、未経験だった広告領域への挑戦を決意し転職。現在はGoogle、Meta、Yahoo!などの広告運用を担当し、仮説検証を繰り返しながら日々PDCAを回している。「好奇心と探求心」を武器に、マーケティングの本質を追い求め続けている。


「やってみたい」が背中を押した──イクラを選んだ理由

──イクラ株式会社に入社された時期と、その経緯を教えてください。
入社したのは昨年の2月21日で、もうすぐ1年になります。前職では占いサイトを運営する会社でマーケティングを担当しており、SEOやコンテンツ制作をメインに、最終的には執行役員も務めていました。

仕事自体は充実していましたが、マーケターとして「広告運用」という領域に強い関心を抱くようになりました。しかし、未経験から広告に挑戦するのはハードルが高く、それならいっそ環境を変えようと転職を決意したのです。

──数ある中で、なぜ「イクラ」だったのでしょうか?
イクラに決めた理由は、笹島さんとの二次面接です。「どんな質問を投げかけても、なんでも教えてくれる」という印象を強く受けました。
また、広告実務が未経験であっても「大丈夫」と背中を押していただけたことが決め手となり、「それなら一度飛び込んでみよう」と入社を決めました。

──一度も訪れたことのない土地へ、知り合いもいない状態で移住するのは勇気がいると思いますが、迷いはありませんでしたか?
迷ってもしょうがないですからね。「一度東京を出たい」と思った時点で、自分の中ではもう決まっていました。ずっと東京で仕事をしていて、正直ちょっと飽きていたんです。イクラは大阪だったので、「東京を出られるのもいいな」と思いました。

もしイクラが北海道の会社だったとしても、たぶん今ごろ北海道に住んでいたはずです。自分でも、人生の転機ではけっこう「ノリと勢い」で動いている自覚があります。

ただ、仕事についてはずっと「興味が向くほうへ進むのが一番」と考えています。今の自分には、失うものも特にない。だからこそ、20代半ばというタイミングで環境をガラッと変えて、新しいことに挑戦するのはすごく良い時期だと思います。

肩書きより、納得感──前職で得たものと手放したもの

──前職での経験について教えてください。もともとマーケティングを専門にされていたのでしょうか。
私のマーケティングとの出会いは大学時代のインターンでした。そこで基礎に触れて以来、ずっとこの分野に関わっています。

前職の占いサイト運営会社には、最初からマーケターとして入社したわけではありません。当初はコラムやメールマガジンを執筆する、ライターのような業務を担当していました。

しかし、自社でサイトを運営する中で、集客が弱いなと感じました。「大学のインターンで培った知識を活かせば、もっと数値を伸ばせるのではないか」と考え、自ら手を挙げて本格的にマーケティング施策を回し始めたのが、キャリアの転換点となりました。

──最終的に執行役員まで昇進されたと伺いました。なぜその立場を手放してまで、転職を選んだのですか?
前職には3年ほど在籍しました。ゼロから事業を立ち上げ、夢中で取り組むうちに売上がついてきて、気づけば執行役員という立場になっていました。

一通りの経験をさせてもらい、「やりきった」という感覚があったこと、そして26、27歳という年齢が新しいことに挑戦するベストタイミングだと思い、転職することを決めました。

──執行役員を辞めて平社員に戻るというのは、迷いはありませんでしたか?
私自身、役職に対してのこだわりや未練は全くありませんでした。もともと出世欲があったわけではなく、「面白いから続けていたら、いつの間にか役職がついていた」という感覚だったからです。それよりも「未経験の広告運用に挑戦したい」という気持ちの方がはるかに強かったため、転職することへの抵抗もありませんでした。

また、当時は非常に恵まれた待遇をいただいていましたが、20代半ばでその立場にいることに、どこか「身分不相応な、絶妙な居心地の悪さ」を感じていたのも事実です。

さらに、立場が変わるにつれて、事業や組織を違う角度から見る機会が増え、「自分は今、何を大切にして働きたいんだろう」と考える時間が増えました。結果として、肩書きや条件よりも「自分が納得できる仕事」を選びたい気持ちが強くなりました。

──「違う角度から見る機会」というのは、具体的にはどんなものでしたか?
前職で扱っていたサービスも、それを必要とする多くの方に支えられていましたし、私自身もその一員として多くの学びを得ました。
ただ、一人のマーケターとしてキャリアを重ねる中で、「自分が心から良いと思えるものを、必要としている人に届けたい」という想いが、自分の中で明確になっていきました。

──今の環境に移って、その葛藤は解消されましたか?
はい。イクラのサービスは、売主様が「知っているだけで得をする」価値のあるものです。自分の手がけるマーケティングが、ダイレクトに誰かの役に立っていると確信できる。そう思えるだけで、以前よりもずっと「肩の荷が下りた」ように感じています。

納得感のある仕事ができる今の環境を通じて、「仕事の充実は、決してお金だけではないんだな」と心から実感しています。

広告運用への憧れ──未経験でも挑戦したくなった理由とは

──なぜ広告がやりたかったのですか。
マーケターとしてずっとSEOに携わってきましたが、検索結果を分析していると、その上部にある「広告」を目にする機会がありました。そこから「広告運用も経験したい」という純粋な好奇心が芽生えたのです。

──未経験の領域に飛び込むのは不安ではなかったですか。
不安よりも「やりたい」という気持ちの方がはるかに強かったですね。
私は決断する際、深く考えすぎずに動くことが多いと思います。

考えすぎると身動きが取れなくなってしまいますし、迷って時間を浪費するのももったいないと思っています。「やりたいと思ったことは、まずやってみる」という気持ちで、この新しい環境にも飛び込みました。

仮説を立てて、試して、直す──入社1年の学び方

──入社されて1年近く経ちますが、今はどのような業務を担当されていますか?
現在は念願だった広告運用に日々取り組んでおり、Google、Meta、Yahoo!など主要な媒体のリスティングやディスプレイ広告を、「1から10まで」すべてやらせてもらっています。
もちろん笹島さんの承認は必要ですが、基本的には自分自身で仮説を立て、施策を実行し、PDCAを回すという裁量の大きな環境です。

実は、入社当初から「とにかく広告をやらせてほしい」と志願し続けていました。最初はYahoo!広告から始まり、徐々にGoogleなども任されるようになり、入社半年の8月頃には笹島さんから実務を引き継ぐ形でメイン担当になりました。

──未経験の領域を、どのように学んできたのですか。
最初は笹島さんから広告の基礎を叩き込んでいただきました。それ以降は、本を読み、ネットで最新情報を収集し、さらに外部の広告アドバイザーとのミーティングを通じて専門知見を吸収するなど、自走し続けています。
もともとやりたくて入った領域なので、学ぶこと自体が楽しく、苦になりません。

──笹島さんからは、どのような指導を受けているのでしょうか。
「答え」を直接教えてもらうことは、ほとんどありません。質問をしてもヒントを提示されるに留まり、「まずは自分で考えてみて」と促されることが多いです。そこで自分なりに考え抜き、再び確認しに行く。この繰り返しによって、「自分で考える癖」がついたと感じています。

ただし、分からないことにいつまでも悩み続けることはしません。それで時間を使ってしまうのももったいないと思っているからです。「1日考えても出ない答えは、3日考えても出ない」。

時間を浪費するよりも、適切なタイミングで助言を仰ぎ、ヒントを得て次のアクションに移る。それが結果として、改善のスピードを最大化させる最善の方法だと信じています。

──イクラと前職での環境の違いは、どのような点にありますか?
一番の違いは、「視座の高さ」と「数字に対する解像度」です。
前職ではすべてを自分一人で、ゼロから手探りで始めました。そのため、今振り返ると「いい意味でも悪い意味でも、なあなあで『がさつ』に物事を見ていた」と痛感しています。

しかしイクラに入社してからは、一つひとつの数字をここまで緻密に、根拠を持って分析するのかと驚かされる毎日です。

SEO一つとっても知識の深さが全く違いますし、すべての施策に明確な理由があると感じています。笹島さんは、これまでに会った人の中でも、頭の回転が速く、数字に非常に強い方です。

──1年前の自分と比べて、成長したと思うところはありますか。
1年前の自分とは、比較にならないほど成長できた実感があります。
広告運用の知識はもちろんですが、「仕事への向き合い方」そのものが変わりました。前職ではどこか適当に済ませてしまう部分もあったのですが、今は非常に真面目に、責任感を持って取り組んでいます。

施策を練る際も、目先の結果だけでなく「その一歩先で何が起きるか」まで深く思考を巡らせるようになりました。以前なら「これでいいだろう」と終わらせていた場面でも「本当にこれでいいのか?」と自問自答し、数字に基づいた確固たる根拠を求めるようになったのです。

まだ完璧ではありませんが、ようやく「数字をベースに思考する感覚」の一端を掴めてきたように思います。

うまくいかない日こそ、淡々と──成果が出ない時の向き合い方

──現在の仕事のやりがいや、モチベーションについて教えてください。
今は、自分が本当にやりたかった「広告運用」を、驚くほどの裁量を持って任せてもらっています。ただ、入社してまだ1年も経っておらず、日々勉強の連続です。自分としては、まだ「目に見える成果」を出し切れているステージにはいないと感じています。

仕事において一番楽しいのは、やはり成果が出た瞬間です。逆に一番しんどいのも、成果が出ない時。今はまだ苦戦することも多いのですが、そこで感情的になっても意味はありません。「しんどいと嘆いても、数字が変わるわけではない」。そう割り切って、やるべきことを淡々と実践しています。

──「売上の向上」そのものが、一番のモチベーションではないのでしょうか?
正直、売上をめちゃくちゃ上げたいとか、そういう感じでモチベーションが高まるタイプではないかもしれません。それよりも、「自分の取り組んでいるプロセスが正しければ、結果としての売上は自ずとついてくる」と考えています。そのため、売上に対して過度にガツガツした印象は持たれないかもしれません。

もちろん、組織において「売上を上げること」が正解であることは十分に理解しています。私の担当する広告運用は集客の要(かなめ)です。「自分の知識を深め、立てた仮説が的中する」ことは、巡り巡って売上という成果に直結すると感じています。広告で集客し、そのお客様が成約に至るという構図がある以上、自分の仕事が売上に貢献していることは強く意識しています。

このように、決して売上を軽視しているわけではありません。ただ、私にとっては「正しい仮説を立て、それを証明していくプロセス」の中に、売上が含まれているという感覚のほうが合っている感じがします。

──成果が出ない時、どのように向き合っているのですか。
「数字が出ていない」という事実は、今のやり方が「正解」ではないという何よりの証拠です。成果の出ない手法に固執し続けるのは時間の無駄だと考えているので、迷わずアプローチを切り替えます。

もちろん、闇雲に変えるわけではありません。「現状よりも良くなる」という根拠がある場合にのみ、新しい手法を選択します。私にとって重要なのは「成果」であり、自分の考えや過去の経験に固執することは全くありません。

──判断に迷った時は、どうされるのですか。
自分一人の知識で解決できない時は、すぐに「視座の高い人」に話を聞きに行きます。幸いなことに、今の職場には上司の笹島さんをはじめ、専門知識を持った方々が近くにいますから。

前職ではすべてをゼロから一人で始めたため、ひたすら本を読み、本番環境のコードを直接書き換えるような危なっかしい試行錯誤を繰り返していました。今振り返れば、大きな事故が起きなかったのは運が良かっただけだと思います。

しかし今は、自分だけで悩み続けるよりも、新しい知見を取り入れたほうが圧倒的に早いと確信しています。1年は365日しかありません。1週間も悩み続けて立ち止まるのはもったいないので、すぐに助言を仰ぎ、次のアクションを開始するスピード感を大切にしています。

数字の先にいる人を見たい──マーケティングの考え方

──海老島さんにとって、マーケティングという仕事の醍醐味は何ですか?
自分が講じた施策が、ダイレクトに数字という結果になって返ってくる。その瞬間が一番楽しいですね。
もともと、自分は人と話すのがあまり得意なタイプではありません。そのため、早い段階から「セールスは性格的に向いていない」という自覚がありました。そんな折、大学時代のインターンでマーケティングに出会いました。

自分にはこの環境がとても心地よく、「こんないい仕事はない」と思って続けていたら、気づけば今日まで続いていました。たまたま始めて、たまたま自分に向いていたんだなと思います。

──マーケティングとアフィリエイトの違いについて、どう考えていますか。
「集客して終わり」であれば非常に楽ですし、それはアフィリエイターの領域です。しかし、それではマーケターである必要はないと考えています。

イクラのビジネスは、集客したお客様が「成約」に至って初めて価値が生まれます。短期間の目で見れば、登録(リード)を獲得した段階で報酬が発生するアフィリエイト的な手法の方が楽かもしれません。

しかし、長期的な視点で見れば、成約という最終的なゴールまで責任を持つことこそがマーケターの役割だと思っています。

──成約までを追うとなると、他部署との連携も重要になりますね。
そうですね。特にお客様のその後の動きを把握するため、CS(カスタマーサクセス)とは連携しています。
入社当初は自分の業務(集客)だけで手一杯になりがちでしたが、実務に慣れ、心に余裕が生まれるにつれて、自然と「集客した後の世界」にも目が向くようになりました。

最初から広い視野を持っているに越したことはありませんが、「できることが増えるほど、視野も外へと広がっていく」というのが、私の実感です。

──マーケティングの手法は日々進化していますが、その変化をどう捉えていますか。
私がこの世界に入った2017年と比べても、手法の移り変わりは驚くほど速く、当時のテクニックの多くは今では通用しません。

しかし、当時の試行錯誤によって築かれた「土台」があるからこそ、今の自分があるのだと感じています。具体的なスキルがそのまま使えなくても、「ユーザーファースト」といった本質的な考え方や、物事を捉える根本的な視点は、時代が変わっても決して変わりません。その「変わらない本質」を軸に持っていることが、今の私の強みになっています。

インターンで知った世界──仕事が楽しいと思えた原点

──大学時代のインターンの経験について教えてください。
もともと大学生の頃は、「卒業しても仕事なんてしたくない」と考えていました。ただ、それは単に世間を知らなかっただけだと思います。

大学2年から4年までの2年強、あるベンチャー企業でインターンを経験したことが、私の人生を大きく変えました。そこには自分より年下のメンバーが死ぬほど働いている姿があり、「世の中の優秀な人たちは、こんなにも仕事に打ち込んでいるのか」と大きな衝撃を受けたのを覚えています。それが私にとっての原体験となりました。

それまでは、満員電車に揺られて上司に怒られるサラリーマンをイメージして、勝手に仕事に対して暗いイメージを抱いていました。しかし、実際に蓋を開けてみれば、そこは全くの別世界でした。できたばかりのベンチャーで、多くの東大出身者たちが朝から晩まで楽しそうに働いている。「こんな世界があるのか」と知ったことで、前向きに仕事に取り組めるようになりました。

──その経験は、今の仕事にどう影響していますか。
間違いなく人生のターニングポイントでした。あのインターンに行っていなければ、今こうして働いていなかったかもしれません。

当時は環境にも人にも恵まれ、まさに「人ガチャに当たった」ような最高の体験でした。当時のインターン先も、今のイクラと一緒で、「どんどん勉強して、吸収してくれ」というスタンスで仕事をさせてくれる環境でした。
そうした場所でスタートを切れたことが、今の私の土台になっています。

気負わず働ける理由──イクラの環境と「個」のスタンス

──イクラで働く環境について、どう感じていますか。
個人的には、非常に心地よい環境だと感じています。同世代のメンバーが多い職場ですが、私はあまり年齢を意識することはありません。

社会に出れば年齢は関係ありませんし、誰かに「負けたくない」といった競争意識も、自分はそれほど高くないタイプだと思っています。大切なのは、自分のやるべきことを淡々とこなすこと。そのスタンスを常に大切にしています。

──上司や役員との距離感はどうですか。
もちろん一定の敬意は持っていますが、過度に緊張することはありません。相手が誰であれ「同じ人間」ですから。
役職がついているということは、それだけ「会社のことを深く知っている」ということです。知りたいことがあるなら、直接聞きに行くのが一番早い。「聞くべき人に聞く」という合理的な判断を優先しています。

また、今の環境でやりたいことをやらせてもらっている以上、守りに入る必要もありませんし、失うものも特にないと考えています。

──精神的なタフさも感じられますね。
個人的な悩みを誰かに相談することは、ほとんどありません。昔からメンタルの強さには自信がありますし、仕事で「病む」こともありません。感情を切り離し、数字や事実に基づいて状況を判断する癖がついていることが、安定した状態で働き続けられる理由かもしれません。

最初の一歩は、小さくていい──これから目指す人へ

──これからマーケティングを目指す人に向けて、アドバイスをお願いします。
あまり難しく考えすぎず、まずは「面白いな」と思ったことに手を動かしてみるのが一番です。
私自身、最初は自分のブログを立ち上げて記事を書いたり、SNSで「どうすれば投稿が伸びるか」を試行錯誤したりすることから始めました。最初から高度な「マーケティング手法」を学ぼうとすると、その難しさにしんどくなってしまう人も多いはずです。

それよりも大切なのは、「なぜこうなるんだろう?」という純粋な「好奇心と探究心」です。真面目に取り組んでいれば、いずれ必ず基礎や理論が必要になるタイミングが来ます。その時に学べばいい。好奇心に基づいた「自走する力」と、数字に対する抵抗感がなければ、マーケターとしてどこでも通用する地力が身につくはずです。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集