2025年9月10日:ALL-IN Summit でイーロンマスクが語ったこと
最近のイーロンマスクの頭の中を知れるチャンス。
ALL-INはアメリカの人気のPodcastで、これはそのSummitなので、特別なカンファレンス的位置付け。
1. Optimus(オプティマス)
イーロン・マスク氏は、Optimusが人類史上最も偉大な製品になると信じており、現在Optimusバージョン3のデザインを最終調整している段階です。
Optimusは、人間の手の器用さ(非常に複雑な手)と、現実をナビゲートし理解できるAIの頭脳を持つ、非常に優れたロボットになるでしょう。
大規模な量産を目指しており、これが他のロボット会社には欠けている3つの重要な要素(手の器用さ、AIの頭脳、大量生産)のうちの一つです。
マスク氏は、他のどの単一のプロジェクトよりも多くの精神的サイクルをOptimusに費やしており、現実世界のAI、電気機械的問題、サプライチェーン、生産の課題に取り組んでいます。
人間型ロボットの既存のサプライチェーンがないため、ゼロから再構築し、多くの垂直統合が必要です。例えば、Optimusのアクチュエーターは既存のサプライチェーンからは入手できないため、すべての電気モーター、ギアボックス、制御エレクトロニクスを物理学の第一原理から設計しなければなりませんでした。
Optimusのコストは、年間100万台生産に達した場合、限界生産コストは2万ドル程度になると予測されています。AIチップの費用はロボット1台あたり5,000ドルから6,000ドル、あるいはそれ以上になる可能性があります。
人間の手は、野球のバットを振る、針に糸を通す、ピアノを弾く、車の分解・組み立てなど、信じられないほど多用途な道具であるため、手の問題解決が汎用的な人間型ロボットを作る上で不可欠です。人間の手には、数え方にもよりますが、27または28の自由度があるとされています。
ロボット全体のエンジニアリングにおける困難さの大部分は、前腕を含む手に集中しています。
2. AIチップ(Dojo、AI4、AI5)
Teslaでは、トレーニング用のDojoと推論用のAIチップの2つの異なるチッププログラムがあります。
現在、すべての車両にAI4推論チップが搭載されています。
AI5はAI4から大幅な改善をもたらし、特定の指標(softmax演算の実行)では40倍の性能向上が見込まれています。これは、AIソフトウェアとAIハードウェアの緊密な共同設計により、AI4のボトルネックを特定し最適化した結果です。
AI5チップは、生の計算能力で8倍、メモリで約9倍、メモリ帯域幅で約5倍の向上があります。
現在のAI4チップでも、今後数ヶ月でリリースされるバージョン14ソフトウェアアップデートにより、人間の運転の2~3倍、あるいは10倍の自動運転安全性を達成すると確信しています。このソフトウェアアップデートは、パラメータ数を桁違いに増やし、強化学習を活用しています。
3. Starlink(スターリンク)と衛星から携帯電話への直接接続
SpaceXは、Starlink衛星ネットワーク向けに、EchoStarから約170億ドルのワイヤレススペクトラムライセンスを買収しました。
これにより、SpaceXは衛星から直接携帯電話に高帯域幅の接続を提供できるようになります。
ただし、現在の携帯電話ではこれらの周波数がサポートされていないため、携帯電話のハードウェア変更(チップセットの変更)が必要であり、実現には約2年かかると予想されています。
同時に、SpaceXはこれらの周波数で通信する衛星の構築も進めています。
このシステムが実現すれば、どこでも携帯電話でビデオを視聴できるようになるでしょう。通常通り屋内で使用することも可能です(ただし、厚い金属製の屋根の建物は除く)。
将来的には、地域のキャリアを必要としないグローバルなStarlinkアカウントを持つことが可能になるかもしれません。これは他のキャリアを廃業させるものではなく、あくまで選択肢の一つとなります。
4. Starship(スターシップ)
Starshipの完全な再利用は来年にも達成される可能性があります。
現行のバージョン2設計のスタックは残り1機で、その後は**ラプター3エンジンを搭載した「バージョン3」**に移行し、大幅なアップグレードが施されます。
バージョン3は、初期段階で多少の問題が発生するかもしれませんが、100トン以上の荷物を再利用可能な形で軌道に投入できる能力を持つでしょう。これは、ファルコンヘビーの約2.5倍の能力です。
直近の失敗した打ち上げ(「大きな爆発」があったもの)からの回復は非常に迅速でした。これはSpaceXチームの並外れた努力と、規制当局との調整によるものです。
完全再利用可能な軌道ロケットの製造は、これまでにない最も困難なエンジニアリング問題の一つであり、SpaceXは2002年の創業以来、この目標を追求してきました。
完全な再利用性を実現するための大きな技術的課題は、再利用可能なヒートシールドの開発です。スペースシャトルのヒートシールドは、飛行後に9ヶ月もの修理を必要としました。これは材料科学とエンジニアリングの両方の問題であり、基礎物理学の第一原理からアプローチして、軽量で熱を伝えず、雨に溶けない耐久性のあるタイルを開発する必要があります。
5. Grok(グロック)とXAI
Grokの進化は、推論計算と推論を大量に利用して、人類の知識のコーパス全体を分析し、欠けている情報を追加し、誤りを修正し、誤情報を排除することに焦点を当てています。
これは、Wikipediaなどの情報源を分析し、真実、部分的に真実、虚偽、または欠落している部分を特定し、そのページを修正して書き直す作業に似ています。マスク氏は「Gropedia」のような修正版の公開の可能性についても言及しました。
Grok 5のトレーニングのために、メンフィスのスーパークラスターColossusの規模を拡大しています。
AIモデルの能力向上におけるスケーリングの法則については、計算量の10倍の増加が知能を2倍にするというおおよその経験則があると考えています。
人類の知能は人口増加と情報蓄積の能力向上により拡大してきましたが、人口減少により横ばい、あるいは低下する可能性があり、AIがそのギャップを埋める存在になると見ています。
AIは早ければ来年にも、あらゆる点で個々の人間よりも賢くなる可能性があり、2030年までにはすべての人間の合計よりも賢くなるだろうと予測しています。
6. 西洋文明の「自殺」と好奇心の哲学
マスク氏は、西洋文明が「自殺」しているかのように見える状況に懸念を抱いています。これには、出生率が置換水準を下回っていること、国境が完全に開放され社会構造が崩壊し始めていること、犯罪が無視されていることなどが含まれます。
特にヨーロッパでは悲観的な見方が広まっており、人々が未来への楽観主義や目的意識を失っていることが懸念されます。
宗教の役割について問われると、マスク氏は、宗教が失われた場合にその穴を埋めるものが、時には**自己破壊的な「破壊的な事実上の宗教」(「ワークマインドウイルス」など)**になり得ると考えています。
マスク氏が提案するのは、未来への興奮と信仰を取り戻すための**「好奇心の哲学」**です。これは、宇宙の性質を探求し、人類が星々を探索し、異星文明と出会うことを目指すものです。
この哲学は、意識の範囲と規模を拡大し、人類を成長・拡張させて宇宙を理解することを目的としています。
7. 多惑星種としての未来(月、火星)
人類が文明として新たな高みに到達するためには、月の基地の設立が重要だと考えています。月面の科学基地は、宇宙の性質についてさらに理解を深めるのに役立つでしょう。
最終的な目標は、火星に自己維持可能な都市を建設することです。
鍵となるテストは、地球からの補給船が何らかの理由で停止した場合でも、火星が繁栄し続けることができるかという点です。火星が自力で繁栄できるようになった時点で、意識の存続可能性は劇的に高まります。
これは、地球上での自己消滅(世界大戦、超ウイルスなど)や自然災害(隕石衝突など)のリスクから人類を保護するためです。
文明の弧が下降する前に、火星を自己維持可能にできるかどうかが問われています。
火星への最初のミッション自体はそれほど重要ではなく、火星が自力で繁栄できるのに十分な物資(トン数)を火星に送り届けることが重要です。これには、チップ工場のような文明のすべての要素を火星に建設する能力が必要です。
マスク氏は、30年以内に火星の自己維持可能な都市を実現できると考えています。火星への輸送ウィンドウは2年ごとに訪れるため、約10〜15回の輸送ウィンドウで火星への物資のトン数を指数関数的に増やすことができれば、約25年で可能になるだろうと述べています。
