掌編小説|低気圧にしみる味
「……頭……痛い」
久しぶりの爆弾低気圧で私はヘロヘロだった。
六法全書で殴られたみたいに、鈍い痛みが頭を締めつけてくる。いや、六法全書で殴られたら命はないだろうと自分でツッコミを入れつつ。
――ピンポーン。
軽快に玄関のインターホンが音を鳴らす。私はモニターをちらりと見ると、そこには見慣れた人影が見えた――と同時に後ろにあった姿見には自分のすっぴんとボサボサ頭という姿が映っていて絶望する。
――せめて髪だけでも……!
そう思うや否や、再びインターホンの音が鳴る。私はフラフラと引き寄せられるように玄関のドアを開ける。
「侑里さんが会社を休むなんて珍しいから……来てしまいました」
「……ごめん。片頭痛が酷くて」
「昨夜、一緒にバーへ行ったときにマティーニを三杯も飲んでたから、てっきり二日酔いかと……痛っ!」
私は遥輝くんを軽くはたく。
「――っ! そんなわけないでしょ!」
彼はふっと笑う。
「冗談ですよ。何か食べられます? 飲み物も買ってきました」
彼はビニール袋から飲むゼリーとスポーツ飲料を取り出して、私に差し出す。
「……ありがと」
私はうつむきながら差し出された飲むゼリーをちゅう、ちゅうと吸い込む。彼の優しさにじわりと胸が熱くなる。
彼は私を見てくすりと笑う。
「問題ありません。……それより、今日は寝てください。俺、そばにいますから」
その言葉に、痛みよりも先に胸が熱くなる。
――気がついたら私は寝てしまっていたらしい。
ベッドの横にすぅすぅと寝息を立てうたた寝をする彼の姿に私は愛おしさを感じながら、ふわっと彼に毛布をかけた。
お題をいただきました。
いつもありがとうございます……!
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