掌編小説│ナンパ細胞に落とされた
「あのさー、今度カラオケ行かない?」
また、幼なじみの維弦は他の子に声をかけている。
――小さい頃から一緒なのに、私の気持ちだけは知らないまま。
維弦が他の女の子に声をかけるたびに私の心臓はギュッとなる。
「――と、言うわけなんだけど。茉莉香、一緒にカフェでも行かない?」
「……また他の子に声掛けて振られたの?別にいいけど」
満面の笑みで喜ぶ維弦。
誘われて嬉しいはずなのに素直に喜べない私。
あーあ、なんでこんな軽い男を好きなんだろう。
カランとカフェの入口のドアが軽快な音を立てる。
カフェで維弦はアイスコーヒーを、私はアイスカフェラテを注文する。
ガムシロップを入れないそれは少しほろ苦い。
まるで、私の心の中のようだ。
カラカラとアイスカフェラテのグラスをかき混ぜていると、突然、維弦が口を開いた。
「……あのさ、俺たち付き合わない?」
「こういう時まで、軽いわけ?」
……また軽口かと思った。でも、目が笑ってなかった。
「軽い気持ちで言ってない。茉莉香が好きだ」
――!
胸がふわりと浮くような気持ちを抑えつつ、私は頷いていた。
――結局、私はナンパ細胞に落とされた。
お題をいただきました!ありがとうございます🍀
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