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【ショートショート】攻略法


 
「おいっ、ミワコ、ミワコ、起きろよ」
「んっ、いたたたた、何、えっ、いやぁ」
 二人は下界が見えないほどの遥か上空で、透明な立方体に閉じ込められていた。
「どうゆうことなの、ねえヨシオ!どこなの、ここは!」
 「落ち着け、深呼吸だ。俺も最初はパニクッたよ、でもな多分これはゲームだ。ARだかVRだか知らんが、映画とかアニメで見たことあるんだよ、ゴーグルかけたり首にプラグ突っ込んだりさ。
「何?そんなものないわよ、何なのよぉ」
「大丈夫だって、まあ聞けよ。よくある設定なんだ。プレイヤーはゲームに参加してるって記憶を無くしてるんだよ。まさにリアル脱出だろ」
「どうでもいいわよ!どうするのコレ。なにもないよ」
「なにもないってのがヒントなんだよ」
 二人が話していると、白い服を着た白い長髪の男が浮かんできた。
「汝らに試練を与えよう」声はこだました。
「ほら見ろ、ゲームスタートだ」
「汝らに試練を与えよう。あの天国の門に至ってみせよ」男の指さす遥か先には中世の城門を思わせる扉が浮かんでいた。そういうと男はうっすらと消えていった。
「ヒントはこれだけ?ゴールが扉なだけで道も階段もないわよ」
「大丈夫だ。俺に考えがある」
 ヨシオ右腕を伸ばして立方体の壁に触れてみた。すると少しの抵抗を感じただけで、ヌルっと外に突き出た。
「おぉ、通り抜けるのか。おい、ミワコお前そこから足出してみろよ、階段が現れるかもよ」
「いやよ、そんなの怖いよ、ヨシオがやればいいじゃない……」
「わ、わかったよ。じゃあ、ちゃんと手を握っていてくれよ……いくぞ……うわっ何だこれああああああ」
 片方の足を出すと、ヨシオの体はいきなり下に引っ張られた。ミワコが引きずられながらヨシオを見やると、無数の細く青白い手が遥か下からヨシオの足や腰を掴み、今もまた無数の腕がわらわらと湧き、ヨシオを引きずり込もうとしていた。
「いやっ」ミワコは思わず手を放してしまった。
「なにこれ、大丈夫よねゲームなんだよね、死なないわよね?わたしたち……死、ぬ?」
 ミワコの脳には灰色の映像をフラッシュバックしていた。
「あっあっ、私たちドライブしてて、夜だから大丈夫だってヨシオがお酒を飲みながら運転を、そしたら男の子を……避けたけどわたしたちも。いや、いやぁっ」
 ミワコのフラッシュバックが終わらないうちに透明な壁は消え去り細長い腕に捕まれ引きずりこまれていった。
 
 
 
 男女一人づつを乗せた透明な箱が浮かび上がってきた。
 数億回目のリトライ。やがて二人は目を覚ます。
「おいっ、ミワコ、ミワコ、起きろよ」
「んっ、いたたたた、何、えっ、いやぁ」
 
 ひとしきり騒いだ後に、神らしき老人が現れた「汝らに試練を与えよう」
「ほら見ろ、ゲームスタートだ」
 
 
 「タクト君見てごらん、君を殺した二人だよ。二人が悔い改めさえすれば門への道が現れるんだよ。これでいいんだね?」
  少年はうなずいた。
 「彼らが気づくまで、まだ時間がかかりそうだね。どうする?もう少し見ているかい」
 男が背中の翼を羽ばたかせながらそう尋ねると、少年はまた静かにうなずいた。

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