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夕暮れまえの

-ヨルとソラの物語のかけら-

林をぬけるとそこには
木々に囲まれた広場があった

陽が優しくさしこむ
木の上のほうから
"トクベツな場所だよ"って
誰かがささやいたような気がする

広場には木の枝が
伸びているところがあり 
そこはまさしく2人の
"トクベツな場所"

西の空が柔らかな黄金色に輝く
黄昏時には
コウモリのまねをして
逆さまな世界を眺めたり

心地よい風が頬をなでる夜には
枝の上によじ登りお星さまをみたりする

2人が広場についたのは
黄昏時でも 夜でもない
それより少し前の
お日さまが2人の陰を
東側に伸ばすぐらいの頃

今日はコウモリのまねじゃなくて
"さかあがり"というものをしようと
細めだけどしっかりしている
枝を選んでぶら下がり
体をぶらんぶらんと動かしはじめた

「あとちょっと あとちょっとなのに
うまく体が上がらないなぁ」

ヨルもマネして 体をぶらんぶらん

「あぁ 僕なんて全然できないよ〜」

2人で 一緒に
ぶらんぶらん
地面を蹴って 枝にしがみつく

手を ぎゅーっ
足は地面を とんっ

力を入れるとついつい
目はギュッとなり
口はイッーと空いちゃう

ぎゅーっ とん
ぎゅーっ とん
ギュッ イッー
ギュッ イッー

そんな2人を
高いところにぶら下がって
見ていたコウモリは
思わず 「ふふふっ」と笑っちゃう

あのささやき声は
コウモリさんかな

ぐーぐーぐー

枝に押されたお腹が
ぐーぐーぐー

「僕 たくさん頑張っちゃったから
お腹がもうぺこぺこ」

「ソラのお腹はいつだって
ぺこぺこだよね」

枝から手を離し
夜ご飯は何にしようか
「あま〜い匂いのものがいいな」
「ぽりぽり言わせるものがいいな」
なんて言いながら
2人はトコトコ 僕たちだけの
お家へと帰っていく




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