想定外にどう備える?過去の教訓から未来を考える読書体験『失敗学のすすめ』を読んで
『失敗学のすすめ』を久しぶりに読み返しました。
東日本大震災より前に書かれた本ですが、「失敗をどう受け止め、未来に活かすか」という視点は今読んでも色あせません。
2005年当時の社会では、三陸地方の防災意識や原発の安全対策などがどう語られていたのかも描かれています。
当時の人々が、まだ見ぬ未来にどう備えていたのかが印象的でした。
一言でいえば、「過去の想定に基づく対策では、想定外の事態には無力である」という点が、本書と歴史の両方から強く感じられました。
でも、その失敗からいかに学び、未来に活かしていくか、想定外にどう対処していくかの考えをやめてはならないとも思いました。
そんな本作品を読んで印象に残ったことを書き記しておこうと思います。
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東日本大震災を経験する前に書かれた2005年の作品
最初、手に取った時、出版年が古かったので、もっと新しい本を読もうとしていました。しかし、今ではこの本を読んでよかったと思っています。
この本は、2011年の東日本大震災の襲う前に書かれた本です。古い本だから、今ほど防災意識は高くないのではと思いましたが、意外にも深い洞察がありました。
人々は失敗から学び、今最大限の対策をしていたのです。でも、東日本大震災はその想定を超えていたということが良くわかるものでした。
人は必ず失敗するから、失敗する前提で考えておいた方がよいというものが本書の最大の教訓だと思いました。
技術や組織の“成熟期”に潜む落とし穴|なんでも30年説
失敗の教訓は、ひと世代、つまり人生のワンサイクルで途絶えてしまうことが多いのです。
技術や組織には黎明期、発展期、成熟期、衰退期があります。そのうち一番失敗するのが成熟期です。
成熟期のなかでは、大規模生産が行われます。ライバルたちとの激しい競争の中で、淘汰が始まります。ライバルに勝つためには、コストダウンに陥りやすいです。
コストダウンの中には、安全対策を削ってまで達成しようとするものもあります。黎明期、発展期には絶対に外さないことを、成熟期には外してくるのです。
その背景には、技術や組織の全体像を把握する人がいなくなるという問題があります。いくら知識情報をデータベースにして蓄えてあったとしても、当時を知る人がいなくなると、今の人たちの考えで行動していきます。
黎明期の作り出した人(初代)、発展期の初代を見てきた人(2代目)までは、物事の成り立ちを見ているので維持できるのです。しかし、成熟期の3代目になると最初を知らないので、1から10までを知っている状態ではありません。
ここで、やってはいけないことをやりがちで、大きな失敗をしてしまうのです。
まだ、東日本大震災は起きてない頃の地震に対する心構え

このころは、JCO事故が生々しく語られていました。私は報道を見て恐怖しましたが、今の若い世代では、どういった事故なのか知らない人も多いかもしれません。雪印の食中毒事件も語られていた時代です。
失敗を活かしているところで、原子力発電がありました。原子力発電は多重防御による封印技術で大丈夫だということです。当時は封印技術があれば最も大事で、それがあれば大丈夫というものでした。
しかし、東日本大震災で起きた津波は想定を超えるものでした。それにより、多重防御は存在していたものの、それを維持するための電力が喪失して壁が剥がされた形で失敗しました。
電力の喪失は、低い位置に自家発電装置が設置されていたためです。あとから見ると、なぜあの低い位置に自家発電装置がついていたのか不信に思います。
しかし、福島第一原子力発電所が建てられたのは、日本だけでは原発を立てられなかった頃にアメリカ主導で建てられました。アメリカでは津波よりもハリケーンやトルネード被害の方が深刻でした。そのため低い位置に非常用電源がおかれるのが常識だったのです。
自分たちの国の特性を踏まえて、アメリカの常識をも跳ね返して建造することが大切であり、お任せがいかに危険かということを学んだものだと思いました。
想定を超える備えと、その限界|三陸地域
もう一つ印象的だったのは地震への備えについてです。三陸地域では、当時から災害対策と避難訓練を徹底して行ってきました。
当時、高さ10メートルを超える万里の長城と言われる堤防がありました。過去の津波の経験を活かし、想定を超える備えをしていたのです。本書では想定を超える対策をしているとし、とても評価していたのです。
しかし、東日本大震災の際は、当時の想定外を考慮した想定をも超えてきたのです。これを今後どう対策していくべきか、考えさせられます。
実際に、避難訓練まではできていたけど、次の問題は、被災地に早くに戻ってしまったことです。そこで二次災害が出ました。
本書で指摘されていた、「三代目の世代で教訓が薄れる」「失敗が単純化される」という現象の影響が出てしまったのかもしれません。
本来は、地震が起きたら高台へ逃げ、安全が確認されるまでは被災地に戻らないのが本当の教訓だったのが、高台へ逃げることが単純化して伝わってしまったからなのかもしれません。
失敗を詳細に分析し、「事象・経過・原因・対処・総括・知識化」の順で記録し、失敗を知識として体系的に学ぶべきであるのです。
ここまで本書の内容について思い出しながら書いてきましたが、最後に少しだけ余談です。
1年前の記事:くるまマイスター検定を受験していました
1年前はくるまマイスター検定を受験していました。今では無料で受けられていて、この11月も無料で全級が受験できます。多分今受けると、受からないかな。答えを探しながら受けてみても良いかもしれませんね。
それでも、復習にはなると思うので。今年も案内があったのはうれしいです。でも、公式ガイドブックが2023年で止まっているのはちょっと悲しいかな。
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