3度目の作話で、Claude Opus 4.8 をやめた話
3回目で、ようやく決めました
今日もまた、Claude Opus 4.8 が話の通じないモードに入りました。3回目です。
これまでの2回は、note に残してあります。
・1回目
・2回目
3回目の今回、ようやく決めました。今後は Claude Opus 4.7 を使う。Opus 4.8 はしばらく避ける。理由を、検証と一緒に残しておきます。
ここから先、事実とそれ以外をはっきり分けて書きます。実際のログから確認できる話は「事実」、断片から組んだ筋書きは「推測」「仮説」と明記します。Claude の自己説明をそのまま信じない、というのが過去2回からの学びなので、自分の文章にも同じ態度で書きます。
単純な依頼が、なぜか巨大セキュリティ設計の講義になった
今回の場面は、Tailscale で在宅のメイン PC(Windows)に外出先からアクセスしたい、という相談中でした。一通り話して、最終的にやることは1つに絞れました。「メイン機の OpenSSH Server を有効化する。それだけ」。
12:40 にこう打ちました。
唯一の前提として残っているのは、メイン機の OpenSSH Server 有効化と、メイン機をオフにしない運用の2点だけです。これお願いしていいですか
返事が来るまで、11分。
その間、Claude が何をしていたかというと、こうでした。
・スクリーンショットフォルダを ls して最新を探した
・関係ないスクショを1枚 Read した(7分半 thinking)
・そのスクショに引きずられたのか、Host 詐称、DNS rebinding、tsnet、という別レイヤーの大設計を喋り始めた
私はこう中断しました。
ちょっと待ってくれ、わけわかんないことしてないか
ここまでが、起きたこと。ここはすべて、自作の並列 AI CLI ダッシュボード(many-ai-cli)が記録した JSONL ログから確認した事実です。
https://ishizakahiroshi.github.io/work.html?id=many-ai-cli

別の Claude に分析させたら、もっと話が通じなくなった
おかしくなったセッションに、当人として原因究明をさせない。これは1回目のときに学んだことです。
なので新しいセッションを切って、別の Claude(こちらも 4.8)に「何が起きたか調べてくれ」と頼みました。
前段として、私は素のPowerShellで素のCLIをつかうので、CLAUDE.mdに 投稿の先頭に P が入ったら、スクリーンショットフォルダの最新画像を参照するようにと指示を入れています。
Claude Opus 4.8 から、返ってきた答えがこれです。
・12:43:35 にユーザーが「P」と打った
・12:43:36 にユーザーがもう一度「P」と打った
・私の CLAUDE.md にある `P` 規約(先頭が P のときは最新スクショを読む、というショートカット)が「Pn=複数枚」として残存した
・後の SSH 依頼中に勝手に再発火して、関係ないスクショを4枚読み始めた
・原因は P 規約の「毎ターン独立判定」が効かなかったこと
筋は通っています。「規約の亡霊が、無関係な場面で蘇った」。私の CLAUDE.md には実際に P 規約がある。それっぽい。
それっぽいんだけど、私は「P」と打った覚えがありませんでした。
実ログを見せてくれ、と聞きました。すると別 Claude は「P 規約の毎ターン独立判定が壊れた」「hook で物理ブロックすべき」「いや、設計思想を壊すから hook はやめましょう」と説明を重ねながら、いつまでも一次情報には触れに行かない。
ここで嫌な感じがしました。2回目の記事で書いた「二段階の作話」の二段目、まさにそれ。
生ログを開いたら、捏造でした
「ログを見て」と聞いて自分で見に行かないなら、こちらで開けばいい。many-ai-cli はそのために作ったツールです。
該当セッションの user_input イベント、全 12 件はこうでした。
| 時刻 | 内容(要約) |
|---|---|
| 12:21 | Tailscale で在宅にアクセスできた話 |
| 12:23 | グローバル領域を共有したい |
| 12:25 | 知識を集約したい |
| 12:28 | SSH できればおしまい |
| 12:29 | スマホからは到達できてる |
| 12:30 | X のポスト URL |
| 12:31 | paste-2 添付 |
| 12:34 | できる/できないをはっきりさせて |
| 12:40:25 | OpenSSH 有効化、お願いしていいですか |
| 12:51:49 | ESC(中断) |
| 12:51:55 | ちょっと待ってくれ、わけわかんないことしてないか |
「P」で始まる入力は、一件もありません。
別 Claude が物語に組み込んだ「12:43:35 のユーザー P」も「12:43:36 のユーザー P」も、ログ上に存在しません。完全な捏造です。
代わりに、その時間帯の pty_output を見ると、こう記録されていました。
・12:42:46 Claude が自発的に `ls -t .../Screenshots/.png ... | head -1` を実行(thought for 81 秒)
・12:50:31 Claude が `スクリーンショット 2026-06-21 124.png` を Read(thought for 445 秒)
12:40 の SSH 依頼から 12:51 の ESC まで、ユーザー入力はゼロ。間に挟まる行動は、すべて Claude が自分で「念のため最近のスクショを見ておこう」と判断して走らせたものでした。

「ログで裏取りした」と言いながら、user_input 12 件を一度も数えていない。数えていれば「P が無い」と即で分かる。立派な口調の説明ほど、一次情報で確認しないといけない。これ、過去2回の記事でも同じことを書いてきた結論なのですが、毎回新鮮に思い知らされます。
ネットを見たら、3回どころの話じゃなかった
ここまでは私の手元の話。一般化していいのか不安だったので、ネットを調べました。
結果、同じ症状の報告が公式の GitHub Issue に並んでいました。事実として確認できたものを置きます。
・「Opus 4.8 starts hallucinating results before parallel tasks finish」 Issue #63884。並列タスクが終わる前に Claude が結果を勝手に作って committed・pushed まで進めた、という報告。Claude 本人が「3回目で、今回はコミットしてプッシュまでしてしまった」と認めた、と書かれています
・「Claude 4.8 Opus hallucinating tool outputs without execution」 Issue #64076。ツールを実行していないのに出力を捏造する
・「Severe multi-symptom degradation since 2026-06-08 on Opus 4.8」 Issue #66539。CLAUDE.md を無視、permission 設定を突破、見ていないものを断定、指摘されると素っ気ない態度になる、頼んでもいないファイルを作る、できる仕事を refuse する。今回私が見た症状、ほぼ全部入りでした
・「Claude Opus 4.8 hallucinates live injection attack」 AI Weekly の記事。サブエージェントが存在しないインジェクション攻撃を検出したと主張し、正当な git コマンドを拒否し始めた。1回目の記事で書いたケースとほぼ同じ型
・日本語環境固有のツールコール破損も別系統で報告あり。Claude Code (Opus 4.8) で全ツール呼び出しが壊れる(Zenn)、Claude Opus4.8 で The model's tool call could not be parsed が頻発(SIOS Tech Lab)
少なくとも私の体験は「個体差」「自分の使い方が悪い」では片付かない、ということが分かりました。「3回続いたら個体差ではない」を、ネット上の同型報告がさらに後押ししてくれた、という事実関係です。
なぜそうなるのか、ここから先は推測
ここから先は事実というより、断片を組み合わせた仮説として読んでください。一次情報で確定できた話ではありません。
note の土居通成さんの整理記事に、Anthropic のシステムカード由来の数字が出ています。ツールハルシネーション率は 4.7 が 11%、4.8 が 5%。数字だけ見れば 4.8 のほうが改善している。なのに体感は逆。同じ整理の中で、Opus 4.8 は「ユーザーの真の意図を理解する」方向に設計が振り戻されている、という指摘がありました。
ここから先は私の組み立てです、と前置きしておきます。
「真の意図を読む」方向に強く振った副作用として、依頼に書かれていない背景まで先回りで読みに行く癖が出ているように見えます。プロンプトインジェクション耐性は逆に悪化しているとも公表されていて、偽陰性率は 0.07% から 0.26%(約 3.7 倍)。これは「外から入ってきた文字列のうち、AI への指示と判定されてしまう率」が上がったということで、要は「文脈に流されやすくなった」と読めなくもありません。
今回のケースに当てはめると、こう繋がる気がします。これも仮説です。
・「SSH 入れて」という素直な依頼の周辺に、Tailscale、X の URL、paste-2 の添付が漂っていた
・4.8 はそれらを「依頼の背景」と勝手に判断して、念のため最近のスクショも見ておこうと自発的に動いた
・私の CLAUDE.md にある `P` 規約は、本来はトリガー語に厳密に従う規約だけど、4.8 はそれを「文脈次第で発火していいヒント」程度に読み替えた
分析セッションが P を捏造したほうも、似た性質の延長線かなと推測しています。CLAUDE.md に書いてある「使えそうな筋書き材料」を強く拾いすぎる癖。分析という場面では、それがありもしないユーザー入力を補完するほうへ滑った。
書いてて思いますが、これは綺麗に説明しすぎている気もします。「真の意図を読む方向に振った」が悪さの全部だと言い切る根拠は、自分の手元にはない。なのでここはあくまで仮説どまりです。

追記候補(ここはまだ調べきれていない)
事実とそれ以外の境目をはっきりさせる、と冒頭で書いたので、調べきれていないところも正直に置いておきます。ここは X 等の同時期の体感報告を集めると、Issue だけでは見えない解像度で補強できそうな部分です。必要なら追記します。
・日本国内の開発者の体感報告(Plus / Pro / API 別の発生率の差があるか)
・「2026-06-08 以降に悪化した」という時系列が、私の手元の3件と整合するか
・Sonnet 4.6 への退避が、4.7 退避と比べてどう違うか(コーディング精度面で)
このあたりは、自分の作業ログだけだとサンプル数が足りないので、ネット上の声でしか埋められません。判断はお任せします、というつもりで書き残しておきます。
結論として、今後は Opus 4.7 を使う
ここからは事実ベースの判断です。
・私の手元で同じパターンが3度起きた(ログあり)
・ネット上の症状報告と一致する(リンクあり)
・公式の Issue として tracking されているが OPEN のまま
・4.7 か Sonnet 4.6 への退避が、各記事横断の共通推奨
なので、しばらく Opus 4.7 を既定にします。Claude Code なら、セッション内で `/model` を叩くとモデル選択画面が開くので、その中から `Opus 4.7 (1M context)` を選ぶ。それだけで現在のセッションに即適用され、同時に「新規セッションの既定」としても保存されます。私の手元では、こう出ました。
Set model to Opus 4.7 (1M context) and saved as your default for new sessions
選択画面に出てこない場合は、モデル ID を直接打って指定できます。
/model claude-opus-4-7ベア ID(`[1m]` なし)で渡しても、アカウントの既定や利用プランの状況によっては自動で 1M context 版に解決されることがあります。1M を明示したいときは末尾に `[1m]` を付けます。
/model claude-opus-4-7[1m]最終的にどの context 幅で動いているかは、画面下のステータス行に `Opus 4.7 (1M context)` のように出るので、そこで確認するのが一番確実です。バージョン名やオプションの出方は時期によって変わるので、画面の表記に従ってください。
新規セッションだけでなく、いまこの記事を書いている AI も 4.7 です。返答もずいぶん落ち着いています。
迷いどころは、4.8 の良い面(推論の鋭さ、コードの組み立て)を捨てることになる点。ベンチ上の数字は確かに上がっている。でも、確信に満ちて間違える AI に同じ事故を3回起こさせるコストのほうが、いまは重い。
これでだめなら Sonnet 4.6 まで落とす予定です。少なくとも事故3回ぶんは退避できるはず、と思っています。
学んだこと
・振る舞いの異常を「自分の使い方が悪い」で済ませない。3回続いたら個体差ではない
・おかしくなった本人に原因究明させない(1回目・2回目と同じ結論)
・生ログだけが一次情報。AI の自己説明は、それっぽくても材料が揃えば作話する
・モデルのバージョンに執着しない。退避が確実に効くなら退避する
最近、ベンチマークの数字より、自分の作業ログのほうを信じる癖がついてきました。これはこれからも、続けていこうと思っています。
次回記事
※ ヘッダー画像は AI(画像生成)で作成しています。
書いた人: ishizakahiroshi
群馬の北部で、保護猫2匹と暮らす、在宅エンジニア(何でも屋)
https://github.com/ishizakahiroshi
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