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アラメの種苗生産のコツは、「毎日の観察」にありました。

今回は、令和元年から試行錯誤を続けてきた「アラメ」の種苗生産についてご紹介します。
「アラメの種苗生産」とは、アラメの「赤ちゃん」を陸上で人工的に育てて作ること。アラメは宮城県石巻の海を象徴する海藻ですが、成体(大人の海藻)になるまでには約2年の月日を要します。ISOPでは、アラメの赤ちゃんであるタネ(遊走子)を採取してから海の中に設置するまでの約3ヶ月間、陸上の水槽で大切に育てています。

上の図のようにアラメは成長していく。

この記事では、種苗生産のリアルな様子を追いながら、5年間の経験で見えてきたことについてお話しします。

実際に伸び途中のアラメ

9〜10月:準備期

まずは、アラメの「種」を付着させるためのコンクリートブロックの準備から。コンクリートブロックを1ヶ月間水に浸し、丁寧に「あく抜き」を行うところから活動が始まります。
2022年までは糸にアラメの種を付着させていましたが、現在はコンクリートブロックに種を付着させる方法に切り替えました。糸だった際は発生していた、海中で紐を結ぶなどの作業がなくなり、ボルトでブロックを固定するだけの「潜れる人なら誰でも参加できる仕組み」になっています。

10月:採苗期

アラメのタネのもとになる胞子を放出する大切な時期。葉の表面に「しのうはん(子嚢斑)」と呼ばれる模様が現れたら、海から親アラメを採集するサインです。
成熟したアラメを採集し、空気に触れないよう運び、水洗いした後、葉の表面が軽く乾くまで、3時間ほど陰干しします。その後、ブロックと一緒にろ過した海水に浸すと、アラメのタネが放出されブロックに付着します。

リンクをクリックすると見られる動画は、小さく動くアラメの赤ちゃん。泳いでいる様子が顕微鏡越しに撮影できました。

採苗のイメージはこちら

11月〜1月頃:飼育期

ここからは、ろ過した海水を満たした水槽でアラメのタネを育てていく飼育期になります。「毎日の観察」がメンバーの大事な仕事になります。

やることはシンプル。日誌に「日付・時間・記入者・気温・水温・照度・塩分濃度・栄養塩(添加した量)・備考」を記載して、水槽の様子を見守ります。

また、1週間に一度、顕微鏡での観察も行います。3ヶ月の間に0.01mmから0.1mmまで成長します。顕微鏡をのぞくとその変化は一目瞭然。少しずつ「海藻らしい形」に変わっていく姿を見るのは、メンバーにとって密かな楽しみです。

11月7日緑の点のようなものがアラメの赤ちゃん。大きさは0.01mm
生後約1週間後の11月13日は少しだけ色が濃くなっていた。
1月6日に観察した際は、大きさ約0.1mmの小さなアラメがブロックに付着していることが確認できた。海藻のような薄緑がアラメの赤ちゃん。

1月頃:成長期

アラメのタネが大きくなったら、いよいよ海の中へ。モニタリングで経過を観察しつつ成長を待ちます。今年は、1月7日・19日に合わせてアラメのタネ(芽胞体)がついたブロック200個を設置しました。再びアラメの種が放出されるくらいになるまでには1年半から2年ほどかかります。

最後に

海の中に設置した後に私たちができることは、無事に大きく育ってくれることを祈るのみです。
だからこそ、海へ送り出すまでの「陸上での時間」にいかに強く育てられるかが、私たちの腕の見せ所になります。
5年間の経験を経て痛感したのは、「毎日観察し、記録すること」が成功率を劇的に上げるということです。
「元気だった芽が、5日間観察できなかっただけでダメになってしまう」という苦い経験もありました。そのため今は、水の濁り、光の強さ、わずかな色の変化といった「小さなサイン」を見逃さないよう徹底しています。その一歩一歩が、豊かな藻場へと繋がっていくからです。
「時間帯はいつでもいい。とにかく毎日見る」ことを大切に、来年度も私たちは毎日水槽を覗き、手を動かし続けます。



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