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世界の終わりに輝く石 | ショートショート

ベティは、カフェで大学時代の同級生と向かい合っている。

同じサークルにいたのは一年くらいだったと思う。
名前を忘れるほどではないけれど、思い出すには少し時間がかかる、そのくらいの距離。

昨日、急に「会いたい」と電話がかかってきた。
たまたま空いていた。

久しぶり、と言いながら現れた彼女は、ほとんど化粧をしていなかった。水をかけたら増えそうな、乾いた髪を後ろでひとつに括っている。

彼女によると、世界はもう終わっているらしい。
正確には、終わりかけている、ということだった。

まもなく波動が変わる予兆があり、古い価値観に囚われている人間は、その変化についていけなくなるらしい。
その説明の途中で、彼女はテーブルの上に小さな石を並べ始めた。

薄い紫。
半透明。
少しだけ冷たそうで、ガラス細工みたいに綺麗だった。

どうやら、これが必要らしい。

そんなに大した金額ではないし、石もきれいだ。
何より、この時間から解放されたい。
ただ、一度買うと、そのあとが面倒そうだった。

上手い断り方を考えている間に、世界はもう三回ほど終わっていた。
「今、気づいてる人だけが間に合うの」
彼女は真剣な顔で言う。

「ベティちゃん、昔から少し感受性強かったでしょ?」
そうだったかもしれないし、違ったかもしれない。
大学時代の自分なんて、もう曖昧だ。

ベティは、ふと窓の外を見る。

石畳の通りを、光がゆっくり滑っていく。
テラス席では老人たちが白ワインを飲んでいて、パン屋の前には犬が寝転がっている。
風は柔らかく、洗いたてみたいな青空が、街の屋根の向こうまで続いていた。

こんなにいい天気で、いい季節なのに。
なんでこの子は、こんなに必死なんだろう。
私は、なんでこんな話を聞いているんだろう。

スマホが震える。
ケイティからだった。

📱

(ヒッツメから連絡来た?)
(ごめん、断り切れなくてLINE教えちゃった)
(マルチの勧誘だからブロックして)

ベティは、画面を少しだけ見つめる。

いや、目の前に居る。

🗒️

連作テーマに寄せてます
#世界が終わるまでに

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