ゲーム開発とリーン開発|面白さを早く検証して手戻りを減らす進め方
ゲーム開発では、面白さや操作感、テンポのような要素を、仕様書や設計だけで確定させるのは難しいです。画面上でキャラクターを動かし、実際に遊んでみて初めて分かることが多くあります。
そのため、最初に完成形を細かく決めて、その通りに最後まで作る進め方では、終盤になって体験のズレが見つかることがあります。私自身も、最初に全体を固めて進めた結果、終盤で想定していた体験とのズレが顕在化し、大きく作り直したことがありました。
ゲーム開発では、後ろの工程に進むほど修正範囲が広がります。実装だけではなく、画面、演出、アセット、テスト項目などにも影響が出るため、方向のズレは早い段階で確認したほうが修正しやすくなります。
完成度より先に方向性を確認する
私が開発で意識していたのは、完成度を上げる前に、遊びとして成立する方向に進んでいるかを確認することでした。
コアループだけを先に動かし、仮実装で挙動を見る。テストプレイをしながら方向を調整し、数値やテンポを何度も見直す。最初からきれいに作り込むより、判断に必要な部分を早く動かす進め方です。
ここで確認したいのは、見た目の完成度ではありません。操作したときに狙った感触になっているか、想定した面白さにつながっているか、テンポに違和感がないか。実際に触らないと判断しにくい部分を、できるだけ早く確認します。
リーンは「とりあえず作る」ことではない
こうした進め方は、リーン開発の考え方と重なります。
ただし、リーンを「とりあえず作ってみる」と捉えると、意味が変わってきます。確認したい仮説があり、その仮説を判断できるところまで最短で動かす。ゲーム開発で使うのであれば、この捉え方のほうが実態に近いです。
仮実装の目的も同じです。完成品として残すためではなく、方向が合っているかを確認するために作ります。結果として違うと分かれば、その段階で直せます。終盤まで作り込んでから見直すより、修正範囲を小さく抑えやすくなります。
全ての工程をリーンにはできない
ゲーム開発のすべてを、同じ進め方にするわけではありません。
アセット制作や納期、外部要因の影響が大きい領域では、計画に沿って積み上げる必要があります。後半に入れば、品質を揃え、テストし、作品として世に出せる状態まで仕上げる作業が増えていきます。
初期は検証中心でリーン寄りに進め、中盤は反復しながら調整するアジャイル寄りの進め方になり、後半は品質を担保するために計画の比重が上がる。実際のゲーム開発は、フェーズごとに進め方の重心が変わります。
不確実性が下がると進め方が変わる
初期のゲーム開発では、まだ答えが分からない項目が多く残っています。面白さ、操作感、テンポも、頭の中だけでは確定できません。
開発が進み、テストプレイや調整を重ねると、判断できる項目が増えていきます。方向が固まれば、今度は品質や完成度を揃える作業に移れます。
リーン、アジャイル、計画型のどれか一つを選ぶというより、不確実性の高さに合わせて進め方を変えるほうが、ゲーム開発の実態には合っています。
おわりに
ゲーム開発は、リーンを特別な手法として「導入する」というより、もともと構造の中にリーン的な進め方を含んでいる領域だと感じています。
面白さを仕様書だけで確定できない以上、実際に動かして確認し、ズレがあれば直す工程は避けにくいです。名作と呼ばれる作品も、こうした不確実性と向き合いながら、検証と調整を積み重ねた先に成立しているのだと思います。
開発初期に見るべきなのは、どこまで完成したかだけではありません。今の実装で何を確認できるのか、その確認結果を受けて次に何を直すのか。ここが整理されていると、作り込みに入る前に方向を確認しやすくなります。
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