原油価格高継続なら所得8兆円流出の予測、ガソリン補助金いつまで それはそれとして、もっと省エネじゃないかな:佃均
写真キャプション:東日本大震災の直後、駅の照明は半分になりエスカレーターは停止した
過日、私的な所用で自宅〜新潟間を自家用車で往復しました。出発前に満タンにしたときはℓ166円、現地での補給時は167円と177円でした。新車で購入して12年目、ロートル車とはいえ走りは快調です。ただし来年は自動車税/自動車重量税が高くなります。
部品交換が増え、メンテナンス費用が嵩む、中古車としての価値が下がるから買い替えろというのですが、新車か税金かとなると、我が家の家計では税金一択です。小まめに手入れをして使い続ける「MOTTAINAI」(もったいない)が、資源の有効利用につながると考えているからです。
■本当に「目詰まり」だけなのか?
米以波戦争の余波で原油の輸入量が激減、石油由来のナフサ不足の影響が建設業にも及んでいることを、当サイト4月27日付コラムで千葉利宏氏(日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事)がレポートしています。ポテトチップスやケチャップの包装をモノクロに変えたメーカーに対して、売名行為だの反日だの攻撃的な指摘があると聞いています。
印刷用インクや溶剤ばかりでなく、医療用手袋、スーパーのレジ袋、ロールのポリ袋、食品トレー、ペットボトルなど、ナフサ不足の影響は意外に深刻です。政府のナフサ「目詰まり」論は行政の無謬原則そのもの、ひいては旧帝国陸軍の兵站軽視と通底しているという指摘もあり、コトと次第によっては政権運営にかかわるかもしれません。
ナフサは石油を精製して生産されますが、調達先は国産が4割弱、中東が4割強、その他が2割弱となっています。政府は「必要な量は確保できている」と強調していますが、これまでと同じ価格で入手できるかどうか分かりせん。白米の価格高騰・品不足と同じように、素人目では「目詰まり」だけなのか疑ってしまいます。
国産ナフサの生産量が減った要因の1つとして挙げられているのが、3月19日から始まったガソリン補助金(中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置)です。石油精製メーカーはナフサ生産を抑制し、輸入原油をガソリン補助金対象品目に振り向けているというのです。ナフサ不足は「目詰まり」だけが要因ではないという指摘が説得力を持ってきます。
■基金の残高は秋の彼岸まで持つかどうか
そのガソリン補助金も安泰ではないようです。
対象はガソリン、軽油、灯油、重油および航空機燃料の5品目で、資源エネルギー庁によると「燃料油補助金の基金残高を活用し、ガソリンについては全国平均価格が170円程度を超える見込みとなった場合。170円を超える部分について10/10の補助を行う」となっています。
5月21日現在の1ℓ当たり支給単価はガソリン、軽油、灯油、重油が41.8円、航空機燃料は16.7円です。資源エネルギー庁の調査によると、5月18日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1ℓ169.2円でした(図)。今年4月末時点で燃料油補助金基金の残高は9,800億円だったので、この状態が続くと6月下旬に底をつきますし、2026年度予算の予備費1兆円を注入しても秋の彼岸まで持つかどうかと言われています。
つまりガソリン補助金は「緊急的激変緩和措置」という名の通り、所詮は痛み止めや止血の応急手当てであって、根本治療ではありません。ホルムズ海峡危機が解消するまで、あるいは米・イスラエルが仕掛けたイランへの攻撃が止むまで、この状態を続けることができないのは明らかです。

政府が表立って節電、節約を要請するまでもなく、庶民はすでに節約モードに突入しているし、安いモノ志向はますます強まっていると見た方がいいようです。給料が上がったのは大企業の正規雇用者、中小企業や非正規雇用者の隅々にまで昇給の波は及んでいません。
筆者はひそかに、ゴールデンウィークが過ぎたら企業や国民に節電や節約を訴え始めるのではないか、と考えていました。しかし現時点でその予想は外れています。節電、節約などを要請すれば景気が後退するという懸念が強いのでしょう。ですが「だからこそ」というのが本稿の骨子です。
■「MOTTAINAI」で生活の耐久力を高める
株価高騰の裏で、ジワリと景気後退が始まっているようにも思えます。原油、ナフサだけでなく、日々の食糧も労働力もITインフラも海外に依存している実情を直視しなければなりません。庶民の生活を強靭化することが肝要です。
深夜でも真昼のように明るい都市は希望に満ちたイメージですが、早々の猛暑記録からすると、今夏のエアコンはフル稼働が予想されます。生成AIの利用拡大を背景に建設が相次ぐデータセンターの電力需要もあるでしょう。だからといって「トイレのないマンション」(原発)で凌ぐのは感心しません。
東日本大震災直後の節電、新型コロナ禍のテレワークを思い出すときです。いま必要な施策は目先のガソリン補助金や「目詰まり」論より、中長期の円安抑制(ないし円高誘導)と物価対策のはず。「令和の倹約令」をめぐる賛否・甲乙二分の激論が必要ではないか、ということにして、生成AI「クロード・ミュトス」(Claude Mythos)は様子見、台湾への武器輸出を日本が代行するんじゃないかの妄想はパスとしました。
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