怖すぎる病院の話「面会時間」
「面会時間は、とっくに過ぎていますよ」
看護師にそう言われ、私は慌てて頭を下げた。
祖母が入院してから毎日来ていたので、帰る時間が遅くなっただけだと思っていた。
病室のカーテンを閉じたまま、祖母は静かに眠っている。
私は手を握って、「また明日来るね」と声をかけ、病室を出ようとした。
そのとき、
背後から カサ…カサ… と衣擦れのような音がした。
振り返ると、閉じたカーテンが、
まるで誰かが内側から触っているみたいに、ゆっくり揺れた。
「おばあちゃん…?」
冗談半分で近づいたが、返事はない。
そっとカーテンを開けると――
ベッドは空っぽだった。
祖母の姿はない。
シワ一つないシーツだけが、静かに整えられていた。
慌ててナースステーションに駆け込むと、さっきの看護師が眉をひそめて言った。
「……ご家族の方には、昨日お伝えしたはずですが」
「え?」
「おばあさまは昨日の夜、お亡くなりになりました。
だから今日の面会は、本来できないはずなんですが――」
足が震えた。
「え?だって…さっきまで、手を握って…」
看護師の顔色がどんどん変わっていく。
「今日は……あなた以外にも何人か、
“空室になっている病室に人影が見えた”って言っていて……」
背後の廊下から、カーテンをさするような音が響いた。
カサ……カサ……
「……あの病室、昨日から誰も入ってないんです」
-----------------------------------------------------------
スキよろしく!!
