身を削ることをやめ、血を流す
「身を削るように書いているよね」
と言われたことがあります。
20代前半の頃です。
わたしは一人暮らしを始めたばかりで、親から受けたいびつな教育や、デートDVの記憶から逃れるために、必死で「自立」や「恋愛」をテーマにした小説を書きまくっていました。
それから8年ほど経ち30代になったわたしは、体を壊して休職しながら、書くことも上手くできない日々を送っていました。
もう若い頃のようには書けない。
削る身もボロボロ。
このままどんどん書けなくなっていくんだろうか。
落ち込みながら、図書館を徘徊していたある日。
一冊の本に出会いました。
内容はタイトル通り。
どんな人が作家になれるのか、というお話です。
この中に「血を流す」という話題が出てきます。
意味は二つ。
文字通り、血を流すように消耗を厭わず書く。
そして、書くものに自分の血を通わせる。
わたしはこの言葉に出会うために、日々図書館をさまよっていたのだ、と思いました。
わたしはもう身を削らなくていい。
そのかわり、血を流す。
それは自分自身をさらけ出し、文章にエネルギーを注ぎ込むということ。
血は減ってしまうけど、栄養を摂ればいいですね。
30代以降における、書くことへの向き合い方にやっと答えが出ました。
あれから1年。
noteを本格的に始めて、小説だけを書いていた頃より多くの方に文章を読んでいただいたり、SmartNewsや「今日の注目記事」に取り上げていただいたり。
何より、さまざまな方と交流する機会に恵まれて、ちょっとは血の通った文章が書けるようになったんじゃないかな、とコメントを読み返すたび嬉しい気持ちでいっぱいになります。
小説も捗っています。
相変わらず「自立」や「恋愛」をテーマに物語を書いていますが、過去の記憶が薄れ始め、自分のパートナーと新しい記憶を重ねながら、幸せな物語を描けるようになりました。
わたしはもう身を削らなくていい。
日常を豊かにして、血を熱く濃くして、命をとり分けるように文章をつむげばいい。
そんなふうに書き続けたい。
「血を流す」──この言葉は、わたしが書く情熱を失わないためのお守りです。
お題:わたしが思う、いいエッセイとは?
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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— 小海いと (@ito_text) July 4, 2025
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