食品企業の研究リソースは、機能の追究だけではない方向にももっと使われるべきではないか(発散)
以下のツイートを補足する記事です。
自分が過去にやってきたことを否定することになるけど食品企業は機能性成分とかの研究よりも、認知科学とか行動学、シミュレーション技術の研究にリソースを傾けていった方が売上・利益という成果は出るんじゃないかなと今は考えている。
— イツキ@食品メーカーの中の人 (@itsuki26_labo) September 30, 2023
僕は研究所時代、機能性食品向けの素材開発をテーマとして抱えていた。また、機能性表示食品向けではなくても、食品に特殊な機能を持たせるような素材開発がメインの仕事だった。
付加価値をつけること、それが資本主義社会において利益に結び付くのは当然のことである。今でもそこに対しては間違いだとは思わない。
ただ、付加価値というのは本当に「食品としての機能」だけなのか?
その点には、当時は疑問に思っておらず、今は強い疑問を抱いている。
体脂肪を減らす、睡眠の質を向上させる、腸内環境を改善する……
こうした「機能」をつけた商品を売ることは、現在の食品企業の開発においては王道のように見える。そしてこうした素材の開発には、無数の原料からのスクリーニングや成分の抽出方法の検討、安全性や風味に問題のない配合、価値を訴求できるギリギリのコスト、そして莫大な金がかかるヒト試験を通過している。
なぜ機能をつけるのか。それは、わかりやすいからの一言が全てだ。
上記で述べたような機能は、求めている人が多い。ペインを解決してくれるんじゃないか、そんな期待をもって消費者は商品を手に取るし、そのニーズを満たしているから売れる、という言い方は出来るかもしれない。
ただ、研究開発から一歩引いた今は、それが酷く複雑で歪なものに見える。
商品が売れる要素は、機能だけではない。広告宣伝効果もそうだし、食べるシチュエーション、価格、ストーリー、消費者の気分……要素を上げればきりがないだろう。その中で「機能」に偏ったリソースを注ぐのは、配分としておかしくないかということなのだ。
ポストした「認知科学」「行動学」「シミュレーション技術」というのは、例えば以下のようなものを指す。
・商品のパッケージはどう見せるのが最も人の目を引くのか。色合い、形状は、商品棚のどの位置にどう配置されていると最適なのか
・25℃の日と30℃の日で、自動販売機の商品の売れ行きはどう違うのか
・タンクの中の羽の形状をどう変えるとより撹拌能力が上がるかをコンピュータ上でシミュレーションできないか
機能というのは、あれば商品価値を端的に謳いやすいのかもしれない。けれど主だった機能はもう正直レッドオーシャン化していて、ここから先の需要があるテーマを見出すのはかなり厳しいように思う。正直機能性表示食品については、薬機法に引っかかるギリギリのような商品もあって、早晩ヤベー商品が出てくると思う。
そういうところにリソースを割くのであれば、もっと別の「商品が売れる要素」にヒト・モノ・カネをつぎ込んだ方が、会社の利益にはつながっていくのではないか……というのが最初のツイートの意図でした。
