「趣味はカラオケです」
自己紹介の「趣味」欄はアイスブレイクでしかないのだ。
わかってはいても、欄がある以上は何かは書かねばならぬ。アラフォーのおじさんの趣味なんて誰も興味ないだろうとは思いつつ、それが割とオフィシャルなものーー例えば異動時にパワポ1枚で作って、と言われた資料の欄に項目が記載されてあるのであれば、なおのことである。
多趣味な方だとは自負している。が、オフィシャルな場で「競馬、麻雀、FXです!」言うほど世間ズレもしていない。
結果「カラオケ」と書くことにして、ふとキーボードを叩く指が止まった。
もしかしたら、本当に「カラオケ」が趣味なのかもしれないのだ。
意味がわからないと思うので説明する。
カラオケが好きと聞いたら、あなたはどう思うだろうか。「ああ、歌うことが好きなのね」と思うのではないだろうか。
それは否定しない。確かに昔から歌うことは好きだった。小学校低学年の頃は何度注意しても通学路でずっと歌っていて恥ずかしかったと親に言われた。今自分の子供がそんな感じ。血は争えぬ。
ただ、そうじゃないんだよな……と思ったのだ。歌うこととカラオケで、自分は明らかに楽しみ方が違っていると気付いたのだ。
1.カラオケという趣味
カラオケは好き嫌いがはっきり分かれる趣味だが、今のアラフォー世代でカラオケが好きという人はそれなりにいると思う。CDがバンバンミリオンセラーになり、GEOやTSUTAYAのようなレンタルショップがあちこちに建ち、歌番組が溢れていた頃に青春を過ごしていた世代だからだ。
特に僕の場合、高校時代は週3でカラオケに行っていた時期があった。というのも、通学路にゲロ安のカラオケ屋があったのだ。1時間80円、飲み物1杯100円。2時間ドリンク1杯で260円。
しかも行くと次回ルーム半額券がもらえ、2時間180円。わかりやすく狂っている。浪人したのは70%この店のせい。
ちなみに最近帰省した時に近くを通ったら、店は跡形もなくなっていた。当たり前すぎる。高校3年間存在してくれてありがとう。
それはさておき、相当頻度が減ったとはいえカラオケは好きではある。お誘いは一も二もなく受諾、その場でスケジュールまで組んでしまう。
ただ、カラオケという趣味は良くも悪くも人次第だとは思う。周りに好きな人がいるかいないかは重要で、それによって頻度も変わる。
こう書くと1人カラオケがあるじゃん、という意見もありそうだが、後述するが僕にとって1人カラオケというのは調整にすぎない。歌うことが好き、とカラオケが好き、の明確な違いである。
2.カラオケで達成したいこと
さて怪しい表題が飛んできました。しかし、自分の中では何度か書き直した上でこ一番適切な表現を選んだつもり。
僕はカラオケに行くにあたっては、明確に達成したいことを持って臨んでいる。それがこの2つ。
(1)その場にいた人が、帰りに楽しかったなと思ってもらうこと
これは、もう一回コイツと行きたいと思ってもらうことと同義である。
(2)上記を自身で勝手に定めた縛りルールの中で達成すること
(1)楽しかったなと思ってもらう
世の人はカラオケに対して大別して2通りの臨み方がある。すなわち、自分の歌いたい曲を優先するか、相手に合わせて歌いたい曲を選ぶかだ。
この2つの中では、僕は基本的に後者のスタンスである。もちろん、自分の歌いたい歌をしっぽり歌うのも好きだが、カラオケという場では無いなという感じ。
ただし、一緒に参加している人には前者のスタンスで臨んでほしいと思っている。なので謎の合いの手、ハモリ乱入、順番無視。構いません。みんなが楽しければいいよね。
なので理想は、参加者がみんな終了後に「今日は歌いたい曲歌えたな!」と思ってもらえるように、かつ「アイツ(いつき)も好き勝手歌ってたしさ!」と思ってもらえるように、自然に振る舞えることである。
この時点で少し「カラオケが好き」の意味をわかっていただけたと思う。僕はカラオケを、その時のメンバー、選曲のパターン、場の空気・流れを踏まえたうえで、その時々でどんな曲を選択していくかというゲームとして捉えている。そしてそこにどれだけ自然な形で入れるか、という表現点を競っている。
一人で。
特に楽しみなのが、初めて一緒にカラオケに行く人がいる場合だ。互いに牽制しあう中で相手の領域にいかに踏み込んでいけるか、自分の領域を受け入れてもらえるか、という点を、勝手に一人でヒリついて楽しんでいる。
たのしい。
(2)縛りルールの存在
このように、カラオケをゲームとして捉えているという前提を理解していただいたところで、さらにゲーム性を上げるために勝手に縛りを設定している。

もちろんこれは相手に強要するものではない。あくまで自らへの制約として課しているものとなる。
具体的には以下の通り。
①他の人が歌った曲は歌わない
②他の人が歌ったのと同一アーティストもその回のカラオケでは歌わない
③自分は2回同一アーティストは歌わない
④過去に行った人の前では同じ曲は歌わない
⑤洋楽は基本歌わない
⑥原曲キーで歌う
⑦メロディー通せない曲は歌わない
⑧リクエストや雰囲気が最優先(上記ルールと重なっても破る)
「①他の人が歌った曲は歌わない」はまぁ、90%くらいの人はそうだと思うので割愛する。ただ「②他の人が歌ったのと同一アーティストもその回のカラオケでは歌わない」なんてやる人はあまりいないかもしれない。
例えば、先日のカラオケでは米津玄師の「さよーならまたいつか!」を歌えるようにしておいた。しかし後輩が初手で「KICK BACK」を入れたのでめでたく封印した。
これに対して、僕は歌いたかったなぁとは思わない。「早い者勝ちだから仕方ないよね」「初手で行くべきだったかー」と反省はしている。勝負してない。
たのしい。
「③自分は2回同一アーティストは歌わない」はどうだろうか。たまに同じアーティストばっかり歌う人もいるが、僕はそれも賛成です。たのしい。でも僕はやらない。ゲームだから。

「④過去に行った人の前では同じ曲は歌わない」について。僕は過去5年間分くらいの全てのカラオケについて、誰と行って誰が何を歌ったか、自分が何を歌ったかを覚えているので、過去にその人の前で歌った曲は歌わないようにしています。他の人が以前歌った曲もあまり入れないが、歌いたい時は入れる。
この縛りは先述した③と相性が良く、「前あのアーティストのAという曲を歌ったから今度はBにしよう」という形で切り替えていきます。流石にアーティストまで被りなしだとキツイからね…。
たのしい。
「⑤洋楽は基本歌わない」に関しては、あまり自分が知らないというところもありますが、まぁこれも90%くらいの人はそうかなと思います。歌えとなったらなんか歌うけど。
「⑥原曲キーで歌う」「⑦メロディー通せない曲は歌わない」のあたり技術的な縛りになる。これはもう単純にプライドの問題だ。歌えない曲を聴かせてしまうのはいけないという、ただそれだけ。
そのために、カラオケの日程が組まれた場合僕は極力1人カラオケに行きます。調整のために。
家で聴いて鼻歌で歌っていけるかなと思ったら、マイクの前では歌えなかった経験、多くの人があるのでは無いだろうか。それをなくすための1人カラオケであり、ここで「断念(歌わない)」「要練習(今回は歌わないかも)」「合格(歌っても良い)」の判定をしていきます。合格のものを本番で歌っていく感じ。
念のため、これも他の人がやることに関しては何も思いません。キー下げ、途中中止歓迎。特に途中停止については「よっしゃワイのターンまで少し短くなったわ🙌」くらいの気持ち。
そして何より重要なのが「⑧リクエストや雰囲気が最優先」だ。よくあるだろう、〇〇縛りとかのゲーム。洋楽縛りとか特定アーティスト縛りとか季節縛りとか。それには上記全ての縛りルールをほっぽり出して参加する。
リクエストというのは、あるアーティスト歌った時に「〇〇歌えるんだ! 私△△好きなんだよね、歌ってよ!」みたいな軽いやつの話。
はいよろこんで。
そんなわけで自己縛りを課しながら雰囲気には乗れるところまで乗っていく。そんな楽しみ方をしています。
3.事前準備
いよいよカラオケに行くとなった時には、男女構成・年齢構成・傾向・前情報を元に、流れを想定し概ね40曲くらいのラージグループを選曲する。
当然流れやメンバーの選曲・嗜好、突発イベントよってはそこからはみ出す曲も歌うことになるし、上記の縛りプレイによって歌える曲もガンガン減っていくが、1回のカラオケで多くて20曲程度であろうことを考えれば概ね40曲程度が現時点での理想値だ。
ラージグループには当然ながら新しく世にリリースされた曲や、これ歌えるようにしといたほうがいいなという曲が含まれるので、ここで1人カラオケに行き選抜を行う。
この中で断念した曲については他の曲と入れ替えて当日に挑む。
しかし、そうして挑む当日も当初の想定通りにならないことがほとんどなのだ。酒が入る席はカオスになることも多いし、カラオケに対しては色んなスタンスの人がいる。でも僕はその不完全性も含めてカラオケという場が好きなのだと思う。
終わった後は1人反省会。ちゃんと歌えたもの、歌えなかったもの。他の人の選曲からの気付きを学び、次回に活かす。
…と、こんな感じで、おそらく僕は歌うことそれ自体よりも「カラオケ」というものを楽しんでいる。
初めて文章にしてみたがだいぶヤバい奴な気がしてきたので、まだまだ書けるけどこの辺にしておく。4,000字書いてるし。
とりあえず、今度の部署の自己紹介のときにはパワポの趣味欄に「カラオケ」と書いて、呼びかけてみようと思っている。
「趣味はカラオケです!カラオケ好きな人ぜひ誘ってください!😆」
