「最高に面倒で、最高にうまいラーメン。」レビュー ~ トレンドはCVSから始まる
「最高に面倒で最高にうまいラーメン。」を食べました。

どうやら昨年7月に家系醤油が出ていて、今回食べたすみれの味噌も2月から発売されていたようで、それをこんなGWにレビューするのも……と思いはしたのですが、食品メーカーの人間としては考えることが多かったのでレビューをしたいと思います。
単価398円(税別)。やりおる。
カップ麺1つとしてはなかなか強気な価格設定。先に申し上げておくと、こちら具材は麺とスープだけになります。メンマもチャーシューもなし。なのに結構値段とってくるなぁと思ったら……

別添4袋で納得。この小袋って、地味に原価取ってくるんですよね。しかし4袋は初めて見ました。
当然ながら、全部アルミ袋。即席めんのスープは酸化に非常に弱いので、酸化を防ぐアルミ袋にしなければなりません。当然ポリよりコスト高。
398円もむべなるかなと思いました。
湯切り作業の功罪
写真をここから撮ってないんだ。すまない。
こんなちゃんとレビュー書くつもりじゃなかったからさ……
湯切り工程といえばカップ焼きそばですが、この商品ではラーメンに持ってくるという「最高に面倒」な作業。だって沸かして湯戻しに使ったお湯は、捨てたうえで再度熱湯を注ぐわけです。まさかの2度手間。
グッバイガス代、グッバイSDGs。
ただこれ、1点明確だったインスタントラーメンの弱点を補っています。
それは「温度」。
熱湯を注いで3分以上待たされるインスタントラーメンとラーメンの一番の差は、出来上がりの温度にあります。100℃の熱湯も、3分待ったら急速に温度は低下します。しかしこの商品では、再度熱湯を注げるわけです。
狙いが温度だと確信しているのは、ラードに1袋使っていること。本当に写真がなくて申し訳ないのですが、これが結構な分量でした。具体的には、カップを油で完全に蓋が出来るレベル。水面からの蒸発を抑え、温度の低下を防ぐための手段だと思っています。
しかし、オペレーションした側としては、この狙いは伝わりにくいかもと思いました。
工程を示しながら説明しますと、
①お湯を沸かす
②お湯を注いで4分待つ
③湯切りをする
④粉末スープを入れる
⑤再びお湯を注ぐ
⑥液体スープ、ラード、生姜を入れる
という工程なのですが、この②から⑤までの間、お湯ってどういう状態?ということです。
要は温度を大事にした場合、②~⑤までの工程の間で、お湯が熱い状態を保っていなければいけない。
例えば電子ケトルで一回沸かしたお湯、②のあと4分待ってる間、もう一回沸かしますか? 沸かすという発想に至りますか? ということですね。
重ねて言いますが、私はこの湯切り作業の真価は温度にあると思っているので、本当に美味しく食べようと思うなら、この間にもう一度お湯の温度を上げなければいけないのです。私は小鍋でお湯を沸かしましたが、②の作業のあと再度火をかけ直しました。
うん、面倒!
個人的には、お湯を沸かしなおすところまで作り方に記載があっても良いのかなと思いました。「最高に面倒」とわざわざハードルを上げた商品を買ってくださるお客様なので、再度お湯を沸かすくらいのことはしてくれるのではないかなと思います。
まぁ、私のここまでの考察が完全に的外れな可能性もありますけれど。
味はやっぱりそれなりに美味しい
398円取ってくるだけあって、スープもいいものを使っているのでしょう。味はとても美味しかったです。カップラーメンの中ではかなり上位だと感じましたね。それだけに具材がなかったのは残念ではありますが、具材入れてしまうと500円超えちゃいますからね。そこは難しかったのでしょう。
一番良いと思ったのは香り立ちです。ちょっと尾を引くというか、香辛料が強めに来る感じです。生姜は全入れしましたが、全入れして正解だったなと思います。
名前に恥じない味だったなという印象です。高いけど。
トレンドはコンビニから始まる
さて、ちょっと場外戦の話をしますと、この商品はセブンイレブンの専売商品になります。
コンビニの商品というのは、メーカーにとってはメリットもリスクも大きい商品です。その理由は、物量が多いにもかかわらず改廃が早く、独占商品を好むことにあります。
例えばセブンイレブンで1日1個売れる商品があったとします。そうなると、1日2万強個売れるわけです。1か月で60万個。もちろん1個とは限りませんので、当たり前ですが2個だと倍、3個だと3倍です。この物量は、メーカーでは場合によっては相当計画を練って組まなければなりません。
ただし物量は出るので、売り上げも操業度も大きく稼ぐことが出来ます。また、コンビニは基本的に安売りをしないので、メーカー側もそれなりの利益を乗せて販売することが出来ます。なので、軌道に乗ると非常に売り上げに貢献することになります。
一方で、売れないとなったときの終売も尋常じゃなく早いです。結果、せっかくライン組みしてもラインが活用されず、在庫も山積み……というケースがないわけではありません(もちろん、お互いその後色々なことをして廃棄にはならないように努力はするのですが、ここでは割愛)。
改廃が早いため、各コンビニはあの手この手で新しいもの、お客様に珍しいと思ってもらえる訴求がある商品を求めます。こうしたある意味実験的な手法は、スーパーのように薄利多売で値切りも多く業態では難しいです。
結果、今の食のトレンドはコンビニから始まっているわけです。
今回の商品も、かなり実験的な商品と言えるでしょう。
製造元の日清食品も、UFOカップ焼きそばがあるので、アイデアとして湯切りするというのは昔からあったと思います。それを商品として実装したときにいきなり398円では、ちょっとスーパーにいきなり出すのは厳しい。ただ、新しいものを求めるコンビニ(特にセブンイレブンはその傾向が強い)にはフックした、というところからの発売になったのでしょう。
この商品の売れ行きがどうだったかで、おそらく今後のスーパーへの投入も検討されるのだと思いますね。
それにしても、熱湯8分なんて商品もあったりで、日清食品の即席めんはまたさらになんか色々試していると感じますね。
肝心の商品の出来上がりの様子はこちらの記事が詳しかったので、ぜひ。
